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おばあさんとおばさんが、イメージと違った

マンションに「おばあさんとおばさん」が住んでいます。

ふたりの境遇や生活について、色々と想像を巡らせていたのですが・・。

おばあさんとおばさん

仮住まいしているマンションに、おばあさんとおばさんが住んでいます。おばあさんは80歳代、おばさんは60歳くらいに見えます。(便宜上「おばあさん」「おばさん」と呼ぶのをお許しください。)

外に出るときはいつもふたりで歩いています。おばさんがおばあさんに手を貸し、ゆっくりと。

朝や夕方は近くを散歩したり、マンションのロビーに座っていたりします。おばさんは短い白髪、おばさんはロングの黒髪で、ふたりともゆったりめのTシャツ姿。

声はほとんど聞いたことがありませんでしたが、会えば軽く挨拶するくらいの仲にはなっていました。私も子どもたちとよく外に出ているし、同じ棟に住んでいると使う出入り口が同じなので、頻繁に顔を合わせるんです。


私はこのおばあさんとおばさんを見て、色々な想像をしていました。

お母さんと娘さんかな。娘さんは未婚なのかな、それともふたりとも未亡人だったりして・・。狭い部屋でどんな風に過ごしているんだろう。よく話すのかな。そうでもないのかな。

失礼ながら、あまり「幸せな家族像」は思い浮かびませんでした。自分も住んでいてこう言うのも何ですが、お金に余裕があるなら、こんな古いマンションの、一番狭い部屋に住まないでしょう。おばあさんはともかく、おばさんが一人というのも気になります。 

初めて話してみたら

マンションに住み始めて1か月が経ったある日、息子をだっこして外に出ようとした時です。

ちょうど外から帰ってきたおばさんとおばあさんに話しかけられました。それで世間話を一言二言すると、私のインドネシア語が拙いことに気づいたおばさんが「あら、インドネシア人じゃないのね」。

明るくハキハキ話す人でした。私と話しながら、時々息子の方を見て笑わせようとします。

でも、人見知り継続中の息子は、不安そうな顔を崩しません。

それで多分、マスクをしているからいけないのだと思ったのでしょう。おばさんがマスクを外しました。

そういえば、顔を間近に見たのは初めてです。メイクをしっかりして、はっきりした顔立ちの方でした。

イメージとのギャップ

白状します。意外でした。

完全にステレオタイプな、言ってみれば「不幸」で「地味」な家族を想像していたことを恥じました。

眉毛とまつ毛は漆黒、口紅は濃い紅色。

自分がメイクをしないので、メイクに特別感を持ってしまっているだけなのかもしれません。メイクしていたって地味な人もいるし、ノーメイクのセレブもいるでしょう。見た目で人を判断してはいけません。その前に、他人について何らかの「判断」をする必要すらありません。

ただ、それにしても意外でした。

おばあさんとおばさんが、古くて安くて狭いマンションに、Tシャツ姿で、ふたりきり。

そこからイメージした様々なことと、おばさんのハキハキした話し方やばっちりメイクしたお顔のギャップに、密かに驚きました。

「「普通の」家族像と違う=不幸」という、古くてお粗末なイメージを持ってしまってことには薄々気づいていて、だから誰にも話していませんでした。そんな自分に、トドメを刺された感覚です。

誰かを傷つける前に

これから色々な価値観を子どもたちとシェアしていくのだから、自分の認識や価値観もアップデートしていかないと。

そう思ってはいるものの、頭はなかなか頑固なんですよね。

今回、誰も傷つけなくて良かった。

こういう風に、たまに小さな事件が起き、ショックを受けることで、少しずつ、頭のアップデートが進んでいくのかもしれません。

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