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初恋

ー Episode2〜難しい現実〜


自分は同性の人に恋をしてしまった。だから付き合う事はできない。

今の時代、同性愛は珍しくはないが少し人目を気にしたり公に晒すことが少し難しい。いわゆる普通の恋愛じゃない。自分はこの世界は生きにくい世の中だなと思うことが多々ある。異性だから好きになる。ではなく人として見て、たまたま好きだなと思った人が同性だった。人を好きになる感情は同じだ。現に異性を好きな時もあった。どちらにも言えるのは、ただ人を好きになったということだ。

Episode1で付き合っているような関係と書いたのは現に付き合ってるわけでは無かったからだ。告白をしたわけじゃない。ただ好きと伝え合った関係。高校生だった自分は付き合うという選択肢がまず無かった。今の関係とたとえもし付き合った時の関係、何が変わるのかわからなかったからだ。お互いが好きで、仲が良い状態で満足していた。

高校2年の夏が過ぎ、残り一緒に過ごせる時間も半年もなくなってしまった。それとともに自分の不安の気持ちが増えていくばかり。残りの時間を大切にしようと思った。毎日の練習、部室で過ごす時間、夜の電話。

部活も思いっきり頑張ろうと思えたのは相手がいるからだった。恋愛をしてさらに部活に熱が入った。一度監督に怒られた時、誰よりも話を聞いて悩みを聞いてくれたのはいつもその子だった。でもある時相手が怪我をした、とても落ち込んでいた。自分はあまりそうだの受けることがない。いつも相談に乗ってくれるのは相手で自分が相談を受ける事はなかった。後輩で頼りないからだ。自分はどうして良いいかわからなかった。好きなだけじゃダメ、こういう時こそ、寄り添わなきゃいけないと思いつつもどうして良いかわからず、大丈夫?。としか言えず。黙ったまま隣にいた。当然は相手は平気な振りをして大丈夫という。大丈夫じゃないことぐらい分かっていた。何にもできない自分に腹が立った。秋の最後の大会が近く大事な時期、しかも相手は高校3年生最後の大会。県大会、関東大会、全国大会に繋がる秋から冬にかけて、自分できるだけ長く一緒にプレーするためチームのため、そして相手のために練習に励んだ。10月になり自分たちは無事県大会を突破し関東につなげることができた。相手は怪我を無事に治し復帰することができた。

高校3年生は進路を決めるため大学見学をするため何度か練習を休む機会がちょくちょくある。その子は地方の大学に見学を行くためどこかに泊まり週末いなかった。この時嫌な予感がしていた。

いつも夜電話をしていた。でもこの日の夜、電話をするのが遅くなった。当然自分は遅くなっても待っていた。寮生活のその子は久々の実家で家族と過ごしているのだろうと思っていた。でも違かった。より遅くまで昔の元付き合っていた人と会っていた。何となく感づいていた。自分はきっと人よりもかなり勘が鋭い。それを良いことだと思った事は一度もない。あって欲しくない事が勘付いてしまうからだ。週末が明けてその子が帰ってきて携帯をたまたま預かった。その時その子のもと付き合っていた子から連絡が入った。見たくなんてなかった。嘘をつくならちゃんとバレないようにして欲しかった。傷ついた。正直に相手に質問した。

自分「昨日家族といたんじゃなくて付き合ってた人と会ってたから電話するのが遅くなったんでしょ?」

そうすると相手は正直に答えてくれた。

相手「うん。ごめん。」

何も言葉が出なかった。分かってる。自分たちは付き合ってるわけじゃない。いつかこうやって相手は異性に興味を持つ事。それでも悲しかった。悔しくも感情もあった。自分はその場を離れた。でもその子は追いかけてきた。質問をする前から答えはわかっていた。なのに質問をした。自業自得だ。少しの間相手を避けるようになった。残り少ない期間時間を無駄にしてはいけない。そんなのわかっていた。ずっとその子が頭から離れなかった。もうやめよう、どうせ相手が卒業したら簡単には会えない。相手は大学でいい人に出会って自分なんか好きじゃなくなる。そう考えたりしてこの関係を切ろうと思った。

でもそんなことできなかった。相手のことを本当に好きだったからだ。受け入れよう。少しの望みを信じて、相手が自分に気がなくなるまで自分は相手を愛し続けようと決心した。それから避けるのをやめた。

絶対に付き合う事はない自分たち、でも相手がもし付き合ってほしいと告白してきていたら自分の答えは、はい。と決めていた。自分が付き合わないと決めた理由は束縛をなくすためだ。いつかその人は異性に恋をして普通の恋愛をして結婚する。相手と親と話す機会は何度かあった。たまに結婚の話もしたりしていた。早くあの子の子供がみたい。孫を育てたいと言っていた。そんなことを聞いたら将来一緒に暮らすことなんてないなと確信した。残念ではあったがそれが現実だとすぐ理解した。いつでも異性を好きになってもいいようにしていた。それは相手にも伝えていた。もし大学に進学して好きな人ができたら正直に言ってね。と相手はもしそんなことがあっても自分のことを好きでいてくれると言った。そんなことされたらこまる。でも嬉しかった。自分がいつかその子を好きじゃなくなる時が来るのかわからなかった。

ついに最後の大会が来てしまった。地方で開催される大会のため1週間くらいの遠征になる。もちろん毎晩一緒に寝た。もうこれが最後の遠征と感じてなく夜もあった。最後の大会も一瞬で終わった。大会結果はよかった。最後の試合は今まで以上に緊張した。楽しかった。

ついに卒業。
3年生がいない校舎、部活。まだ卒業してしまったという実感がなかったでもいない。とても悲しかった。

卒業し相手が大学に進学する前、自分たちはお出かけをした。いろいろ話したこれまでのこと、これからのこと。
自分たちなら大丈夫。なぜか大丈夫と思っていた。いや、ただ信じようとしたのだ。

そして相手が大学に入学し、自分は高校3年生になった。好きな人がいない学校生活は退屈だった。部活もやる気が出なかった。好きな人のことばかり考え、会いたいとばかり思っていた。でも友達と少しずつ最後の高校生活楽しもうと過ごしていた。

この生活が続き、お互いの部活のない日によく会うようになった。いつもその日は1日中ウキウキしていた。土日の試合も毎回応援しに来てくれた。毎回頑張れた。いいところを見せようと必死だった。

毎日のLINEがいつも以上に楽しかった。部活頑張っての連絡や、その日何があったなどの連絡が嬉しかった。

でもこの遠距離がこのままうまく行くわけじゃなかった。

高校3年の秋、、、。


つづく


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