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言葉のことばかり【社交】

タバコという場所

ドラマ「不適切にもほどがある
阿部サダヲさん、
ばかばかタバコ喫ってますね。

時代を逆手に取って
ここぞとばかりやってるんだけど
テレビの中でも煙たく感じてしまって
止めてくれ〜と思ってしまう。

喫煙者である自分でも
2024年バージョンだとそう感じるんだな
と思いました。

昔は確かに凄かったです。
で、さすがに人に迷惑かけちゃいけないと
喫煙者だけ集めて
柵の中に閉じ込めることになった。

会社が全館禁煙になって、
喫煙スペースが設けられたのが
2002、3年くらいかな。
ある意味、生活様式の激変でした。

そういうふうに、
外側から変更を迫られると、
新しい秩序が生まれてきたりします。
まあ、秩序ってほどのもんでもないけど…。

いわゆる喫煙所コミュニティみたいなもの。
たいがいタバコ吸うひとは、
おんなじようなリズムで燃料が切れて、
おんなじくらいの間隔で、
喫煙スペースに現れる。

そうすると、
ある決まった人々による
新しいグループができて、
そこで「同士な感じ」
会話が交わされるようになる。

井戸端会議的な

おじさんたちの
「井戸端」みたいなもんです。

粋な大人の社交場
ってわけでは決してないけど、
根本に「虐げられている」という
共通の感覚があるので、
妙な連帯感がそこに生まれている。

このコミュニティでは
「タバコを吸わない人はおかしい」
みたいな感覚が生まれ(ほとんど逆ギレ)…

まあ、いじましくも、
だんだん楽しくなってきたりする。
不思議なもんです。

集まる理由

目的なく集まってるのに
ゆる〜く共通の話題を持っている、
そういう空間は意外と貴重です。

特にコロナ以降「集まる」という感覚が
一度リセットされてしまったので、
今や集まることに理由が必要
なってしまった感がある。

理由がある集まりには
目的が必要なので
どうでもいい話がしにくい。

タバコ場(僕らはそう呼んでた)には
目的がない。
強いて言うなら目的から逃げるのが目的
だったりします。

だからどうでもいい話をするし、
何にも話さなくてもそこにいていい。
目的があると、話をしないことは
いる価値がないこと
になっちゃう。

いつ参加してもいいし、
いつ離脱してもいい。

自由です。

無駄の中の本当

そして意外に、そういう場所では
大切なことが話されたりする。

会社の喫煙所でこっそり人事の話
みたいなことはよくありました。

真剣じゃないからうっかり
本音が漏れちゃったりして。

入会資格も年齢も必要ないので、
偉い人の普段聞けない情報も
手に入ったりするんですよね。

そこがまずいってこともありますが。

仕事ができるやつはタバコ喫わないのに
わざと話しに来たりしていたな。

社交の消失

こういうのを「社交」と言うんだと思う。

ソーシャルな交際みたいに取りがちだけど
もうちょっとどうでもいい感じがある。
「歓談」しないと社交じゃないっぽい。

個人的には「コミュニティ」の方が
よっぽど仕事っぽい。堅苦しい気がします。

そもそも社交って言葉自体、
ほとんど死語ですね。
社交辞令とか社交ダンスとか…。
なんかイメージが真面目っぽい。

あ、社交ダンスの語源は
sociality dancing の誤訳らしいですよ。
ホントはBallroom Dance。舞踏会ぽい。
昔の日本人はそういう場を
社交場と捉えたんでしょうね。

日本人は真面目だから取り入れるときに
妙にストイックになっちゃった。
スコーンスコーン、コイケヤスコーン。

今どきの社交ダンス

言葉が消えていくのは
需要がないからですね。

社交の反対語は内省
人がどんどん個人化していってる
そして社交の意味が
どんどんうわべ化してる。

ドラマ「いちばん好きな花」で松下洸平さんが
知らない人と話すために喫煙所に行く。
という変わり者エピソードがありましたが、
もはや社交的と内省的がこじれちゃってます。

なーんて、そんなどうでもいい話をする場所が
どんどんなくなってくのが寂しいですね。

次回の言葉は「・・・め」です。


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