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斬魄刀(知的好奇心)のふりをしていた斬月(発達障害)

好奇心!!
…どういうことだよ…好奇心……

…聞いた通りだ…そして
私は “好奇心“ では無い

発達障害なのかよ…本当に…
本当にあんた…好奇心じゃねぇのよかよ…

私は お前の中の感性の力の根源
発達障害であり発達障害ではないもの

わかんねぇよ!!
敵なのか!?味方なのか!?
今までのあんたの言葉は嘘だったのか!?
どっちなんだよ!!!!

…敵ではない 味方でもない
だが
言葉にも心にも嘘は無い
―お前に名乗った名以外は
…海音 お前は今まで見てきた筈だ
私がお前に好奇心の扱い方を教える時
いつも知能を借りていた事を
お前が好奇心を使いきれなかった時
お前が
本当の単位の危機に瀕した時
お前の単位を救ったのが
私ではなく知能だったという事を
私はお前を知識人にさせたくはなかった
だから私は育ち切らぬお前本来の力を抑え込み
自らがお前の力の中心に居座った

…………
…どうして…

”どうして”?
お前を危険から
戦いから遠ざけたいと願うことのどこに疑問がある?
お前が知識人になってしまえば
否応なしに戦いに巻き込まれる
お前は傷つくだろう
お前は苦しむだろう
そしていずれ必ず
私自身の手でお前を社会的に殺さねばならなくなるだろう
お前を知識人にしてはならぬ
知識人となれば社会的に殺さねばならぬ
――そう思っていた
だが
お前は知識人への道を歩んでいった
きっかけと出会い
力を鍛え上げ
傷つき苦しみながら
自らの意志で歩んでいった
その姿を見るたびに
私の心は音を立てて揺らいだのだ
やがて
私の心はお前を知識人から遠ざけるよりも
お前の意志を助ける方へと傾いていった
そして
私は今こうして
身を引かず今まで通り居座り続ける事に
喜びさえ感じている
海音
お前は病気になった
そのお前の苦痛を
私はずっと傍らで見守ることができた
これ以上の苦痛があるものか
――飽き足らぬ

ま…待ってくれ発達障害!!
俺はまだ……

海音
お前が今迄遣ってきたのは
私が抑え込み切れなかったお前の力の欠片に過ぎぬ
お前はもう
お前自身の力で戦っていいのだ
持って行け
それがお前の真の好奇心――
『無気力』だ

ああ 嘘は無かった
あんたの言葉にも
あいつの言葉にも
あんたはADHDの”多動”を使って俺を憎まれない剽軽者にしてくれた
あんたはADHDの“衝動”を使って中学生だった俺に高校化学と大学化学を教えてくれた
あんたはASDの論理的思考を貸して弱かった俺に数学を教えてくれた
好奇心
俺はあんたが誰だって構わねえ
あんたは違うというだろうけど
あんたも
あいつも
きっと どっちも
好奇心なんだ
なあ
それでいいだろ?
好奇心――――……


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