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主役泣かせの愛すべき卵

卵が乗っかっている食べ物が好きだ。
むろん卵自体も好きだ。
でも、料理に乗っかって、
主役を引き立たせる卵が好きだ。

焼きそばだけの写真より
絶対目玉焼きが乗っていた方がいい。
世の中には絶対はないと言うが、
これはもう絶対と言っていいやつだ。

ナポリタンも然りだ。
目玉焼きがわんぱくにも乗っかっていると
おそらく50倍くらいうまそうに見える。
でも実際食べると2倍くらいだ。
それでも2倍はすごい。

カレーにも卵があるといい。
グラタンにもいい。
うどんには生卵でいい。

でも、どの料理でも
卵が乗っていることはあまり主張されすぎていない。
メニューの写真とかでは派手に
とろぉーんとした卵が主張されているが、
メニューの名前自体は、
焼きそばなら、焼きそばだ。

卵乗せ焼きそばとは、あんまり言わない。
うどんだと、月見とか言うが、
肝心な「卵」という言葉をはぐらかせているように感じる。

でも確実に我々に爪痕を残す。
目を閉じると、ナポリタンよりも大きな卵が目に浮かぶ。

主張しないくせに、
主役を奪う。
名脇役とはまさにこのことだ。

助演というより主役泣かせ。

焼きそばとかナポリタンとかカレーは
どう思っているのだろうか。
厄介な存在だろうか。
いやいや、卵がいてくれるから注文されたのだという自覚はあるはずだ。

彼らもそんなに自惚れではない。

もちろんソロ活動だってできる。
裸一貫でアコギ一本で泣かせることができる。

にもかかわらず、
さまざまな日本を代表するアーティストたちと
共に全国をツアーする卵。
多忙を極めている。

たまには少し休んでほしい。
昼、冷凍のペペロンチーノを食べる時に
いつもなら乗せる目玉焼きを
今日は乗せずに休息を与えた。

卵は不安そうな顔をしている。
ペペロンチーノも俺の気持ちを察し、
「大丈夫だよ、たまにはお前に頼らずにやるよ」
なんてかっこいいこと言ってくれた。

みんないいやつだ。
卵って愛されてる。

憧れるなぁ。

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