又吉里美

ことばについて研究しています。 https://twitter.com/Matayo…

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ことばについて研究しています。 https://twitter.com/MatayoshiSatomi?s=03

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【Fare&Qe】8.環境を整える身体性

 日増しにというか、急に暑くなった。弊学(弊学部?)は、「研究室」は7月からしか冷房を入れてもらえない(しくしく…)。あまりにも、あまりにも…というときは、6月でも入れてくれるけれど、基本的には、7月からの稼働である。温暖化のこのご時世、7月からとか、とち狂っているとしか思えない。ちなみに、「講義室」は6月からでもというか、年中冷暖房の調節が可能である。労働者である我々の環境も整えてほしい。「研究室」に冷房を入れないということは、大学当局、はては文科省(財務省?)は少なくとも

    • 2024年6月23日、重なる日

      梅雨明けした2024年6月23日の那覇空港は 梅雨明け間近の1945年6月23日の防空壕は 米兵から身を潜める人で埋めつくされている 観光旅行の帰路につく人であふれている あー、いつもと変わらない日曜日だ あー、今日も何とか生きのびた 両手で握らされた1つの手榴弾を見つめる女の子たち 両手いっぱいのお土産が重そうな女の子たち ゴルフバックを担いで談笑する兄さんたち 鉄砲を抱えて息をひそめる兄さんたち 子どもの口を覆いながら敵機に怯える親子たち 子どもの手を引きながら

      • 【鑑賞ノート】7.風の奏の君へ(映画)

        久々に映画館で映画を見た。2つの理由から見なければと思っていた映画。理由1、岡山県北地域を舞台にしていること。理由2、主人公の名前が「里香」と書いて「さとか」と読む名前であること。理由1は、(なんと12年も)住んでいる岡山が映画になったという、ちょっとしたミーハー感覚ですな。理由2は、私の妹と同じ名前だから、という、他の人からすると訳分からない理由ですな(笑)。実は、「里香」が「さとか」と読まれる人に初めて出会いました(映画だけど)。感動~~~~~! 「里香」、多くは「りか

        • 【メモ】ニューズレター関連1*「ふみ」第18号(2022.6)

          「歴史的典籍NW事業」から「データ駆動による課題解決型人文学の創成」へ 人間文化研究機構 機構長 木部 暢子「提言 学術の大型施設計画・大規模研究計画ー企画・推進策の在り方とマスタープラン策定についてー」 「歴史典籍NW事業」と木部先生との関わり 日本学術研究会/「大規模研究」の確立/すべての学問分野にわたる大型計画/「日本語の歴史的典籍のデーターベースの構築」(2011~2022、人文・社会科学分野)⇒「歴史典籍NW事業」(2014~2023、大規模学術フロンティア促進

        【Fare&Qe】8.環境を整える身体性

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        • Fare&Qe
          8本
        • 創作部
          7本
        • 鑑賞ノート
          8本
        • 徒然なる雑感
          10本
        • 和泉式部日記
          1本
        • ❁和歌・短歌❁
          1本

        記事

          【創作部】5.詩*77年目

          私の生まれる33年前の今日 沖縄の歴史は変わった 砲弾の音はなりやんだ 白黒の世界は終わった 私が生まれて44年後の今日 沖縄は変われているか 波の音が静かに響く 色彩豊かな花が咲く フェンスの向こうに 2022年6月23日 慰霊の日によせて

          【創作部】5.詩*77年目

          【創作部】4.私小説風エッセイ*かわいくなりたい

          さとみちゃん3才、道を歩けば誰もが近寄ってきて、「お人形さんみたいねー」と声をかけられる女の子です。大きなおめめに、長いまつげ、お鼻はちょっと低めだけど、栗色のふわっふわでほどよくカールがかかった腰まである髪の毛は、フランス人形のような愛らしさです。  夏も終わりかけのある日の日曜日、従兄弟のナミコねーねーがお届けもののお使いでさとみちゃん家にやってきました。さとみちゃんとは7つ違いのお姉さんです。さとみちゃんと同じようにくりっととした大きなおめめに、長いまつげだけど、さと

          【創作部】4.私小説風エッセイ*かわいくなりたい

          【Fare&Qe】7.「虚無」な一日

          昨日は朝からメンタルが落ちまくっていた。 ・前日の岡山の感染者数が過去最高 →なかなか出歩けないじゃんかよ…見たい映画もたくさんあるのに… ・前日の沖縄の感染者数が過去最高(本日さらに更新…) →9月の帰省予定も厳しいかな…もう1年半帰れてないんだが… ・いやーな雨の降り方 →3年前の豪雨災害が思い出されて、心がわさわさする。 ・メンタリストDの発言 →怒りと悲しみと哀れさとで、メンタルがぐちゃっとしてけっこうな痛手を負う もう何なんでしょーね。すっごい虚無感。ネバーエン

          【Fare&Qe】7.「虚無」な一日

          【徒然なる雑感】10.「ヤンバルオオフトミミズ」は「犯人」か「立役者」か

          本日(もう昨日だけど)、ユネスコにより、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」が世界自然遺産に登録されることが決定した。世界的にも希少な亜熱帯の森に、数多くの固有種が生息する生物多様性を評価した、とのことである。沖縄本島北部の山原地域は「ヤンバル」の名で親しまれ、広大な森が広がっている。「ヤンバル」の名を冠したヤンバルクイナやノグチゲラは有名だが、そのほかにもヤンバルオオヒメコウモリやオキナワイシカワガエルなどの絶滅危惧種が棲息する。また、今年の4月には新種のムカデ「リ

          【徒然なる雑感】10.「ヤンバルオオフトミミズ」は「犯人」か「立役者」か

          【鑑賞ノート】6.ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(映画)

          パラレルワールド、アナザーストーリーが大枠の映画である。フランス映画なのだが、はじまってすぐの冒頭はハリウッドの近未来アクション映画風で、一瞬、劇場を間違ったのかと思った。そういうところからして「フランス映画」っぽくないなぁと思いながらスクリーンに展開される物語を見ていた。テンポよく進むストーリー、物語の文脈は分かりやすく、ちょっとしたコメディ要素もあって、「フランス映画を見るぞー」と身構えて臨んだわりには拍子抜けしてしまった。それでも、音楽と映像美はやはり「フランス映画」と

          【鑑賞ノート】6.ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(映画)

          【Fare&Qe】6.アイスクリームは気分回復アイテム

          今日は朝から一日、オンラインで某会議。研究室から参加すべく、お弁当持参で、持参で、………持参し忘れた。しかし、せっかく準備したお弁当を無駄にするのはしのびないので、急ぎおうちへ帰って10分で食す。何となくむなしくなったので、大学へ戻る前に、サーティワンでアイスを買ってやったぜっ。大好きなロッキーロードと期間限定のサニーパイナップルケーキ。どちらも美味しく、食べ終われば気分回復! アメリカの映画やドラマを見ていると、失恋した女の子はたいてい泣きながら、あるいは親友に愚痴りなが

          【Fare&Qe】6.アイスクリームは気分回復アイテム

          【徒然なる雑感】9.為政者とことば

           ワクチンを担当する河野大臣は、全国知事会との意見交換の場でワクチンの供給量が減ったことなどについて謝罪しました。出席者からは「はしごを外され混乱している」などの声が上がりました。  「なかなか、このままのペースを維持できないということで、はしごを外した形になってしまいまして、大変申し訳なく思っております」(河野太郎 行革相)  「予防接種に全力を挙げていたところ、はしごを外され混乱をしている。こうした声が多く寄せられている」(全国知事会 飯泉嘉門 会長) 昨日(7/15.

          【徒然なる雑感】9.為政者とことば

          【創作部】3.詩*真実

          殺戮ゲームの愚かさは 殺したのは私だったかもしれないこと 殺されたのは私だったかもしれないこと 惨殺劇の悲しさは 殺したのはあなただったかもしれないこと 殺されたのはあなただったかもしれないこと 私の宿命はカードの表と裏のごとく あなたの運命は紙一重のごとく 海は青いということだけが真実 *** 佐喜眞美術館 地元の宜野湾市にある美術館。 普天間基地も近く、ここにあることの意味は大きい。 個人的にはひめゆりの塔と並ぶ施設だと思っている。

          【創作部】3.詩*真実

          【創作部】2.詩*6月のある日

          レースのような雨が降っていて 空気を紫に染めながら紫陽花が咲いていて エゴン・シーレを語る君がいて 世界は今日も完璧である

          【創作部】2.詩*6月のある日

          【創作部】1.詩*慰霊の日によせて

          76年前のあの日はどんどん遠くなる 遠くなればなるほどに、 戦闘機が飛び交っていたあの日の空に近づいてはいないだろうか 遠くなればなるほどに、 戦地に行く友と別れたあの日の夕刻に近づいてはいないだろうか 遠くなればなるほどに、 ガマで幾日も身を潜め続けたあの日の息苦しさに近づいてはいないだろうか 76年後のこの日と重なる世に向ける 鎮魂の祈りは、 晴れわたる青空を見上げられるこの日のために 鎮魂の祈りは、 明日もまた友と会える当たり前のこの日のために 鎮魂の祈りは、 大きく

          【創作部】1.詩*慰霊の日によせて

          【和泉式部日記】1.和泉式部のものの見方と表現①「木の下くらがりもてゆく」

          『和泉式部日記』の冒頭部から、和泉式部の世界を見る視点の巧みさ、そしてそれを言語化する表現力に飲まれ、その才能の豊かさにひれ伏す。 ❁❁❁ 四月十余日にもなりぬれば、木の下くらがりもてゆく。築地の上の草あをやかなるも、人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに、…… (今は亡きあの人〈為尊親王〉との仲を嘆き悲しみながら、日々を送っているうちに、いつのまにか)四月十日過ぎにもなってしまいました。木々が生い茂り、木の下の闇もだんだんとその暗さを増していきます。築地(土

          【和泉式部日記】1.和泉式部のものの見方と表現①「木の下くらがりもてゆく」

          【❁和歌・短歌❁】1.花ぞこの世のほだしなりける(和泉式部)

          春になると、ふわぁと頭を漂う和歌がある。 あぢきなく春は命の惜しきかな花ぞこの世のほだしなりける 【和泉式部】 どうしようもなく春は命が惜しいと思うものだ。(いつ死んでもいいと思っているけれど、)花こそがこの世に私を留め置くものである、 というのがおおよその訳でしょうか。 冬の寒さの中でモノクロになりがちな世界から色があふれだす春へ。 花のあざやかさや優美さに心がときめく。 その「ときめき」という心が動くこと、感情がわき上がることこそが「生きている」ことそのもので

          【❁和歌・短歌❁】1.花ぞこの世のほだしなりける(和泉式部)