『祖母姫、ロンドンへ行く!』
椹野道流の『祖母姫、ロンドンへ行く!』
新聞かネットで紹介されていて、おもしろそうだったので図書館で借りてみた。
表紙の絵が好きだったのもある。
「一生に一度でいいからイギリスに行きたい。お姫様のような旅がしてみたい」という80歳を過ぎた祖母の希望で、イギリス留学経験のある著者が一緒にお供することになった、豪華イギリス旅行の思い出を綴ったエッセイ。
エピソードがどれもおもしろくて、目に浮かぶよう。
イギリス一流ホテルマンのホスピタリティもすごいけど、著者のおばあ様の、まさにお姫様然としたふるまいとか意識とか、すごいな!と思う。
根拠のない自信ではなくて、努力と経験で培われた自信に満ちあふれるおばあ様の一言一言が、結構重いし、素敵だなと思った。
小説を書いている著者に言った、
「有名になりたい、褒められたい、売れたい…そういう欲はグッと抑えて、何より、誰かの心に寄り添うものを書きなさい。自分のためだけの仕事は駄目よ。たとえ売れたとしても、儲かったことより、たくさんの人の心に触れられたことをこそ喜んで、感謝もなさい」
というセリフは、小説家に限らず、色んな仕事に当てはまることだなぁと思う。
ホテルマンが、英語が通じないおばあ様に対しても、きちんと相手を見てお話をして、横にいる著者が通訳をするのを待つというエピソードを読んで、これはすごく大事な姿勢だなと思った。
外国人ではなく通訳の人に、子どもではなく親に。
無意識に、自分が伝えやすい相手に話しかけてしまうことってあるような気がする。
でも、自分が本来伝えるべき相手は誰なのかっていうことをきちんと認識して話すことが、1人の人として相手を尊重することになるんだと思うし、そういう姿勢を心がけたいと思った。
こんな豪華な旅をすることなんてないんだろうけど、一流のホテルマンのおもてなしは色々な勉強になりそうだし、経験できたらいいだろうなぁ。
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