(過去の連載を転記しています)妻から夫への暴言、どうしたらいい? 弁護士が解説するDVに該当する行為

2021.07.21 18:00  初出:wezzy(株式会社サイゾー)
 夫婦や家族の問題解決を得意とする佐藤正子弁護士が読者からの相談に分かりやすく回答するこの連載。第2回目は、「妻からものを投げられるといった暴力や、暴言を吐かれているが、妻から夫に対してのこうした行為もDVに該当するのか」という相談です。

 夫から妻に対してのDV被害については認知度が高まっていますが、妻から夫の場合でもDVと認定され、離婚することは可能なのでしょうか。

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 妻からの暴力については、体格差などの理由もありあまり聞きませんが、妻からの暴言についてはよく相談が来ます。ただ、実際には女性が暴力を受けている相談の方が圧倒的に多いですね。それは社会の家父長制や男尊女卑といった価値観が大きく反映しているのだと私は考えています。

 では、妻からの暴言や暴力はDV(ドメスティック・ヴァイオレンス)にあたるのでしょうか。DVは平たく訳すと家庭内の暴力ですが、正確にはなんなのでしょうか。政府の見解では、「明確な定義はありませんが、日では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです」とされています(男女共同参画室)。

 配偶者からの暴力や被害者の保護のために作られた「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」は、「DV防止法」と呼ばれることもあります。DV防止法では、被害者を女性に限定していません。妻から夫に対してでもDVになります。

 また、暴力の中でも、精神的なもの、心無い言動等により相手の心を傷つけるものは、暴力とされています。たとえば、上に書いた男女共同参画室のウェブサイトでも、「大声でどなる」「実家や友人とつきあうのを制限したり、電話や手紙を細かくチェックしたりする」「何を言っても無視して口をきかない」などが例としてあげられています。妻から夫に対する暴言もDVになります。

 DVにあたると、離婚の理由になりえます。上記のような暴言がひとつくらいではなかなか裁判での離婚までは認められないかもしれませんが、離婚を弁護士に相談するときには必ず伝えてください。

 また、暴言については、日時とその内容をメモにまとめると良いでしょう。暴力を受けてできたけがや壊れたものなどは写真を撮っておいてください。離婚で揉めたときは証拠が大事です。 

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