これが新しい家族の形!?ホームレス小谷とその家族ーherald(ヘラルド)
「どこに行くか、何時に帰ってくるかを言ってから遊びに行きなさい」
「ゲームばかりしてないで勉強しなさい」
「先生の言うことは聞きなさい」
親というのは子どもを心配するが故に子どもを縛りつけるような発言が少なくない。だからかもしれないが子どもは挑戦することを恐れるようになるし、家族というものが時々うざったく感じる時がある。
それに思春期の頃は親との距離感がわからなかったりしてケンカなんて日常茶飯事だった.....という人は多いのではないだろうか。
そんなあたたかいけれどちょっぴりめんどくさい「家族」を少しだけ変えようとしている人はこう言う。
「僕のオンラインサロンの小谷家族っていうのは、入ってくれてる人が家族って思える瞬間があれば僕は嬉しいです。常に家族って思ってもらえるのも嬉しいけど、やっぱりその時の状態や感情とかで思ってることが違うのが人間やと思ってるんで」
ホームレス小谷こと、小谷 真理。
彼は大阪でお笑い芸人になるも、全く売れなかったため、上京。
しかし泊まる所がないため知り合いのキングコング西野亮廣さんの家に泊まることに。そこで家賃を2ヶ月滞納してしまい、西野さんから「お前、ホームレスになれ!その方が絶対に面白いから!それに絶対上手くいくから!」と言われホームレスに。
恐らくそれが彼の人生の転機。
そこから、西野さんに言われてホームレス生活をライブ配信したり、自分の1日を50円で売り始めた。
彼は50円で買われた日はなんでもしたのだ。草むしりだったり、ダンスの練習につきあったり、はたまたヌードモデルまで。本当になんでも。
すると50円で買った人は「50円しか払ってないのにこんなに働いてもらって悪いな」となり昼ごはんや夜ご飯、お酒などを奢ってくれる。だけど、彼に渡すお金は50円。だから信用が集まり、彼が行うクラウドファンディングはいつもサクセスする。
彼は花やしきという遊園地を貸し切って結婚式を開いた。その時のクラウドファンディングがこれである。そして、50円で買ったホームレスと「3日間一緒にいたから。ノリで。」という理由だけで結婚した奥さんが
もんちゃんこと小谷詩織さん。
そんな奇想天外な夫婦がやっているオンラインサロンが「小谷家族」だ。
従来のオンラインサロンとは違い、ここでは誰でも投稿することができる。例えば、家族や恋人などの近しい人だからこそ言えない自分のコンプレックスのことや、他の場所では吐き出せないことなど.....。
こうして聞いてみるとマイナスな感情の投稿が多い暗いオンラインサロン?と思う方がいるかもしれない。確かにそれは否定はできないが、何よりもそのマイナス面を上回るコメント欄のあたたかさがこのコミュニティにはある。
それは、まるで家族のようなあたたかさ。
今回はあたたかみを持った小谷家族の人が集まる「家族会議」に少しお邪魔させてもらった。
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お金はもらってないけど心が満たされて、
幸せや〜って思って、その日はぐっすり寝れましたね。
--ホームレスになってからの小谷さんの話は良く聞くんですが、ホームレスになりたての頃の小谷さんってどんな人だったんですか?
ホームレス小谷(以下:小谷):あの時はただガムシャラになってました(笑)。西野さんから言われたことをなんでもやってましたね。(笑)。
--なるほど(笑)家賃滞納してホームレスになってから、自分の1日を50円で売り始めたと思うんですが、きっかけか何かあったんですか?
小谷:なんでやったけな.....ちょっと思い出せんなー。
もんちゃん:BASEでショップを開設する前に誰かに呼ばれたんじゃなかった?
小谷:そうそう!それや!
小谷家族:キングコングの西野さんがよくお話しされてる、草むしりして昼ご飯と夜ご飯とお酒おごってもらうっていうやつ?
小谷:それです、それです。(笑)草とってたら依頼者の方に「草とるテンポめっちゃいいね!」って言われて、調子乗っちゃってそこから雑になっていっちゃいました(笑)
小谷家族:クオリティは低かったんだ(笑)
小谷:低かったですね(笑)だけど、その時の依頼人の方とそのお母さんがお茶をだしてくれたり、友達とかも紹介してくれたり、応援してるで!っていってくれたり。。。それまで人に応援されたことなかったからめっちゃ嬉しかったです。
それまでお金のためにしか行動してこなかったんだけど、僕が草むしりをするだけでこんなに喜んでもらえるのか、と思いましたね。その草むしりはお金はもらってないけど心が満たされて、幸せや〜って思って、その日はぐっすり寝れましたね。
--お金がないっていう不安はなかったんですか?
小谷:確かに、不安やった。不安やったけど、時給分働いてお金をもらって寝るより、お金もらわんで人のために何かやったほうが僕の心が充実してたね。
--だから小谷さんは働かないんですね。
小谷:働かないというか、働けないんですよ(笑)できることなら働きたいです。
--ええ!?小谷さんのこと羨ましい人多いと思いますよ。僕もその1人ですし。
小谷:いやいや、サラリーマンとかの方が収入安定してるからいいすっよ。僕、朝起きれなくて、絶対に遅刻するから働けないんですよ。サラリーマンみたいに働いてる方がいるから僕みたいなやつも生きれてますから。
小谷家族:小谷さんってホームレス始めた頃にホームレスっていったら「なんやねん」とか言われてたと思うんですが、今はそんなのなくなったの?
小谷:いや、今もありますね。けど、昔よりは減りましたね。
--小谷さんのような生き方が認められるような時代になってきてるんですかね?
小谷:時代が変わってきてるのもあるかもしれんけど、人のモノの見方とか考え方が変わってきてるんちゃうかなって思ってる。
小谷家族:それを「時代が変わる」っていうんじゃないんですか?(笑)
小谷:確かに!そうかもしれへん!!(笑)
--モノの見方とか考え方が変わってるっていうのは、どういうことですか?
小谷:坂本龍馬を有名にした人、誰やっけな。。。
小谷家族:司馬遼太郎ですか?
小谷:そうそう!!その司馬遼太郎が坂本龍馬をピックアップするまでは龍馬は全く有名じゃなかったんですよ。それは司馬遼太郎が面白い角度で龍馬を取り上げたから龍馬は今、こんなに有名なわけで。
っていうことはこの角度からみたらこれおもろいやん!ってなった瞬間、人気者になれるわけなんですよね。「僕の人生が面白い」という見方がなければ、僕は日陰の下にいますよ。って昨日泊めてもろた人から教えてもらいました(笑)。
小谷家族:いい話してると思ったら誰かの受け売り(笑)。それ以外に誰かの受け売りないんですか?(笑)
小谷:うーん。そうやなあ。あ、世界平和になるにはっていう話は中々よかったで!
小谷家族:どんな話なんですか!気になります!!
小谷:強い力を持つとか、たくさんお金を持ってるとかよりも、なんかあいつおった方がおもろいやんっていう人が世界平和なんちゃうかなって思ってる。あいつおった方がええやんっていうのは人に「与える」ことしかしないから。
江戸時代っていうのは今の半分しか働いてなかったらしいねん。3時間くらい働いてあとは人のために動いてたらしいねん。じゃあ、なんで今の日本がこんなに働いてるかっていうと、発展するときに「働け!!」ってなったんよね。
--働かないのは悪という考え方になったということですか?
小谷:そうそう!んで、今は労働時間を減らそうとしても減らし方がわからん人が多いからスマホを使ってアップデートさせて新しい江戸時代を創る。働きすぎるから気持ちに余裕がなくなるって本末転倒な気がするんよな。
--確かに。本来、人生を豊かにする活動の1つに仕事があるはずなのに、それで人生が豊かにならなかったら本末転倒な気がします。
小谷家族:こんなにいい話してるのに、人の受け売りっていうのが残念(笑)
実は50円依頼の前に2回会っていた!?もんちゃんとの馴れ初め
--もんちゃんとの馴れ初めって何かあるんですか?
小谷:実は3日間一緒にいたあの50円依頼の前に2回会ってるんよ。西野さんの原画展のやつで1回、その時に出会ってすぐにコーヒー奢ってくれました(笑)あと1回は・・・ちょっと思い出せんなあ。。。
もんちゃん:お笑いファンの友達が小谷と会ってて、私と小谷が会う前から会えるっていうのは知ってたんよ。それで四ツ谷で原画展があって、それを見に行くときに小谷さん呼ぼう!ってなって一緒に見にいったのが1回目かな。
2回目は2Daysのライブがあって、私が泊まる予定の人が仕事で帰るの遅くなっちゃったから、つなぎで飲みにいったのが2回目かな。
--まさか、そんな裏話があったとは(笑)
できるわけないって思って動いたらできないかもしれないけど、
できるって信じて動けば必ずできるんです。
こんな底辺みたいな僕でもできたんだから。
--小谷さんってめちゃくちゃ西野さんを尊敬してますけど、なんでそんなに尊敬してるんですか?
小谷:1番最初に会った時が、大阪の劇場で僕がエキストラとして出演するときやったんやけど、帽子とって目を見て頭を下げて自己紹介してくれたんすよ。新人の僕にこんなに売れてる人がめちゃめちゃ丁寧に挨拶してくれて「この人、人としてできてはる!」と思ったんです。
それに、一緒にお酒飲まさせてもらってる時に、どうやったらエンタメで1番を取れるかっていうのをずっと考えてて。それは僕がNSCの時に思ってたことで、僕の周りの芸人さんとかも諦めてることでした。
小谷家族:何年もやって売れなかったらそんなこと考えなくなるよね。。。
小谷:そうなんです!そうなんですけど、10年以上やってる西野さんは諦めてなかったんですよ!ほんで、僕、西野さん側になりたいんちゃうかなって思い始めたんですよ。だからこのままじゃアカン!って思ってました。
なので、西野さんのイベントがあったら自分から顔出したり、無理やり楽屋に入ったりしてましたね。そのままが嫌だったんすよ。僕は何もできひんし、何もないから何があるのかわからんけど一緒におれば何かもらえるんちゃうかなって思って。
--何かもらえたんですか?
小谷:元気をもらえましたね(笑)何かできるんちゃうかっていう元気です。でも、僕はプライドが邪魔して何もできなくて。だけど、西野さんはニューヨークで個展をやったりすごいことをしていて。。。
それで、その個展が終わって、西野さんが帰国された直後にたまたま道でお会いしてニューヨークの話になったんですよ。その時にお前も海外で何かしたらいいやん!って言うてもらったんやけど、その時はそんな、僕になんて。。。って思った。
でも、それから西野さんの家に住まわせてもらうことになって、その10ヶ月後にフィリピンで祭りをすることになったんです!
--たった10ヶ月で行動できるようになるんですね。。。驚きです。。。
小谷:そそ。だから、諦めんかったら必ずできるってことがわかりました。なので僕は挑戦する人を全力で後押ししてるんすよ。だって、僕みたいなだらしなくてホームレスになっちゃた人間ができたんだから他の人は絶対できる。
できるわけないって思って動いたらできないかもしれないけど、できるって信じて動けば必ずできるんです。
--なるほど。小谷さんが挑戦する人の背中を押すのにはそんな理由があったんですね。
ホームレス小谷が考える「小谷家族」
--小谷さんともんちゃんがやってるオンラインサロンの「小谷家族」にはどんな思いがあるんですか?
小谷:僕が今、思ってるのは、悩みがある人とそれの解決方法を知ってる人がいるけど、その人たちが繋がっているとは限らない。でも、繋がりさえすれば絶対に解決するから、みんなが家族になっちゃえば全ての悩みは解決する。
だから、いろんな人と繋がってコミュニケーションをとると、人の悩みを消せるから絶対にいい。その繋がるきっかけとしてこの「小谷家族」があればいいと思ってる。
それと、小谷家族に入ってくれた人は、そこにおるのがなんかええなってちょっとでも思うんならおってほしい。んで、その数が増えれば増えるほど、もんちゃんの笑顔が増えるからそれがいいと思ってます!もんちゃんの笑顔が1番!!
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誰しもが憧れるであろう「働かない生き方」
だが、彼は働かない代わりに「信用」で生きている。
その信用は一朝一夕では身につくものではない。
彼の5年間の行動がその信用を作ったのだろう。それは、おそらくサラリーマンとして働くよりもきついと思う。
だって「ホームレス」なのだから。社会の底辺と言われる「ホームレス」
そこからいろんな気づきを得た彼の生き方は素敵だけど、彼の生き方を真似するのはどんな生き方よりも過酷なものだと僕は思う。
そんなきつい経験をして来たからこそ、とても寛容に生きることができているのだ。そして、類は友を呼ぶとはよく言ったもので、その周りの人である小谷家族もまた寛容。
何か悩み事があるけど周りの人たちに言えない。。。そんな悩みをかかえている人は1度、小谷家族に相談してみたらいいと思う。
きっと優しい、あたたかいコメントがかえってくるだろう。
ホームレス小谷 Twitter(@kotanimakoto)
もんちゃん Twitter (@_thank_u___)
小谷家族
1ヶ月ごとの更新(CAMPFIRE)
1年ごとの更新(BASE)
Text by 佐藤みちたけ(Twitter)
photo by 小谷家族
お寿司が食べたいです