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韓国映画歴18年の私が本当におすすめするサスペンス系映画5作品

『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞作品賞を受賞し韓国映画が再び注目されたことで、韓国映画に興味を持ったという方も多いのではないでしょうか。

しかし、
・「多すぎて分からない!」
・「おもしろいものをすぐに見たい!」
と思っている方も多いと思います。

そこでこの記事では名作が多いサスペンス系映画のなかから、韓国映画歴18年の私がおすすめする5作品(ただし後味悪め)をご紹介します!

1.チェイサー(原題:追撃者/추격자)

これぞ韓国サスペンスの名作!実際の事件を基にした衝撃の映画。

<あらすじ>
デリヘルを経営する元刑事ジュンホ(キム・ユンソク)の元から、女たちが相次いで失踪。時を同じくして、街では連続猟奇殺人事件が勃発。
ジュンホは、女たちが残した携帯電話の番号から客の一人ヨンミン(ハ・ジョンウ)に辿り着く…「女たちは俺が殺した。そして、最後の女はまだ生きている」捕らえられたヨンミンはあっけなく自供するが、証拠不十分で再び街に放たれてしまう。
警察すらも愚弄される中、ジュンホだけは、囚われた女の命を救うため、夜の街を猛然と走り続ける…。

後味が抜群に悪い

無能な警察、犯人のヨンミン、行方不明の女を追うジュンホそれぞれが一筋縄ではいかず、もどかしいまま物語は進んでいきます。

息が詰まってしまいそうな展開、容赦ないアクションシーンにじわりと汗をかいてしまう緊張感。

そしてその緊張感が解き放たれるとき、ザラついた後味の悪さが残る、そんな映画です。

この連続猟奇殺人事件は、2003〜2004年にかけて実際に起きた「ソウル20人連続殺人事件」をベースにしていると言われています。
全くのフィクションではないところが、リアルさに拍車をかけています。


2.哀しき獣(原題:黄海/황해)

『チェイサー』の二人が再び!また走って走りまくる。

<あらすじ>
グナム(ハ・ジョンウ)は、中国延辺朝鮮族自治州でタクシー運転手としてまじめに働いている。だが、妻を韓国に出稼ぎに出した際に作った借金はかさみ、頼みの綱の妻からの送金も連絡さえもすでに途絶えてしまっていた。そんなとき、彼は地元を牛耳る犬商人のミョン(キム・ユンソク)から借金清算の代償としてある条件を出されて……。

逃げまくるハ・ジョンウと牛骨を凶器にするキム・ユンソク

とにかくハ・ジョンウが走って走って逃げまくる。
さすがに逃げ切れないだろう、という所でもギリギリ逃げ切る。この捕まりそうで捕まらないハラハラ感がたまりません。

また凶器として手斧や包丁が登場し、それらを駆使した死闘が繰り広げられますが、ここで悪役キム・ユンソクが手にするのが牛骨。

そう、牛骨です。

私が見てきた韓国映画のなかで、最も驚いた凶器です。

暴かれる真相に全身の力が抜けてしまい「哀しき獣」のタイトルが染みてきます。


3.コインロッカーの女(原題:チャイナタウン/차이나타운)

こんなキム・ゴウン見たことない!裏社会を生きる女性の過酷な宿命とは。

<あらすじ>
生まれて間もなく地下鉄のコインロッカー10番に置き去りにされた赤ちゃんは、イリョンと命名される。
そして、仁川のチャイナタウンに君臨し、裏社会の人々には“母さん”と呼ばれる女性(キム・ヘス)が彼女を養育する。やがて大人になったイリョン(キム・ゴウン)は母さんの経営する闇金融業を手伝うようになるが……。

借金取りの女にパスタをふるまうパク・ボゴムの純粋さ

闇金融業を手伝うキム・ゴウンの前に現れた負債者の息子パク・ボゴム。
借金の取り立てに来たキム・ゴウンにいきなりパスタをふるまいます。
これにはキム・ゴウンだけでなく私も動揺しました。

しかしそんな純粋で気品溢れる彼に、キム・ゴウンは惹かれていきます。
人を疑わない、ちゃんとその人を見る姿が「もしかしてそのままのパク・ボゴムではないか?」と思うほど見事にハマっていて、彼が演じた役で一番好きかもしれません。

また話の舞台が裏社会なので血なまぐさい場面も多くありますが、グロいというよりは全体的に切なさが漂うところも、役者の演技や演出のおかげでしょうか。

韓国の大女優キム・ヘスと『トッケビ』のキム・ゴウンが、これまでとは全く違う姿を見せているだけでも見る価値あります。


4.母なる証明(原題:マザー/마더)

2009年のポン・ジュノ監督作品(個人的には最高傑作)

<あらすじ>
早くに夫を亡くして以来、一人息子のトジュン(ウォンビン)と静かに暮らすヘジャ(キム・ヘジャ)。そんなある日、街で殺人事件が起こり、もの静かなトジュンが第一容疑者に。
事件の解決を急ぐ警察がトジュンを犯人と決めつけ、無能な弁護人も頼りにならない中、ヘジャは真犯人を捜し出し、息子の無実を証明しようとする。

ウォンビンとキム・へジャの瞳までが恐ろしい

『母なる証明』を初めて見たとき、役者の「瞳まで演技する」恐ろしを覚えました。
ウォンビンってこんな演技も出来るの...?と心底驚いた作品でもあり、圧倒されて鳥肌が立ったことを覚えています。

息子の無実を証明しようとするあまり、狂気ともいえる”愛”を見せていく母親の姿。
草原のなかで母親が虚ろな表情で踊るところから始まりますが、すでに不協和音のようなシーンにこの映画が「普通ではない」ことを物語っています。

『パラサイト』でポン・ジュノ監督を知ったという方には、ぜひ見てほしい作品です。
もちろん、ポン・ジュノ監督おなじみのドロップキックもあります。


5.殺人者の記憶法(原題:살인자의 기억법)

展開に何度も裏切られる

<あらすじ>
かつて連続殺人を犯し、アルツハイマー病を患うビョンス(ソル・ギョング)は、接触事故に遭った後にテジュ(キム・ナムギル)という男と出会う。その異様な雰囲気から彼が殺人鬼であると直感したビョンスは、警察に通報しようとする。だが、テジュが警察の人間であったことから誰もまともに取り合おうとしない。
たった一人でテジュの凶行を食い止めようとするが、アルツハイマー病による記憶の喪失に苦しめられるビョンス。そして、新たな殺人事件が発生し……。

正しい記憶はどれなのか

アルツハイマーの元殺人者という設定にムリがあるのでは...と感じましたが、この設定のおかげでことごとく裏切られます。

娘を殺人者から守るために奮闘することになりますが、果たしてそれは正しい記憶なのか?はたまた妄想なのか?
何が現実で、どの記憶が正しいのか。見ている側も疑心暗鬼になってしまう秀逸なストーリー展開です。

予想を上回る展開と映像美、そして圧倒的役者の存在感!
特にソル・ギョングの顔の痙攣の演技がとにかく凄い!この痙攣だけでも「見る価値あり」と思ってしまうほど。

娘役のAOAソリョンも、アイドル演技から抜け出し見事に演じていました。
そして信頼と実績の名脇役オ・ダルスが、『殺人者の記憶法』でも良い仕事をしています。


まとめ

残酷な描写が多いのも事実ですが、登場人物の心理描写が丁寧に描かれているので、人間ドラマとしても楽しめます。
韓国でもヒットを記録した作品ばかりですので、ぜひ作品を選ぶときの参考にしてくださいね。

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