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バレンタインとは、紙の祭典である。

もうすぐバレンタインですね。
バレンタインと言えば、チョコレートの祭典。

ですが、私にとっては紙の祭典でもあります。

なぜなら、バレンタインチョコのパッケージは凝ったデザインのものが多くて、色々な種類の紙が使われているからなんです~!

紙屋さん時代は、自社商品が使われているか市場調査するため、百貨店の催事をハシゴしていました(笑)。
今年はこのご時勢もありハシゴは控えましたが、やはり気になりまして、少しだけ偵察に行ってきました!
いくつか購入してきたので、ご紹介します。

※この記事には一切チョコレートの感想は出てきません。延々と紙の話が続きます。チョコについては有識者の方にお任せします(笑)。

1.TOSHI YOROIZUKA「SACHER」×タント

まず最初にご紹介するのは、特殊紙の定番ともいえる、タントを使ったパッケージ。ちなみに、中身はザッハトルテです。

タントはさりげない細やかなエンボスが印象的な紙で、現在の色数はなんと200色!パッケージのほか、書籍の装丁や封筒、メニューなど様々な紙モノに使われています。身の回りにある紙モノを観察してみると、タントは結構すぐに出会えますよ。

2019年に50色増えて計200色に

そんなわけで、紙屋さん時代に自分で売っているときは正直見慣れてしまっていて、タントが使われているパッケージを見てもスルーしがちでした。

でも先日、タントのメーカーである特種東海製紙さんの勉強会に参加する機会がありまして。
そのとき改めて説明を聞いて、ちょっと自分の中で見え方が変わったんです。なんというか、エンボスの主張が強すぎず、弱すぎずでバランスの良い紙だなあ、と。定番で使われているのには理由があるのだと再確認した次第でした。

そんなタイミングで出会ったタントのパッケージ。
一見、茶色のタントを使っているのかなと思いましたが、実は印刷です!
真ん中の白い部分が紙地なんですね。見本帳で見たところN-8ではないかと思います。
(厚みは不明。この先、何枚かパッケージと一緒に見本帳を写した写真が出てきますが、色味の確認のみに使用しており、厚みに関しては見本帳に記載されているものと同じとは限りません)

余談ですがこのパッケージの色、ビオトープGA-FSのカカオビーンズという色にとても似ているんですよね。
カカオビーンズを見て色合わせしたんですか?というくらい(笑)。

そっくりな色味

ビオトープGA-FS カカオビーンズはバレンタインの貼り箱によく使われる紙で、チョコのパッケージといえばこの紙!という印象でした。
ですが、今年は私が見る限りは例年より減っていた気がします。代わりにタントのパッケージが増えたように見受けられました。
ビオトープGA-FSはエンボスがなくプレーンな紙。もしかしたら今のトレンドは「さりげないエンボス」なのかもしれません。

2.ル・ショコラ・ドゥ・アッシュ×サガンGA

同じ「さりげないエンボス」紙でも、タントよりも硬質な雰囲気のサガンGAを使ったパッケージもありました。

私が購入したのは、ピーチ味のボンボンショコラ。ピーチ以外にもマロンやアップルティーなど様々な味がありますが、紙はすべてサガンGAのダークグレーで統一されていました。味によって箔押しの色が違います。

サガンGA ダークグレー

箔押しのニュアンスカラーのピンクが紙の色とマッチしていますね。
実は「LE CHOCOLAT DE H」の部分が浮き出しになっていて、こだわりを感じます。

他のブランドでもサガンGAを使ったパッケージが散見されました。この紙は2016年発売で、発売から6年近く経っていることになります。市場に浸透してきたというところでしょうか。

3.レ・トロワ・ショコラ パリ×レザック16

ひときわ目をひく蛍光ピンクのパッケージ!!
これはレザック16 ケイコウピンクですね。一目でわかる(笑)。

蛍光色の紙は退色しやすいので、一年通して店舗に置かれるパッケージに使用するのは厳しいですが、バレンタインなどの限定品なら使えますね。

「3」の部分の箔押しがカカオになっていて可愛い!
タントやサガンGAに比べておおぶりなエンボス紙ですが、しっかり箔がのっています。

4.セゾン ド セツコ×てまり

気が付けばエンボス紙の話ばかりしているので、趣向を変えて和紙を使ったものを。

こちらはてまりといって、本物の糸が抄き込まれた紙の貼り箱です。この金と白の線は印刷ではなく糸なのです!

てまり 金・白

紙を作る段階で糸を入れているので、1つとして同じ模様になりません。というわけで、同じ商品を買っても、少しずつ模様が違うところが面白いですね。
このブランドは結構前からてまりをつかっていたように記憶しています。

蓋はてまりですが、下の身箱の方はタント。色はH-58のようでした。

5.ICHIJI×ディープマット

ここまで貼り箱が多かったので、厚紙を使ったパッケージもご紹介します。
芦屋「ICHIJI」のビーン・トゥ・バーチョコレート(板チョコ)。

この繊維の入り具合と色から見て、ディープマットのボルドーじゃないかと思います。濃色でナチュラルな質感が欲しいときに重宝する紙です。

印刷は何もなく、エンボスのみのシンプルな表現。紙の持つ力が最大限生かされています。

このパッケージのように、厚紙全体にエンボスのみでデザインされているパッケージもいくつか見られました。紙は白が多かったかな。ただ白い紙だとなかなか名前までわからなくて…もっと精進せねば、です。


番外編:ジャン=ミッシェル・モルトロー×コルドバ

売り切れていて買えなかったんですが、すごいパッケージを見つけました!店員さんが撮影&SNS掲載許可してくださったので載せます。

じゃん!

蓋が紙でできた編み込みのカゴー!!
機械で編むのは難しいので、手作業だと思うんですけど…。どのくらい時間かかるんだろう…。これで量産化して、さらに価格もバレンタイン商品の一般的な価格帯におさまっているのがすごい。

紙は革のような質感を持つ、コルドバ

コルドバはすごくなめらかで柔らかいので、編み込みに適していたんじゃないかなあと予想しています。
普通の紙だったら、作業の途中でシワが寄ったり折れたりするんじゃないでしょうか。

なめらかで柔軟性がある紙です

店頭にあったジャン=ミッシェル・モルトローのカタログを読むと、こちらのパッケージはフランス人がマーケットに出かけるときに持参するパニエ(カゴ)をイメージしているとのこと。
パニエに入る分だけを買うから、買いすぎず無駄がない。サスティナブルな知恵だそうです。
このパッケージならチョコレートを食べた後に、捨てずに別のものを保管するケースとして使えそうですね。パッケージデザインにもサスティナブルが実践されていると感じました。

さいごに

今回ご紹介したパッケージ以外にも、特徴のある紙や面白い紙を使ったパッケージがたくさんありました。また、このnoteでは紙の話ばかりしましたが、形状や加工にも注目してみるのも面白いですよ。
チョコレートを購入される際には、ぜひパッケージにも注目してみてくださいね。

それにしても、こんな風にたくさんの種類のチョコレートを買える環境は幸せだなあと感じます。チョコレート生産者さんや、関わったすべての方たちに感謝です!
今回買ったチョコたちは家族にあげたり、仕事の合間のおやつにしたり、お土産に持っていたりして、しっかり味わいたいと思います。

#わたしのバレンタイン

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