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No Music No Life 第4回

誰にでも、想い出の音楽がありますよね。
あなたの心に刻まれている音楽は何ですか❓

ここでは、僕の心に残っている音楽を
皆さまに紹介していきます。

若いころ、カメラを携えてマンハッタンの路地を徘徊していました。
マンハッタンの路地は、胸が躍るような被写体の宝庫でした。

「それ」は、ロウアーマンハッタンのサウスストリートの港町から路地に入った所で、目の前に現れました。
そのエリアは古くからの港町で、昔ながらのレストランや魚屋が狭い路地にギュッと密集していました。

現れたのは、煉瓦の壁に描かれた落書きです。

一見何処にでもあるような落書きでしたが、その鮮やかな青色に惹かれて、夢中でシャッターを切りました。

撮影を終えて帰ろうとすると、通りを挟んだ向かいの勝手口から、一人の青年が姿を現しました。
その青年は、南米特有の濃い瞳の青年でした。
手にはモップを持ち、白い調理服を着ています。

「お兄さん、ここで写真撮ってたの?」
「あぁそうだよ」
 青年の問いかけに、僕は答えました。
「このペイント、僕が書いたんだ!」
「えーそうなんだ」
 ここで作者が登場するとは、正直驚きました。
「ちょっと待ってて」
 こう言うとその青年は、勝手口に消えていきました。
 やがて、もう一人の青年を連れて来ました。
「こいつと一緒にペイントしたんだよ」
「へー凄いねー」
「じゃ、一緒に記念写真を撮ろう」
 僕は、彼らに提案しました。
 ファインダー越しからは、彼らの得意げな笑顔が見えました。

 カッシャ!

 軽快な音とともに、シャッターを切っていきます。
 数枚撮り終わると、彼らは僕に尋ねてきました。

「この写真って、どの雑誌に載るの?」
「雑誌かー・・・」
「ごめん、雑誌には載らないよ」

 彼らは少し寂しげな表情をしました。

「でも、いつかきっとMoMA (ニューヨーク近代美術館) に展示してやるさー」
「ほんと?」
「約束だよ」

 彼らは、笑顔に戻ると、出てきた勝手口から職場のレストランの厨房に消えてきました。

 MoMAに展示

 おっきな宿題をもらってしまいました。
 その宿題は、まだここにあります。

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 その頃、マンハッタンで流行していたこの曲を聴くと
 あの時の情景が鮮やかに甦ります。

Taio Cruz “Falling in Love”

https://www.youtube.com/watch?v=CVreXRvg3R8


#NoMusicNoLife

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