目から鱗のハウツー営業㉟【[『上手く話す』とは?]とそのコツ】
あなたは
「お客様に対して、もっと上手く話したい!
でも全然上手く話せない」と悩んでいませんか?
或いは、
「お客様に『○○さんは本当に話が上手いね!』と評価されたい」
そんな風に思ったことはありませんか?
恐らく営業職の誰もが一度は思ったことがあると思います。
大前提として
私も営業職の方から
「川端さん、話が上手くなるコツとか方法ってありますか?」
と何度も聞かれました。
私の回答は決まって
「まず営業職が結果を残すために、話の上手さは必須などではありません。
話が上手くなくとも、お客様に評価され、結果を出すことは十分可能です。」
と前置きするところから始まります。
その上で、
「○○さんが言う『話が上手い』とは、
具体的にどのような事を指しているのですか?」
と聞いてみます。
興味深いことに、
こう聞くと決まって、大半の方が答えることが出来ません。
恐らく
「話が上手くなれば、今より簡単に契約が獲得できるようになる」
⇒話が上手くなりたい
という図式を漠然とイメージしているだけなのだと思います。
ですので、
具体的にそれがどういうことを指しているのか、
どのようなことが実現すればよいのか、を
答えることが出来ないのだと思います。
「話が上手い」とは一般的にどういう事なのか?
私が思うに、話が上手いとは
一般的に以下のようなことを
指しているのではないでしょうか?
1⃣アナウンサーのようによどみなく、聞き取りやすく話すことが出来る
2⃣お客様が、営業職の伝えたい内容を正確に理解する事が出来る
3⃣お客様を説得出来る、お客様の意見や考えを変えることが出来る
しかし、並べてみると、それぞれ似て非なるモノであり、
どれも必要な要素が違いますね。
勿論、複数を満たした話し方もあるでしょうし、
全てを満たすような話し方が出来る営業職もいます。
ですが、そのいずれかを目指すのかで必要なことが異なる以上、
話が上手いとはどんなことを指すのか、
本来はご自身で定義することがまずは必要だと思います。
では、一つずつ見ていきましょう。
例えば、
1⃣アナウンサーのようによどみなく、聞き取りやすく話すことが出来る
1⃣を目指すのであれば、これはとにかく数をこなすしかありません。
それも家で練習するよりも、ロープレをするよりも
多くのお客様と出来るだけ数多く話す方がいいと思います。
お客様には迷惑かもしれませんが、
営業の場合は真剣勝負に勝る練習はないと思います。
『そんなことくらい普段から心掛けています。』
という方もいるでしょうが、
実はそうでもありません。
例えば、
お客様に
「話は聞いてもいいけど、今お願いしているところに不満はないから
契約はできないよ」と言われたら、
諦めて退出していませんか?
そこで諦めずに
「勿論ご契約はお客様のご判断に任せます。
ですから、話だけでも聞いてください」
と言える営業職と諦める営業職では
お客様と話す回数に大きな差が生まれます。
或いは「今時間ないから」とお客様に言われたら、
「では、またにします」と諦める営業職と
「では5分でまとめますので、5分だけください」と言える営業職では
これもまた話す回数に大きな差が生まれます。
こうしたことも常に徹底している営業職と
実行する・しないにムラがある営業職と
常にすぐに諦める営業職がいます。
数年経つと、話す回数には途轍もない差が生まれます。
そして、それ以上に話し方にも差が生まれます。
またお客様が話を聞くこと自体に前向きでない時に、
どのような言葉を掛ければ話を聞いてくれやすいのか、
というとっさの判断力・言葉選びの精度にも大きな差が生まれます。
こうしたことはロープレでは養うことが難しく、
また実際の営業という戦場では
単に商品説明をいかに正確に出来るかよりも
こうしたとっさの瞬発力の方が役に立ちます。
勿論時間を有効活用するという観点から見ると
諦めない姿勢が必ずしも契約を数多く生む訳ではありません。
さっさと諦めて次のお客様に時間を投入するという考え方も悪くはありません。
ただ、結果を残す営業職の大半は効率性を追求しながらも、
簡単には諦めないという姿勢を維持しているタイプであることも事実です。
1⃣を目標にするのならこうした事を徹底し、
お客様と出来るだけ多く話す、
この事を徹底してください。
ただこれも事実として言っておくならば、
1⃣アナウンサーのようによどみなく、聞き取りやすく話す
これはたとえ実現したとしても、
それ自体が商談において威力を持つ訳ではありません。
逆に、すぐに噛んでしまう、ボソボソと話す、声が小さい、
そうした話し方でもお客様が「話が上手いな」と感じる営業職は実はたくさんいますし、私も何度も見たことがあります。
もしかしたら、
音程を外さずに無難に間違いなく歌う歌い手の曲よりも、
たとえ音程を外しても不思議と心と打つ、そんな歌い手や曲がある。
これと同じような現象なのかもしれません。
こうしたことは科学では説明のつかないことですが、
事実としてあります。
それくらい人間の感覚や感情は理屈や数値では測りきれないくらいに
敏感で、誰も説明が出来ないほどに繊細なのだと思います。
ですので、
1⃣アナウンサーのようによどみなく、聞き取りやすく話す
はそれほど重視する必要はないと思います。
先程も述べましたように
むしろ数多くお客様との会話をこなすこと、
こなそうと努力や工夫を重ねること自体の方が
結果を残す効果は高いと思います。
次に
3⃣お客様を説得出来る、お客様の意見や考えを変えることが出来る
この事を目指すのは出来れば諦めてください。
何故なら、これを目標とするメリットが全く無いからです。
自分の話し方や表現で、お客様が契約に近付くというのは
お客様をコントロールできる、という前提の上で成り立っています。
しかし、その前提自体が誤解であり、
そう思っていること自体が営業職にとってはリスクです。
では、営業職の話し方や表現によって商談の流れが劇的に変わる、
お客様の意見が変わり、急激に契約に近付いていく、
そうしたケースが無いのかというと
勿論あります。
しかし、どんなに他人から話が上手いと評価されている営業職も
こうしたケースは全体からするとごく一部です。
1⃣2⃣を地道に努力した結果として、
たまたまこうしたケースが生まれる、程度に位置付けるのが最も理に適っていると思います。
繰り返しますが、
お客様をコントロールできると思うのも
コントロールしようと思うのもやめてください。
(この方法はこれまでも営業本のテーマになり続けてきましたが、
もしそうしたモノが本当に効果のあるモノなら
営業という仕事はそうした本の登場によって
何度もその形を変えているはずです。
しかし、そのようなことは起きていません。
論理的に考えれば、営業職のテクニックや話し方でお客様をコントロールすることは難しいからだという結論しかありません。)
何故なら、
こうした事が意図して起こせると勘違いしていると
全てのお客様に対して誠実に真面目に向き合うという姿勢が
軽視されることになるからです。
お客様をコントロールすることが本当に可能ならば、
誠実さや真面目さの必要性が下がるのは自明の理です。
誠実さや熱心さは営業職にとっての最低ラインであり、
まさに生命線です。
効果が生まれる局面はそれほど無いのに、
それが実現できると思えば生命線を脅かすかもしれない、
それが
3⃣お客様を説得出来る、お客様の意見や考えを変えることが出来る
を目指すことです。
結果を出す営業職の共通点は、
お客様が誠実さや熱心さを感じ、
信頼できる人間であると思われ、
付き合うことの安心感を抱かれている点です。
それを忘れてはいけません。
事実、こうしたことを忘れている、
もしくは理解できない営業職は一定数存在しますし、
こうした営業職は自身が何故結果を出せないか理解できていません。
私が思う【話が上手いこと】
ここまで解説してきてお気付きだと思いますが
私の中の話の上手い営業職の定義は
2⃣お客様が、営業職の伝えたい内容を正確に理解する事が出来る
この状態を作れること、です。
伝えたい内容を理解されていない状態での契約はありませんし、
仮に理解されずに契約だけいただくのはトラブルの元であり、
双方にとって避けるべき事態です。
また自身が伝えたい内容をきちんと理解していただくことは
実はほとんどの営業職がほとんどのお客様に対して
クリアしていない課題です。
営業職はお客様に自身の伝えたい内容を
正確に理解していただくのが最初にクリアすべき課題であり、
逆にこれを高い確率で実現していることを
『話が上手い』と定義することが
最も無理のない解釈であり、理に適っていると思います。
では、どうしたら
2⃣お客様が、営業職の伝えたい内容を正確に理解する事が出来る
を実現するのか?
【話が上手い】を実現するすごく簡単なこと
簡単です。
1⃣お客様が分からない単語や表現を一切使わないこと
2⃣話を出来るだけ短くまとめること
3⃣ゆっくり話す事、
以上です。
1⃣はその意識さえあれば簡単に実現できるにもかかわらず、
出来ている営業職の方が少数だと思います。
『ウチの業界なら常識ですから』
『誰でも知っている単語だと思います』
と決めつけ、業界用語や専門用語を連発していませんか?
横文字なども注意が必要です。
自社のスタッフや同僚には通用しても、
その意味を知らない、知っていても自分の認識に自信がない方が
お客様である可能性は十分あります。
そういう視点で言葉を選んでください。
根本的な話ですが、
自社の業界以外の方が聞いても内容を把握できるような話の方が
たとえ、その単語を知っているお客様が聞いても話はスッと入ってきます。
お客様がこちらの使った言葉や表現で
一瞬「○○ってなんだったっけ?」と考えてしまうだけで
お客様の集中力は下がります。
当然、その後の話は一気に理解されにくくなります。
営業職の中には1分に1回くらい横文字や専門用語を使う人がいますが、
会話の目的を考えればいかに勿体ない事かが分かるはずです。
メリットが全くない上に、デメリットが大きな話し方です。
むしろ常に自身の商談を
『この単語を分からない人はどれくらいいるだろうか?』
『もっと誰でも知っている単語で説明することは出来ないだろうか?』
『もっと分かりやすい表現はないだろうか?』
という視点で振り返る事が必要です。
目標は会話の中でお客様が分からなかった単語が常にゼロであるということです。
究極的に言えば、
こちらの話を聞いていただく上で、
お客様に少しでも楽をしていただくこと、
思い出したり、考えたりする時間やエネルギーを出来るだけ減らす、
そんな話し方や内容を目指した方がいいということです。
私は毎月2時間のセミナーを開催していますが、
横文字は勿論の事、参加者が知らないかもしれない単語は
一切使いません。
それは聴いている方が知らないかもしれない単語や表現を使う事の無意味さとリスクを知っているからです。
次に
2⃣話を出来るだけ短くまとめること
これも出来ている方は少なく、
伝えたい内容をただ長々と読み上げている営業職も多いです。
しかし、長ければ長いほどお客様は集中して聞くことが出来ません。
結果として、最初の3分話した分だけ理解していて
それ以降の話は全く頭に入っていない、ということはよくあります。
どうしても内容が盛りだくさんの場合は、
最初に大筋だけ話す、
一旦切ってお客様に「ここまではよろしいでしょうか」と
お客様の休憩時間を設ける、
或いは説明の時間が省けるようなパッと見て分かる資料を用意する、
事前に資料を送っておく、
などの方法を状況に応じて組み合わせることをお勧めします。
ある一定の時間を超えれば
お客様は話を集中して聞いてくれなくなる、
話は短ければ短いほど、理解されやすい、
ということを頭に入れて、話す内容やボリュームを工夫してください。
これはお客様の性格のみならず、
あなたへの興味・関心・好感度からも大きく影響を受けますので
一概に何分までなら話していいということは言えません。
少しでも短い話を心掛けてください。
そして、最後は
3⃣ゆっくり話す事、です。
これは説明が不要だと思います。
話し手は、話す時間が長くなると自然と早口になってきますので、
1分に一回意識的にゆっくりと話すことを心掛けてみると
全体として早くならずに済みます。
今挙げた三つはどれも一般的に言われているような営業テクニックやスキルなどではなく、工夫すれば今すぐに改善・実践出来ることです。
基本は自分が相手の話に違和感や嫌悪感を抱く時、
集中力を持って話を聞けない場合はどんな話なのか、
こうしたことを想像し、
そうした事態を作らないにはどうしたらいいかを
考える所からスタートしています。
今日から是非実践してみてください。
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