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踵と威厳は削れていく

テレビ番組で上司にがっかりする瞬間とやらが紹介されていた。
その中で「靴の踵が削れている」というものが上がっていた。古い靴を履き潰している上司を見て、夢がないと感じてしまうそうだ。
なるほど、くたびれた革靴で踵が削れていたら、確かに貧乏くさく感じられるように思う。だが、自分の踵はどうだろう。

実は自分は靴磨きが好きで週末の日課にしている。前方から見た靴の姿はいつもピカピカしててあまり古い印象は与えていないと思う。が、踵はどうだろう。実はすぐ削れてしまって、百均で踵補強用のゴムを買ってボンドでつけているのだ。
所詮素人の施した補強なので、パッと見た感じだと分からないが、少し意識的に見たらすぐバレてしまうレベルだ。

テレビ番組を見てからというもの、通勤時などにいろんな人の踵に目を向けてみるようになった。思った以上にみんな踵がしっかりとしている。まあまあくたびれた、よれよれのおじさんですら、踵はそんなに削れていない。

これはまずい。
今までの自分はまさに木を見て森を見ず、灯台下暗し。恥ずかしい踵をあらわにして偉そうに会社に行き、偉そうに指示を出し、時に叱責したりしていたのだ。

もはや完全に上司としての威厳は踵の削れと共に失っていたのだ。今更ながら恥ずかしさと後悔の念が押し寄せる。毎週磨いてピカピカにしていた愛着のある革靴に怒りさえ湧いてきてしまう。

ということで、靴を整理した。
大事に磨き続けてきた革靴も、踵の減り具合で容赦なく捨てることにした。

しかしながら、踵はすぐ削れる。これみなさんどうしてるんだろう。すぐ削れません?歩き方のせいですかね。

ひとまず自分はスリッポンをローテーションに加えた。スーツにスニーカーはまだハードルが高いので。革靴とスリッポンなどをうまく組み合わせて1週間を乗り越える。踵からの威厳のこれ以上の削れを防ぐために。

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