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うちの子、超能力者かもしれない

うちには三人の子どもがいる。
今日は次男の話をしたいと思う。

次男は生まれたときからとにかくエネルギッシュだった。
3500gの大型新人としてこの世に生を受け、その後も成長曲線の最上に沿って、すくすくとデカデカと成長してくれた。

1歳児健診では「100人の子どもがいたら3本の指に入る大きさです」と言わしめ、他の親からは乳幼児無差別級と恐れられた。

あまりの重さに妻の足腰は悲鳴をあげ、ジジババは「抱っこが苦行」とさえ言った。

ボンレスハムを彷彿とされる四肢。
首も座らぬうちに寝返りをやり遂げるパワー。

手首の関節には肉の谷間がうまれ、そこに溜まる「よだれ・食べカス・垢」による悪臭のトライデントアタックには顔をしかめた。

早いもので、今は2才になった。

保育園ではひときわ体が大きいため、ちょっとしたスキンシップのつもりで他の子と戯れると、思わぬダメージを与えてしまうことがあるらしい。

心優しい強キャラが小動物を愛でようとして、力加減が出来ずに潰してしまうあの感じだ。
悲しきモンスターみたいな運命を生きているのが少し不憫ではある。

さて、この次男には超能力者疑惑がある。

三男出産をめぐってのことだ。

臨月に入り、三男は逆子状態。
次の検診のときにまだ逆子だった場合は、帝王切開による分娩を確定すると担当医から言われた。

猶予は1週間だった。
その週は種々の事情からこども病院での検査も受けた。
このときの検査でも逆子。

残された期間は3日だった。
これはもう期待できない。
これまで長らく逆子だったやつが都合よく半回転するはずがない。

帝王切開がダメというわけではないが、出来るなら普通に分娩したいというのが妻の思いだった。

諦めムードが漂ったそのとき、次男が立ち上がった。

まだ2才の子どもが逆子だどうだなど分かるはずがない。そもそも説明すらしていない。
しかし、やれやれ...といった感じでおもむろに妻の腹部に両手で触れるやいなや、「ぐるーん!ぐるーん!」と言いながら回転させるような動作を5回ほど行ったのだ。

この子は何をしているんだろうと思いながら、私たちは笑っていた。

そして、次の健診。
なんと、逆子は正常位置についていたのだ。

本当に次男のぐるんぐるんが効いたのではないか。

次男のエスパー疑惑はもう一つある。

妻が出産のために入院した翌朝のことである。
6時ちょうどくらいに次男が突然窓辺に向かい、「あかちゃぁん!あかちゃあん!」と言いながらぴょんぴょん跳ねている。

その出来事から2時間後くらいに妻からLINEが入り「5:59に産まれた」と報告があったのだ。

これには相当驚いた。
偶然かもしれないが、何か特殊能力があるんじゃないかと疑わざるをえない。

最近では、鳥のさえずりをじっと聞きながら、「鳥さんがお話してる」と言っていた。

あと、怒ったり、嫌になったときに「ンガーッ!」とか「ンナーッ!」と吠える。誰もこんなこと教えていない。

『メイドインアビス』という漫画にナナチという野生児っぽいキャラクターがいるが、そのキャラの口癖はたしか「ンナー」だった。

超能力じゃなくて野生の勘が優れた奴という線もあるかもしれない。

彼は一体何者なんだろう。
これからが楽しみだ。

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