紙を使った自由研究のアイデアの種
気が付けばもう8月。子どもたちは夏休みの真っ最中ですね。
夏休みといえば自由研究!皆様は自由研究が得意でしたか?また、皆様のお子様は自由研究が得意でしょうか?
私はとっっっっても苦手でした!!
小学校のときは自由研究と工作のどちらかを選べたので迷わず工作を選択。中学は理科の授業で必須の宿題になってしまったのですが、経験のなさもあり、めちゃくちゃ苦労した思い出があります…。とにかくテーマが思いつかなかったんですよね。8月31日の夜に泣きそうになりながらやった思い出も…(笑)
というわけで、今日は私のような自由研究が苦手な子どもたちのヒントになるような、紙を使った自由研究のアイデアの種(苦手だった人が考えてるのであくまで種です…!)を書くのに挑戦してみたいと思います!
紙の流れ目を利用したアイデア
紙に「流れ目」があるのはご存じでしょうか?紙を作る際に、抄紙機(紙を作る機械)の上を原料のパルプが一定方向に流れていくため、進行方向に繊維の向きが揃います。この繊維の向きを流れ目と呼びます。
繊維の方向が長辺に平行に流れている紙をT目(タテ目)、短辺に平行に流れている紙をY目(ヨコ目)といいます。
なぜT目とY目の紙と2種類の流れ目ができるのでしょうか?実は、紙はトイレットペーパーのように丸まった状態でできあがり、長方形にカットした後に出荷されます。そのカットの仕方によって流れ目が変わるわけですね。
流れ目はわりと簡単に見分ける(触り分ける、と言ったほうが正しいのかな)ことができます!
ここに1枚の紙があります。横に折ろうとすると、特に抵抗はありません。
ところが、縦に折ろうとすると、反発を感じます。
流れ目に平行に折ろうとするとすんなり、垂直に折ろうとすると折りにくくなるんです。つまり、先ほどの紙は横向きに折りやすい=横に繊維が流れている=Y目の紙、ということになりますね。
世にある紙製品はこの流れ目をきちんと考えて設計されています。
例えば本。基本的には本の背に平行の流れ目が選ばれます。逆の流れ目(逆目といいます)で作ってしまうと、折りにくくめくりにくい本になってしまうのです…!
この流れ目の存在を利用して、ちょっとした実験(調査)を考えてみました。
身の回りにある紙の流れ目を当ててみる
先ほど、紙の流れ目は折ろうとすることで分かると書きましたが、もっとわかりやすい方法があります!
それは、破ること。
百聞は一見に如かず、ということで早速破ってみましょう!
①新聞
折り目と平行に破いてみるとこの通り、特に問題なくまっすぐ破れました。
続いて横方向(折り目に垂直)から破いてみましょう。
あれ?縦方向はまっすぐ破れたのに、横方向はキレイに裂けない…!
紙は、流れ目に平行方向は比較的キレイにまっすぐ破けるのですが、垂直方向だときちんと破れないという性質があるのです。
じゃあ新聞紙は縦に破ったらキレイに裂けたからT目…ではないですよ。
新聞紙を大きく広げてみると…
そう、1枚の新聞紙は横長なのです。つまり、キレイに破れたのは短辺に平行の向き。新聞紙はY目であることがわかります。
流れ目と折り目を平行にすることで、折りやすく・めくりやすくしているのだと推測できます。
②タブロイド
続いては、新聞の半分サイズであるタブロイド。新聞と同じY目かと思いや…。
なんと、折り目と垂直の横からの方がキレイに破れました。つまりはT目!新聞紙と同じならY目仕上げの方が折りやすいはずですが…。試しに他のタブロイドも破ってみましたが、すべてT目仕上げだったのでタブロイドはT目仕上げが一般的なのだと思われます。
新聞紙のちょうど半分サイズだから、目が逆になるのかな…。Y目仕上げにすると、紙の取り都合が悪くなって(印刷できずに捨てる部分が増えること)コストがかさむ、みたいな理由があるのかもしれません。
③パンフレット
読み終わった中綴じパンフレットも破らせてもらいました。
こちらは折り目と平行の流れ目でした。見開きで考えるとY目仕上げで、新聞と同じですね。
こんな感じで、色々な紙を破って、どちらに流れ目があるか・なぜその流れ目の方向なのか考えてみてはいかがでしょうか?紙は身の回りに色々な種類がありますから、手軽にできますよ。そもそも、「実は紙にはたくさん種類がある」ということ自体、見逃しがちなことだと思うので、日常の小さな気づきにつながるのではないでしょうか。
ちなみに、トレーシングペーパーは破らなくても流れ目がわかります。
以前書いた「トレーシングペーパーの可愛さについて語る」という記事に載せた写真です。
手の湿気で、流れ目の方向に沿って反るんですよ!
つまりこの紙はT目ですね。
トレーシングペーパーは湿気に弱いので、手の湿気だけでこんな風に反ってしまうんです。他の紙はこんな風にはなりません(笑)
以前、ちびっこうべというイベントで子どもたちに実際に手の上に乗せて実験してもらったことがあるんですが、大盛り上がりでしたので、興味を持ってくれるお子様は多いんじゃないかと思います。
ノートを手作りしてみる
さらに一歩進んで、流れ目を意識しながら手作りノートを作ってみてもいいかもしれません。
余談ですが、「オリジナルノートを作ろう!」といった記事に流れ目に関する記述がないと「待って~!流れ目大事よ!」と思ってしまうんですよね(笑)。流れ目を間違えて印刷や製本してしまったら刷り直しですよー!!まあでも正直、薄い紙は逆目でも簡単に折れちゃうんです。厚手の紙は折りにくいのが分かると思います。
【用意するもの】
・表紙用の厚手の紙…先ほど述べたように薄いと流れ目に垂直に折っても反発があまりなく、見分けがつきにくいので、厚手の紙がおすすめです。
・本文用紙…好きな紙を選びましょう。同じ紙で揃えるのではなくて、変わった色や風合いの紙を混ぜても楽しいですね。
・ホッチキス…180度開くタイプのホッチキスを用意しましょう。
・消しゴム…ホッチキスでとめるときに下に敷くとキレイにとめられます。汚くなって使っていないものでOK!
・カッター
・カッターマット
・定規
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【実験の流れ】
①厚手の紙の流れ目を調べよう T目?Y目?
表紙用の紙を折ったり破ったりして、流れ目を調べます。
②カットしてT目仕上げの紙とY目仕上げの紙を作ってみよう
今回はA4の紙を用意しましたが、A3以上の大きめの紙を用意して、T目とY目の紙ができるようにカットしてみるのも面白いですね。
③折りやすい方向はどっち?
T目、Y目の紙それぞれの折りやすい方向・折りにくい方向を確かめます。
④本文用紙も同じようにT目仕上げ、Y目仕上げの紙を作って折りやすさを確かめてみよう
このとき、薄い紙ではあまり違いがわからなかった、という結果でもいいと思います。
⑤表紙用の紙と本文用紙を重ねる
⑥ホッチキスでとめる
裏返すとこんな感じ。ホッチキスの下に消しゴムをクッション代わりに置くとうまくとめられます。
⑦完成!
表紙に絵を描いたり、シールでデコレーションしても楽しいですね。
⑧T目、Y目、どちらの紙が作りやすかった?
最後に、作りやすさや使いやすさに違いがあるか考察します。
いかがだったでしょうか?ちょっとまだアイデアの種段階のものを書き連ねた感じもありますが(笑)。ここから煮詰めて、子どもたちに紙の面白さを伝える取り組みも実現できたらいいなーと思います。
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