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営業職は商品ではなく、自分を売り込む?【超簡単】

営業職は商品ではなく、自分を売り込まなければならない。そう思っている営業職は多いだろう。勿論、これは間違っていない。むしろ営業の本質である。一方で、では「具体的にどうすればいいのか?」「それ以外の方法はないのか?」という視点はやや欠如しているような気がする。今回はその二つの疑問に答えたいと思う。

営業職の抱える悩み「自分をどうやって売り込む?」

少し前になるが、ある営業職の方からこういう相談を受けた。「実は課長から営業マンなら商品じゃなく自分を売り込めと最近特に言われているんです。商品じゃなくて自分を売り込まないと商品を売ることは出来ないって。自分を売り込むにはどうすればいいんでしょうか?私が知る限り、川端さんほど自分を売り込んでいる人はいないんで是非聞かせて欲しいと思いまして・・・」

私は愕然とした。

営業職は自分という人間を売り込んだ方がいい、これ自体は間違いじゃない。むしろこれこそが営業の本質であり、営業職の永遠のテーマであろう。

しかし、こうしたことを上司や管理職が部下にアドバイスするのはお勧めしない。何故なら、言われた部下はどうしていいか分からないからだ。特に自分の個性に自信がない部下などは突然自分を売り込めと言われたところで具体的にどうしていいか分からないのではないだろうか。

管理職の勘違い

上司のアドバイスの目的は本来、部下の成長を促進させることのはずである。

しかし、ビジネスの現場で一体何が起きているのかというと、管理職は部下の面倒を見なければならない、だから何かアドバイスをしなければならない、でも間違ったことも言えない、結果アドバイスを受けた部下の立場を全く考慮していないこうしたアドバイスの乱発である。

内容は間違っていないが、具体性が全くなく、ただただ混乱させるだけというアドバイスがあまりに多いのである。

こうしたことを主張すると、「川端さん、そんなこと言われたら部下にかける言葉なんてなくなっちゃうよ」と言われることもしばしばあるのだが、そうなのだ、それが本当なのだ。

上司のアドバイスのほとんどは無意味どころか、マイナスであるという現実

部下の立場に立って考えれば、現在の管理職が部下にかけるアドバイスのほとんどは良くて無意味、悪く言えば百害あって一利なし、である。部下を混乱させ、部下の成長のエンジンであるモチベーションを奪っているだけである。だからこそ、

部下の成長を促進させるのではなく、部下の成長を出来る限り見守り、成長を妨げないのが実はベスト。

困って助けを求めてきた時にだけ全力で助けてあげればよいというのが私の考え方であり、それが一番打率の高いやり方だとこれまでも主張してきた。

それだけ人を育てるというのは難しいことである。私が見てきた管理職の中で部下の成長を促進させるようなアドバイスをしていると感じたのは1割もいない。だからこそ、私のような営業の専門家への需要があり、本気で営業職の底上げを考えるのなら私にお任せして欲しいと言っている訳だ。

人間力という単語はあまりに曖昧

(同様によく聞くのが「営業は人間力だ。人間力を高めろ」というアドバイスである。この人間力という言葉の定義が非常にあいまいであり、中身としては「頑張れ!」と言っているのとほとんど変わらないと思うのは私だけであろうか?

実は結果を出す営業職の大半は真面目な凡人

因みに結果を出す営業職の大半は真面目で平凡な人である。結果を出した平凡な人に「あのひとは人間力がある。人間力が高いから結果を出し続けるのだ」という後付けをしているに過ぎない。原因と結果を取り違えたよく分からない話だが、ビジネスの現場では頻繁にみられる光景である)

私が考えるアドバイスの留意点

管理職の皆さんはよく聞いて欲しい。

それは言っていることが事実だとしても、具体性がないアドバイスは部下にとってはむしろマイナスであり、アドバイスとしては不適切だということだ。何故なら、部下は管理職であるあなたのアドバイスを無視することは難しく、また具体性がないアドバイスはそれを履行したかどうかの検証が部下自身には不可能だからだ。あいまいな指摘だけしておいて、「子供じゃないんだから何をどうすればいいかぐらい自分で考えろ」というスタンスもよく見られる傾向であるが、自分で考えさせるなら徹頭徹尾部下本人に考えさせた方が断然いいだろう。

因みに使っている言葉の定義すら怪しいのは論外である。

そのアドバイスが意味があったのかを測る方法

私が思うにアドバイスとは相談相手に具体的かつ自主的な行動の変化があって初めてアドバイスと言えると思う。少なくとも私はそう考えている。

例えば、セミナーで「顧客に寄り添って提案をしなさい」「相手のことや立場をよく見て話をしなさい」などはよく出てくる常套句であり、それに反論がある人はいない。しかし、その会場をあとにした参加者は「いい話を聞けた」とは思っても、それ以降行動に変化が見られない人がほとんどだろう。そして、1週間後には忘れているのではないだろうか。

多くのセミナーや自称専門家と呼ばれるコンサルタントによく見られることである。

私はセミナーを受講した方やコンサルのアドバイスを受けた方に「それで明日から何を始めるんですか?」とよく聞いてみるのだが、答えられた人はほとんどいない。良くて「もっと積極的に~します」その程度だ。

「気持ちが前向きになった」などの感想も多いのだが、本人が良ければそれでいいのかもしれないが、好きなスポーツ選手の動画をYouTubeで見たり、大好きな曲を聞けばもっと効果的に効率的に出来ることではないだろうか。わざわざ数時間という時間をかけたセミナーやコンサルでなくても十分出来ることではないだろうか。

私が言う具体的な行動とは、例えば、「Twitterを始める」でも、「朝顧客にアポを1件入れてから営業活動に入る」でも、どんなことでもいい。私がアドバイスした中で、本人がすぐにでも実行したい、そして実際にすぐにでも実行できる、何より本人が効果を期待できることだ。勿論、アドバイスをした相手が企業なのか、営業職なのか、そしてどういう状況で今後どうなりたいかによって全て内容は違う。

あくまでオーダーメイドにこだわらなければ、このように具体的に行動に変化をもたらすことなど出来ない。

こうした前提を踏まえた上で敢えて、冒頭の「自分を売り込むにはどうしたらいいのか?」について答えよう。

営業職が最も自分を売り込む方法

矛盾したことを言うようだが、実は自分を売り込むのは自分自身が意識してやることではない。

自分がモチベーションを高めて、仕事に打ち込んだ結果、その「熱心さ」「真面目さ」「真剣さ」「誠実さ」を認めてくれた顧客が自然と感じることである。私自身、営業デビューした当時からかなり個性が強く、自分を売り込むことに長けたタイプだと思われてきたが、自分自身を売り込もうなどと発想した事はただの一度もない。自分がただ夢中に営業活動に取り組み、自分が面白くていいと思える活動をただ地道に続けていただけである。

実は自分を売り込む以外の有効な方法:自社のPR

そして、商品以外で商品の販売につなげるモノは何も営業職の個性だけではない。『商品を売り込むだけじゃ商品を買ってくれないから、自分を売り込む』という常識は一つ見落としている点があるのだ。そう、自分の会社である。自分の会社がどういう会社かということを改めて紹介してみてはどうだろうか?事実、保険会社の営業職の方は実践している方は多いが、ルートセールスの営業職では改めて自社の概要を説明する方は少ないのではないだろうか。「いや会社のことはすでに先方は知っているんで」と反論されるだろうが、果たしてそうであろうか?恐らく顧客が知っているのはごく一部の表面的な情報である。そして、営業職自身が自分の会社のことなど顧客は関心がないと思い込んでいるだけではないだろうか。

自社のホームページを見たり、或いは社歴の長い先輩社員に顧客が面白いと感じそうな話を聞くのもいいだろう。顧客が興味を持ちそうな話を探すことは決して難しくないはずだ。あなたが製造業の会社であれば、作った製品の誕生秘話や失敗談なども顧客からしたら面白いのではないだろうか

(これは私個人の話で参考になるかどうかは分からないが、私は常にその時所属していた企業のニュースで面白いモノはないかと探していた。また、上司や先輩社員から昔あった話で面白そうな話やお客様が知らなそうな話は憶えておいて、事あるごとにお客様に積極的に紹介していた。意外とお客様に喜ばれる話でありながら、結果として自社や自社商品、そして自分自身のPRにもなるという超優秀な雑談のネタとも言える)

顧客は営業職の真剣さを見逃さない。

自分を売り込むことを意識する必要などない。そして、真面目に仕事に取り組んでいれば顧客は必ずそれを見逃さない。そして、それでも商品以外で相手に印象付けたいのなら、自分ではなく自社を売り込め。これなら今すぐに出来るし、商品の販売に決してマイナスにはならない。営業の世界はこうしたよく考えたら誰にでも気付く宝の山で溢れているのだ。

サトミ営業相談所は「営業職は商品ではなく、自分を売り込む」という常識を修正する、その先に企業や営業職の明るい未来があるなら躊躇なく修正・破壊する、日本で最も目標を見失わない「営業の専門家」なのである。


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