ライチの里帰り

がはがは歯痒い。はらはらハラペーニョ。もやもやもやし。ばらばらRVNR(レバニラ)。が…

ライチの里帰り

がはがは歯痒い。はらはらハラペーニョ。もやもやもやし。ばらばらRVNR(レバニラ)。がんばる岩盤浴。

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最近の記事

XX years

耳に残るチャイム 下駄箱の匂い 君が触れた折り紙 すぐそこに落ちているような 錯覚 今でも たわいもない日々に 今さらありがとうと告げる もう遅すぎるとわかっている でもあの時のままでいてほしいと 乞い  恋願う それはエゴ? いつだって 横にいるのを感じていられる そう信じて疑わなかった 幼き頃 恥じらいと背中合わせの3分間 浮わついた口から出た「カップル」という言葉 多分空耳だと思って 心を殺す 耳を擽る声 隣に感じる体温 自分の手には文庫本 すぐにだって巻き戻

    • 二月

      雑多な空気に辟易する君 ため息ばかりの帰り道 コンビニで買ったスイーツ 「大丈夫です」と断ったスプーン 君らしい振る舞い コンコースの人混み 全てもみくちゃに 好物のミルクプリンが容器から溢れ出す 下唇を噛みしめ  再び前へ イキグルシイ毎日 カチノナイ人間 何をしてもムダ メンドウクサイことばかり すべてオワリニシタイ 本当か 煩悶する貴方のもとへと 今、堕ちていく 次の曲がり角のあたりにある小石を ワタシがそこいらに蹴っとばしてあげよう * 君は澄んだ空

      • 生き直す

        真夜中の勝手口 音をたてないよう 慎重にその戸を開け 出ていく女 ヌキアシ サシアシ それをこっそりと見送る 座敷わらしと忍びが数名     きゃっ きゃら きゃっ     ヌキアシ サシアシ アッシはシノビ どうやらまた始まったようだ         ついていこうか     いややめよう         毎度のことだ     判っておろう 待ち合わせはいつもの場所 マダガスカル公園で1ヶ所だけ明るい 不滅の公衆便所 目当ての相手はまだのよう 青い人型マーク  もれる

        • その女は 神出鬼没 満月の夜にだけ姿を現すレアガール 目印になるのは スタッズ付きのブラックピンヒール それと気づかず見過ごす人も 少なくないらしい その女は それを狙う男たちにとってみれば 憧れの的  高嶺の花 言葉で表現しきれないほどの 快楽をもたらし ぼくらに夢の時間を提供してくれるらしい その女は 草間彌生のような原色レッド 髪は耳たぶが見えるか見えないか といった程度に切り揃えられている 普段使いのシャンプーと食べるものには 人一倍気をつかっているらしい その

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        • 詩人の死臭
          17本
        • アナログなコラージュ
          7本

        記事

          耳鳴り

          今どこかで 電話の鳴る音 耳障り でも なぜか あのときの緑青を 想起する 運動場は まるで海 燦々 照る太陽のもと 4色帽子 揺蕩う 目的や意図を持たず しかし確実に前進するような動き 蠢き そう 春は来る 揺られ 揺らされ 揺れる僕 らるれ らりるれ らるれりら 蛆虫がわく 部屋の隅 電気ポットの お湯がわく     (オフ:「お風呂があたたまりました」) わかった(つもりで) 変わった(のは僕) からかった(勘違いしてた) 走って 駆けって 追い越して 火照っ

          指先に咲く薔薇

          眠った家の玄関先 静かに唸る蛍光灯 密やかな祝祭が始まる 手を退ければ そこには薔薇の雪 微笑をたたえるあなた そこはどこ 「おいで」の手招きに 抗えず 身悶える 平和な昼下がり 冷蔵庫の開け閉め ひんやりと忍び寄る それは いつしかの 首筋に氷 後悔の念よりも先に 時雨 寝ぼけ眼の洗面所 窓から太陽(ひかり)が差し込んで 遠くに聞こえるファンファーレ 耳すます 扉開ければ 隣に雪の花 君の迎合する笑み あれは何 栗色の髪に 伸ばした手 振り払われ 陰鬱な黄昏時

          指先に咲く薔薇

          精興社のための「ふ」

          ふふふ わたしはこのもじが好き うふふ ワタシもこのもじが好き ぶふふ あたしもそのもじが好き くふふ アタイもそのもじが好き ぐふふ おいらもあのもじが好き んふふ あなたもあのもじが好き ふふふ 「ふ」も君のことが好き

          精興社のための「ふ」

          today

          いつも通りの朝 隣の赤子が泣きわめく声で目覚める カーテンを開け 今日という日が 確かに始まっていることを確認し 洗面所へと向かう ろくに鏡を見つめないまま 手探りで顔を優しくこする ぼやけた視界に射し込む陽が 朝食の存在を知らせる 箸で持ち上げたウインナーに 軽くキスする 不定形な夜 我が家の老いぼれ猫が唸る声が眠気を誘う 家中の窓を閉め 今日という日が 確かに終わりかけていることを確認し ベッドへと向かう 風呂場で丹念に全身を眺め あらゆる端、裏、穴をきつめに擦る 覚醒

          キシャ

          煌々と照る車内 ふんだんに使われた蛍光灯 ヒカリの列車が闇をゆく みなが釘付け スマホの画面 そのアカリだけで この世は仄明るくなるでしょう 外の様子は伺えず 真っ暗闇と背中合わせの窓がここに ひとぉつ、ふたぁつ、みっ… 覗き込んだら目玉をくりぬかれるぞ 覗き込んだら目玉をくりぬかれるぞ ただ反対側の昇降口にいるあの子が うすらぼんやりと見えるだけ 見てないよ 別に君のことなんか 見てないよ ほんとだよ マスクを取ったって 変わらない ネオンの光が眼を射る ラブホ

          朝を殺す

          白い息を吐く 規則的な呼吸 足の裏に感じる程好い硬さ 淡々と、ただその目的に沿って 目の前をよぎる雪 手を伸ばしかけてやめる 黒い空気を吸う 不揃いの呼吸 足の裏に感じる不気味な凹凸 着々と、しかし曖昧な気持ちのままで 目の前をよぎる雨 手を伸ばして払う 胸元に忍ばせたナイフ その鋭敏さに戦く自分 けれど時は来た    準備は整った 今でなければならない理由を 探し求めながら 切っ先に人差し指を這わせて 片方の口角だけをつり上げて 腹部に貼ったカイロ その発する熱に辟易

          嫌い嫌いは好きのそと

          「ごめんなさぁーい、」と言いながら思い切りぶつかってくる幼女 「こういうこと言ったらあれかもしれないんだけど」という前置き 堂々巡りのクレームを日課にする老女 黙りこみ 考えているふりをするのがモットーの三十路おとこ 失敗体験を繰り返しつついてくる女家族 過ぎ去ったことをくよくよと思い悩み かといって解決のために行動しようとはしない恋煩い 誰かを見るその目に相手の肩書きだけが映っている人 3分に一度足を組みかえる勘違い 結婚妊娠出産による妻から母への脱皮を 女

          嫌い嫌いは好きのそと

          ホスピタル

          そのお喋りな老女は レントゲンの前に ブラジャーを外して家から出てくるらしい 雨風にうたれ その存在をあらわにした乳首 見知った顔でバリウムと格闘しに行く男 それを見送りながらもテレビに夢中の妻 実はその検査服が結婚着であり死別着でもあった亡霊たち 目の前の受付係は ラメ入りのつけ爪で所定の用紙を指差しながら 要領を得た定型フレーズを再生する 本当はラブドールとしてこの世に生を受けたかった その説明を聞き取ることなく キラキラと光る5本指に目が釘付けの大学生 三

          チョココロネ

          買い出しの帰り道 街路樹の根元にポトリと落ちていた チョココロネ 手に持ち 携え 観察し たまに抱きかかえ 継続的に握りしめ 左手が茶色くなってきたところで 右手に持ちかえ 鼻に近づけ 飽きてきたところで 良い包み紙がないかと鞄を探るが 結局のところ何も無く 仕方なく予備のマスクでやんわりとそれを包容する そうこうしているうちに 白い衣装が薄茶色に染まってきたところで 玄関先にたどり着いた私は 右手に鍵 左手にコロネを持ち 右手で勢いをつけて開けた扉を左の爪先でうまく

          滔々と

          曇っているようで実は晴れていた空 細く開けた窓から見上げ 息を吸う ここは閉ざされた白銀の国 雪 しんしんと 白の女王は2分前に殺戮された その時流れたのは薄桃色の体液だった エロティックでありながら ブティックでスティックを振り回す彼女を なぜか皆に思い起こさせた ふと にわかに ほうじ茶の匂いが立ち上る これは合図だ ひんやりとしたゲレンデはもう私のもの 心の温度は「高」でいこう ホワイト・バウムクーヘンと杖を携え 鏡の世界に笑いかければ 芋虫のようなその連結点は 清潔な

          コロナ禍において

          女の手のひらから溢れ出す消毒液 濡れた地面にすっ転ぶ老人 地響きに過剰反応するマルチーズ それを指差して笑う幼子 あやす老婆は自分事だと肩をすくめ 警備員が重い腰をあげて布巾を取りに行く 喧騒を気にもとめず颯爽と進む三十路の彼(ひと) そのハイヒールに目を奪われた白寿のミイラ 窓口の男が「537番」と呼ぶ 不安げな顔をした青年が立ち上がる 彼が座っていた椅子に取り残された紙片 それに気づくミイラ 口を開こうとしたその隙に ハイヒールがそそくさとそれに手を伸ばし 確実な足取りで

          コロナ禍において

          干からびた湖の淵に佇む貴女 その目には いつしかの面影 1月の雨 水面に映る己を覗き込み そのままダイブする老婆 皺の隙間に入り込む水分   水泡    水泡    水泡… 6月の雨 みずみずしい少女が 徐に乾燥機の蓋を開け そこに潜り込む パタリ また 逢えたね