見出し画像

暮らしの中で“伝統文化”に触れられる古民家ゲストハウスを作りたい

この2022年初秋、神奈川県清川村の宮ヶ瀬湖畔に、伝統工芸や民藝に触れられる古民家ゲストハウスをオープンします。もともと湖ができる前、ダムで沈んでしまう予定だった古民家を、湖の湖畔に移築したオーナーさんが大切に管理してきた元養蚕農家の住まいです。現代の暮らしに合うように間取りを変更し、キッチンや浴室・トイレなど大規模改修を施しつつも、梁と屋根などの土台はそのままに、昔ながらの建具は意匠デザインとして再利用します。

画像下:リノベーション前の「宮ヶ瀬手しごとの家」外観

宮ヶ瀬手しごとの家

この施設の立地する神奈川県清川村には、作家活動をしている村民はいますが、国や県指定の伝統工芸品はなく、産地組合も存在しません。だからこそ、全国の工芸品・民藝品をこの地に集めたいと構想しました。施設のスペースには限りがあるため、季節ごとに商品を入れ替えたり、購入される度に新たな産地の商品を揃えたり、ラインナップは工夫をしながら提供していきます。

* * * * *

株式会社さとくらし代表取締役を務める私は、日本の伝統工芸品や民藝品が大好きです。

文字を書くなら和紙を好むし、ペンよりも筆を使います。

画像下:コンパクトな書道セットを持ち歩いています

画像7

食器を購入する際は、どこの産地で作られたものかを確認し、その手触りを確かめながら作り手の地域や工房を想像するのを楽しみます。

手しごと商品は、一見似たような物でも微妙な違いがあるもので、それぞれにストーリーが紡がれています。

画像下:益子焼の陶芸家・川尻さんの作品もラインナップに

画像1

技と想いと時がかけ合わさる分、価値も高まります。
しかしながら、日本文化である伝統工芸品や民藝品は、誰もがその価値を分かるものではないと思っています。たとえ魅力的だと感じても、手に入れるほどの価値があるものだと感じてもらえるまでに至るのは、難しい。

美しさをどんなに褒められても、購入されなければ価値がつきません。
伝統工芸品や民藝品は日用品なので、使われないと生きられないからです。
日々使われなければ、価値は途絶えてしまいます。

伝統産業に限らず、全国どこもかしこも人口減少が課題で、作り手不足が叫ばれています。そのため、経済産業省のみならず産地の組合や民間企業も後継者育成に力を入れています。かつて所属していた株式会社ガイアックスで、私も伝統産業の後継者育成の新規事業に携わっていました。

画像下:筆者(右)とコーエンの宮澤さん=宮ヶ瀬手しごとの家にて

画像2

一方で、手しごと商品に対する「美意識や価値観の育成」という観点も同等に重要だと思っています。もちろん、ある程度の価格を要する日用品を購入することは経済的に難しいという消費者も一定数いることは理解しているものの、使い手側である消費者の「モノの価値を判断する目」を養わない限り、手しごと商品は報われません。

買いたい、購入したいという使い手の欲求を満たすには、どうしたらいいのか。使い手の美意識や価値観を育成する方法は何なのか。

SNSやWebマーケティングをしたり、単発イベントを催したりとさまざまな試行錯誤をしてきた結果、「実際に暮らしの中で使ってもらうこと」こそが最善策なのではないかと思うに至ったのです。使ってみないと分からない。だから、日用遣いできる「場」を作るのだ。

そこから「宮ヶ瀬手しごとの家」の構想をスタートさせました。
空き家である古民家を宿泊施設として蘇らせ、その家の日用品に伝統工芸品や民藝品を取り入れる。滞在者は日々、その手しごと商品に触れる生活を送ることで、目で見て触って自分にとって「好きなモノ」が何なのかを見極め、お気に入りの逸品を考えてみる。そして、もしも欲しいと思えば、その場で購入し、宮ヶ瀬手しごとの家を出発した後も愛用し続ける。

「宮ヶ瀬手しごとの家」の物件探しに半年。清川村役場のご紹介でプロジェクトメンバーが集まり、具体的な企画とスケジュールを引きました。

スクリーンショット 2022-06-27 17.05.39

「宮ヶ瀬手しごとの家」はかつて宮ヶ瀬湖のある場所に立地していた伝統的な養蚕農家の木造の家を移築したもので、本プロジェクトのテーマにも最適な物件でした。物件オーナーは清川村で建設業を営む株式会社山善(代表取締役・山本善一氏)。長い間大切に保存されていたため状態はとても良く、初めて訪問した日に、「これだ!」と一目惚れしたものです。

現代の住まいに見合った間取りと水回りなどの基礎工事が必要で、そのための資金調達が一番の壁でした。ある程度の目処がつくまで1年を要してしまったものの、2022年6月に念願の工事着工となりました。

棟梁は清川村の職人・山口製材の山口秀行さんにお願いし、畳の張り替えも地元の職人さんに依頼します。清川村の皆さんと一緒に作り上げます。
全体コンセプトやデザイン設計については、神奈川県清川村の指定管理者として宮ヶ瀬地区の清川村所有施設を管理運営する株式会社コーエン(宮澤衣瑠弥さん、蛸島大輔さん、末吉明彦さん)にプロジェクトメンバーとして加わっていただきました。

画像下:(左から)コーエンの宮澤さんと棟梁の山口さん

画像6

「価値を理解し、大切に扱い、愛用する人を増やしたい」
この想いに共感してくれる方に、ぜひ滞在しに来ていただきたいです。

そして、清川村宮ヶ瀬エリアの魅力を身体いっぱいに体感してもらいたいです。四季を通して美しい自然に囲まれ、登山やハイキングコースが多々あり、宮ヶ瀬湖の散策やジョギングの他、自転車乗り(ヒルクライム)の南関東の聖地「ヤビツ峠」へもアクセスでき、カヌーや釣りなど豊富なアクティビティを選択できるのも、宮ヶ瀬の魅力です。

学生から働く世代、リタイア世代まで多くの人に、この地での暮らしを試してほしいです。そして、日常の中で手しごと商品に触れることで、自分自身の潜在的な美意識に気付き、心から「好きだと感じるモノ」を見つけてもらいたいです。

宮ヶ瀬湖1

クラウドファンディングに挑戦しています

クラウドファンディング「campfire」で、プロジェクトに掛かる費用の一部の資金調達を目指しています。2泊3日、1週間、2週間、1ヶ月の各宿泊券の先行予約特典の他、ハイキングや伝統芸能鑑賞や手しごと体験の日帰りイベント参加特典、地元・清川村の特産品ソーセージ詰め合わせなど豊富なラインナップをご用意しています。ぜひ、ご支援をいただけると幸いです。

「手しごとの家」の住み込み管理人募集

「宮ヶ瀬手しごとの家」では住み込み管理人も募集しています😊
手しごとが好きで、いろんな人に伝えたい!という人はぜひお問い合わせください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?