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熱を加えると透明になる紙「パチカ」が可愛い

自分がいいと思っているものを何でもかんでも「可愛い」と表現してしまうこと、ありませんか?語彙力低下著しいのであんまりよくないと思ってはいるんですが。

でも、でも!私にとって紙は「可愛い」んです!
(以前、「トレーシングペーパーの可愛さについて語る」という記事を書いた話を同僚にしたら、「『紙』と『可愛い』が結び付かない。」と言われてしまいました…。あれ?私の感性って特殊??)

今回は皆様にも「可愛い」と思っていただけるのではないかと思う紙を1つご紹介します。

その名も、パチカ

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、この紙、ちょっと変わってるんです。

白い紙が透明になる不思議感が可愛い

元々のパチカ。写真でみるとただの白い紙のように見えますが…。

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ここに熱を加えながら凸版でプレスする「加熱型押し」という加工をすると、熱が加わった部分が透明に変化します。

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下に印刷物を敷くとわかりやすいかもですね。

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パチカには通常の木材パルプに特殊な合成パルプが配合されていて、熱を加えるとその合成パルプが溶けることで半透明になります。

熱の温度やプレスの秒数で透明の仕上がり具合が全然違うので、パチカを綺麗に加工するのには技術がいります。要領としては箔押しと同じなので、印刷会社さんというよりは箔押し屋さんの方が得意な加工です。

パチカには130㎏、200㎏、350㎏と3種類の厚みがあるんですが、350㎏にもなると結構ぶ厚く加熱型押しをしても透明感が出にくいので、綺麗に透かせたいなら130㎏・200㎏の方が良いと思います。
ただ注意点があって、あまり広い面積で透明化させると紙自体が波打ってしまうので、ベタ面が多いデザインは不向きです。

触り心地がふかふかの絨毯みたいで可愛い

パチカの良さは透明になるところだけじゃない!!実はパチカの良さは触り心地にもあるんです。

少し起毛した感じで、もうね、ふかふかの絨毯みたいなんですよ!パチカの布団で寝たいと言った人がいたとかいなかったとか?それくらい触っていて気持ちがいいんです。

パチカは柔らかいので、透明化させずに空押しやエンボスでも繊細な表現が可能です。海外では点字が綺麗に表現できるということで採用になった事例があると聞きました。(今も使われているのかな…)

パチカで結婚式の招待状を作ったら可愛すぎた

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…けど、大変でした(笑)。

前職のときに、お世話になっているデザイナーさんの依頼でパチカで招待状を作りました。
ウエディングドレスにも通じる純白と、光を透過する文字たち。
太陽の光が差し込む教会での結婚式を想起させます。

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全貌を見せるのは微妙なのでアップの写真しか載せませんが、文字や式場の地図などすべて加熱型押しで表現しました。3つ折りで版がかなり大きいので、お値段はそりゃもう…(自粛)


パチカは折り加工に弱く、何度も折ると折ったところからけば立ってくるのですが、招待状なら何度も折らないのでまあ大丈夫かなと。

ほかにはない唯一無二の招待状ができたと思います。
思い出に残る仕事ですね。


パチカの注意点

ここまで可愛い可愛い言ってきましたが、パチカには普通の紙に比べて注意点があります。


・4色印刷には不向き
表面が柔らかすぎるので印刷はあまり得意ではありません。印刷会社さんによってはできないことはないですが、基本的には印刷は1色がおすすめです。
パチカ自体に印刷するよりは、印刷した別の紙と合紙して下の色を透かせる等の表現の方が特性が生きる気がします。


・折り加工に弱い
先ほどの招待状のところで触れましたが、折り加工に弱く、何度も折ると折ったところがけば立ってきて、破れてしまうことも…。
本のカバーに使用したい場合は、後ろからPPを貼ると強度を増すことができます。
残念ながらパッケージでの採用事例はあまり見たことがありません。作品ならありますが、量産化するにはコスト面のハードルも高いですね…。

お酒のラベルには採用事例がありますよ。今代司酒造さんの「人と 木と ひととき」は可愛いというよりは美しい…!!


半透明にしたいけど強度も欲しい…そんなときは

パチカに似た紙でOKフロートという紙があります。

パチカに比べると透け感は少ないですが、紙としての強度はパチカよりも上のため、印刷や後加工がしやすいというメリットがあります。
また、白以外にもカラーバリエーションが豊富で、濃色の場合は加熱型押しした箇所の色が濃くなるのでそれもまた可愛いですよ。


パチカは変わった紙なのでお値段は可愛くない(笑)んですが、ここぞというときに使ってもらえると効果的&心に残るものが作れるのではないかと思います。

書きながら再確認しましたが、やっぱり私にとって紙は可愛いのです!紙雑貨より紙そのものに可愛さを感じるのは、ちょっと特殊なのかなあと思いますけれど。

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