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HSPという言葉の問題(その1)

HSPは精神医学の言葉ではない

 ASD/ADHD(発達障害)、うつ、社交不安障害等、
精神疾患はそれが脳の病気であるとか、場合によっては甲状腺に原因があるとか、原因が医学上はっきりしている。
 一方でHSPは心理の言葉としては意味を持つかもしれないが、原因を特定するものではないので、精神医学の臨床の場では全く意味をなさない。当人への慰めになったとして、HSPという言葉・分類が社会生活上の問題を取り去ることに何ら寄与していない(原因がはっきりしていなくて治療が存在しないのだから当たり前)ので、それで安心してしまったところで例えば精神疾患の発症を許してしまう。
言葉だけあっても原因が解決していないのだから治療としての意味はない。

精神疾患を性格の多様性として矮小化している

 HSPという言葉をよく使う人の中には、私のASD/ADHDの症状を指して、
「HSPだと思う。性格の違いは誰にでもある。それは良さでもある。」
などと言ってくる人もいる。ただこれは大問題である。ASD/ADHDの病的な振る舞いは、適切な治療を受けずに放置すると二次障害としてうつ、双極性障害、統合失調症などの精神疾患をしばしばもたらすものなのである。
 病気を誰もが持っている性格の違いとして扱うのではいけない。特別な医療的措置が必要な病気なのであるから、そこを矮小化してはならない。
 裏を返せば良いこともあるなどという根拠のない気休めは意味がないばかりか、精神疾患の発症を生んで当事者を苦しめるだけである。
病気は病気である。決して良いものではない。

私はHSPだと思うんだけど、どうすればいいの?

社会生活上の問題を解決したいと思っているなら精神医学的治療をしてくれる病院に行ってください。有象無象のインターネットで情報を探ればゴミを頭にインストールすることになり、そればかりか得意顔でゴミを社会に流布してドン引きされる激ダル人間に成り下がるばかりで何も良いことがありません。医師という専門家に適切な書籍なりなんなり紹介してもらってください。

冷たい言い方しないで

病気は冷たいものです。
私達の気持ちに合わせてくれるものではないです。
重要なのは「冷たいかどうか」、ではなくてそれが精神医療として意味があるものであって貴方の辛さの改善に寄与するかどうかです。
貴方がこの冷たい事実を事実として受け入れて適切な治療を受け、継続しようと思う限りは、漸次的な改善を見ると思います。
精神疾患として原因が明確になれば対処の仕方が分かります。さらに、それが重度のうつや発達障害や知的障害であったと分かれば、社会的なサポートも受けられます。
気を紛らわすことではなくて、問題を解決することを考えましょう。

世界には、歯が痛いのにお金がなくて、ヘロインでごまかす人もいるそうです。適切な医療を受けずに心を慰めることに終始するというのは、まさにそれと同じです。
意味がないことは、意味がないです。
これだけ医療も福祉も発達している国です。刹那的な快楽を求めて身体を壊すような、そんな愚かなことは、どうかなさらないでください。

↓その2


更新日時
2023/02/22 4:31; 投稿
2023/02/24 2:35; その1と改める
2023/02/28 19:09; 誤字の訂正
2023/08/22 4:41; その2のリンクを追加


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