カオスへの愛着

先日、大好きな番組『夜の巷を徘徊する』(テレビ朝日)で、気になるYouTubeチャンネルが紹介されていた。

Lyle Hiroshi Saxonさんという日本在住アメリカ人のチャンネルで、1990年代から東京の日常風景を撮影し続けていて、それをYouTubeにアップしているらしい。

https://www.youtube.com/watch?v=xDcyg9DIceQ&t=3s

番組で紹介されていたのは、1991年当時の新宿などの映像。再開発前の新宿JR東南口などが映っていたが、ルミネやビクトリアといったシンボリックな施設がすでにある一方で、今のJR東南口改札前から階段を下ったあたりには、いかにも「戦後からやってます」という雰囲気の店などが立ち並び混沌とした様相。

カオスな雰囲気漂うエリアが残りながらも、振り向けばルミネ、という奇妙なハイブリッドがとても不思議な感じがする。

1991年といったら私は4歳。自分で出歩く年齢ではないにせよ、おそらく親に連れられて新宿に出たことはおそらくあるだろう。

映っていた景色は勿論はっきりとは記憶にはないが、目にはしているであろう再開発前の新宿の記憶がどこかに残っているのか、なんとなーくのデジャブ感はある。だいぶレトロな映像に感じはするものの、うっすらと既視感があるところが、「自分ってそういえば、昭和、平成、令和と3つの時代を生きてたんだった」ということを急に思い知らされる。

こういった、よく知っている場所の昔の映像、みたいなものは誰しも面白く感じられるものだとは思うが、私は物にしても景色にしても、古さが感じられるもの、ノスタルジーを感じるものが大好きだ。自分が生きた時代のものでなくとも、「時を経ていること」そのものにとても魅力を感じる。自分では蓄積された「人間臭」に惹かれるのだと思っている。いろんな人のそれぞればらばらな人生が詰まっている感じというか。

海外に行くなどして、初めて見るもの、自分にとっての「新しさ」に出会うことは大好きなのだが、海外でもカオス感のあるエネルギッシュな街が大好きで、それもいかにも「人間の集合体」な感じがするからだと思う。人生詰まってるな、みたいな。国内海外問わず、再開発や都市化ですっきりとした「人間臭」のない場所や、観光地化されすぎて生活臭がなくなった場所にはあまり興味がない。

年齢を経て自分の好きなものの方向性がなんとなく固まってきた近年思うのが、異常に飽きっぽい私が変わらず好きであり続けるものって、共通点があるんだな、ということでした。

外に出ないと内省する時間が多く、やたら自分について考えます(笑)