Sato Yuki

写真が好きです。写真集を買い漁ったり、展示を巡ったりしています。

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光をそのままに|『Secret Rituals』西山勲

写真家・西山勲氏による写真集である。 世界を旅しながら各地で出会ったアーティストたちの日常をドキュメントしたインディペンデントマガジン『Studio Journal knock』を発行する西山氏。 本作『Secret Rituals』は、これまで撮りためた写真群からあらたにセレクトし、これまでの旅の歩みを振り返る一冊となっている。 まず印象的なのは光だ。訪れた国は北南米、東西ヨーロッパ、中東、アフリカ、アジアなどだが、それぞれの国で、光の質が違うことがわかる。フィルムの調達

    • 花、擬態、蝶|『PUPA.』大辻隆広

      長らく完売していた写真家・大辻隆広の初の写真集『PUPA.』の再販である。しかし、ただの再販ではなく、新たに撮り下ろしも追加されている。 大辻は石黒幸誠に師事後、2007年独立。雑誌や広告だけでなく、写真展など精力的に活動している写真家だ。 本作は2017年、モデルで女優のモトーラ世理奈が10代最後のタイミングで撮影された。 本作もタイトルになっているPUPAは、サナギのことだ。サナギとは幼虫から成虫になる直前の状態を指す。人間でいえば、少女から女性へと成長する過程だろ

      • うたかたの記憶|『Water Memory』原田教正

        写真家・原田教正氏の初写真集である。 12年間、撮りためた写真からセレクトされたという本書は、ポートレイト、ランドスケープ、静物と、一見、無作為のようにも見える。しかし、最後までページを繰ると、通底する「なにか」を感じた。 本書の写真は、みな深い青みを帯びている。 人も景色も果物も、まるで海に沈んで、そのまま時が止まってしまったかのようだ。 海のなかのように、静かで、ひんやりと冷たく、いつまでも漂っていたい。でも、ちょっと怖くもある。そんな写真集だ。 読み返しているうち

        • 写真家・濱田紘輔インタビュー「コインランドリーにアメリカ社会の縮図を見た」

          名古屋の書店、ON READINGのサイトをチェックしていたら、濱田紘輔という写真家に出会った。今度、ON READINGのギャラリーでアメリカのコインランドリーをテーマにした展示をするという。東京のbook obscuraで彼の巡回展示を見たとき、「この人は絶対、アメリカが好きだ」と思った。同じアメリカ好きのシンパシーとでもいえばいいのだろうか。強烈なアメリカへの羨望が写真には込められていた。 濱田さんは1990年生まれ。わたしと同年代でそこまでアメリカ好きというのはめずら

        光をそのままに|『Secret Rituals』西山勲

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          『DISTANT DRUMS』は最高のパスポート

          仕事に追われ疲れてくると、どこか旅に出かけたくなる。 そんな時、濱田英明さんのサイトで旅の写真を見る。 アメリカ、ドイツ、エジプト、インド、リトアニア…瑞々しさをたたえた写真は、疲れた心を癒やしてくれた。 この旅の写真、いつか写真集にならないだろうかと思っていたら、7月、ついに自費出版で刊行された。 『DISTANT DRUMS』のカバーは赤と緑の二種類。 内容は同一で、妻には二冊買うことを反対されたが、「この2冊は“つがい”のようなものだから」と自分でもよくわからない理屈で

          『DISTANT DRUMS』は最高のパスポート