香港の日曜日、女たちのピクニック
年末に香港に行ってきました。
香港はデモの最中、そんな「今の香港」を見に行きたいという知人にくっついて行ってきました。
街には警察や中国を敵視するような落書きが散見されましたし、実際にデモの現場を見たり、デモ隊の立てこもりのあった香港理工大学がバリケードに覆われている様子なども目にしました。
日曜日の朝、香港島の銅鑼灣の駅周辺を歩いていると不思議な光景が広がっていました。
たくさんの人が道路にシートをひいて、おしゃべりしたり本を読んだり、ご飯を食べていたりしたのです。
中には友人同士なのか髪を結いあっていたり、トランプに興じているグループもいます。本や食べ物を売っている人も。
「これもデモなのか・・・?」
同行者も私もこれが一体何なのかよく分かりません。デモかもしれないけど、何だかあまり緊迫した感じはない。どちらかといえばお祭りやお花見の場所取りみたいな平和な雰囲気が漂っている。そう、丁度、ピクニックみたい。
しかもその光景は周辺一帯、屋根のある場所や地下道などに切れ目なく広がっていました。
しばらく観察しているうちに気が付いたことがいくつかありました。
・女性しかいない。
・ヒジャブを着けている人が多く、売られている本からおそらくインドネシア系と思われる。
お昼に近くなるにつれ人はどんどん増えていき、宴もたけなわなのかかなり盛り上がっている様子。
中にはカラオケをしていたり、動画を流しながら踊っているグループも。
これは何かの場所取りではなく、どうやらこうやってみんなで集まるのが目的のようだ・・・。
謎は深まるばかりでしたが、一度滞在先のホテルに戻ることになったので、ホテルでネットに繋いで早速検索。
するといくつかの記事を見つけることができ、やっと謎が解けました。
彼女たちはどうやら、香港に出稼ぎに来ているベビーシッターさんやハウスキーパーさんらしい。
唯一のお休みである日曜日、仲間たちと集まって自由な時間を過ごしているとのこと。
香港は女性の社会進出が進んでいるとも言われますが、その陰には低賃金で働く彼女たちの貢献もあるんだなぁ、、、と。
そんな社会の構造に思いを馳せつつ、日曜日の大規模ピクニックを受容している香港の懐の深さも感じたり。多分日本においては同じような光景は許容されないと思う。
海外に出稼ぎに行くなんて絶対に大変なことが多いでしょう。そんな勇気ある彼女たちに、週にたった一度だけど、同じアイデンティティを持つ仲間たちと楽しく過ごせる場所があってよかった。
香港の街を歩くと、とても整備された美しい道があるかと思えば、一歩入るととてもごちゃごちゃしていたり、まさにカオス。
だけど、だからこそ人のパワーみたいなものも強く感じられて、それがあの場所の豊かさの源泉なのでしょう。
これから香港がどうなっていくのか、あのパワーはどう使われていくのか、日本から見守っていきたいと思っています。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。またお越しいただけたらうれしいです。