見出し画像

冬は怖くない

先日、友人の誕生日会で、ある人が「ベルリンの冬が辛すぎて、鬱っぽくなってしまうから、毎年脱出することにしたんだ。」といった。周りのみんなもわかるわかるーって感じでベルリンの冬がどんなに最低かを共感し合った。

わたしも、ベルリンの冬はひどいと思う。

冬がくるのを怯えていた時期すらある。しかしドイツ在住10年をすぎた頃から、ある程度冬を楽しめるようになってきた。
まさかそんな日が来るとは思わなかったが、季節感が豊かでないとおもっていたドイツの春夏秋冬に、わたしの身体がやっと反応できる様になってきたのだ。
日本は春夏秋冬がとってもはっきりしていてそれぞれの季節の良さをじっくり味わえる。とっても自然豊かな国だ。だからわたしは夏か冬かしかないように感じるドイツを小馬鹿にしていた。食も大味なら、四季もほんと、大味。って。

ドイツにも、春夏秋冬がある。

ない様に思える春も秋もちゃんと存在していた。私の身体がひらききっていなかったから、ないことにしていたんだ。子供が産まれて、年中公園に這いつくばる生活をしてやっと、見えてきた。

冬に感じる、春の気配や匂い。虫や土の変化。木々の色の移り変わり。スーパーに並ぶ食材の変化。春、夏、秋、冬それぞれの楽しみ方がちゃんとある。
そうやって小さな変化や些細なことに目を向けられる様になると、ベルリンの冬の中でも美しさやあたたかさがあって。冬には冬の過ごし方があって、その一つ一つを楽しみにやっていると、終わらないと思った冬にも終わりが来る。

やっぱり冬にどっかに逃げたくなる気持ちはあるけど、絶望じゃなくなったな。

10年もかかってわかることもあるんだから、これから変わるかもしれない何かがあると思うと歳をとるのも悪くないな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?