なんでもできる万能型より、1つに秀でた特化型を目指そう
なんだ、ゲームの話か?って思った人いるかもしれません。確かにその要素もありますよね。最近ドラクエウォークも流行ってるし(僕もやってる)、特にRPG好きにはよくわかる話だと思います。
本論に入る前に、キーワードがごちゃごちゃになるので、ここで意味をちゃんと押さえておきます。
グループ:人が寄せ集まった状態、集合、郡
チーム:ある目的に沿って協力して行動する、組
でもね、今日はゲームの話じゃありません、リアルの話です。
複数人で何かやる時、万能型と特化型どっちの人がメンバーにいたら戦力になりますか? もう少し深めて、どっちのメンバーと一緒だったらハイパフォーマンス出せますか? 難しい課題でも楽々クリアできますか?
言い換えるなら、戦士4人でラスボスに勝てるか?ってこと。
盾役がいて、回復役がいて、攻撃特化がいるから、雑魚ならまだしも強敵に勝つことができるでしょう? 他にもスポーツで言えば、点取屋がいて、司令塔がいて、守備の要がいる、これがバランスが取れている状態ですよね。そしてこれこそ役割分担ってやつです。
さらに付け加えると、この状況で各々がハイパフォーマンスを発揮するから強敵にも勝てるわけです。
これがチームってやつです。
これ、常識じゃん。みんな知ってるじゃん。
なんでこれ自分たちがやるときは活かさないの?
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授業とかで「グループワーク」って用語よく出てくるけど、あれ良くないと思うんです。だって、往々にして求めてるのはグループとしての行動じゃなくて、チームとしての協働だもの。なので、僕は授業では意図的に、どちらの動きをして欲しいかで「グループ」と「チーム」を使い分けています。基本的に僕の受け持つアクティブラーニング型の授業は「チーム」であることが断然多い。グループワークの時間とは言わず、「チーム作業の時間」。
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こういうこと言うと「他の人より優れた能力なんてないし……」って思っちゃう人いると思います。僕だってそう。だからこそ、それを目指そうねって話。そんないきなり他の人に負けない能力身につくわけないし。でもそれを意識してるとしてないは全然違います。もちろんすでに何かの専門性を持っている人も、そのスキルを研ぐことはやめてはダメです。錆びちゃいます。
じゃあ、そのスキルを持ってない人は手に入れるまで戦力にならないのか、と言ったらそんなことはありません。何かのスキルを持つ≒専門性を持つ≒特化すると言うことは、逆に何か不得手な部分があるということにもなりませんか? 攻撃特化と回復特化、物攻特化と魔攻特化は両立しませんよね。
もっと現実的な話にすると、ある専門性を活かすためには、フォローする人が不可欠になってくるわけです。例えば時間のかかるデザイン作業を主軸でやってもらおうとしたら、その人が抱える他の作業を他の人が受け持ってあげるなどしなくてはなりません。
このように、他者が動きやすい=能力を発揮しやすい環境作りをする(リーダーシップ最小三要素でいう同僚支援)、という役割があるわけです。これは目立たない作業かもしれません、でもメンバー全員が持っていなければいけない意識であり、チームに必要不可欠な大事なポジションです。つまり、みんながみんなスペックホルダーである必要はないのです。
どうしても専門性や前に出る人にスポットが当たりがちです。そんな中だからこそ、チーム内では、この影の立役者になる人(裏の司令塔と言ってもいいかもしれません)へのリスペクトを絶対に欠かしてはいけません。
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さて、やっと一番言いたいことに近づいてきました。前置き長くてごめんなさい。
ここまで書いてきたことは、実はいろんな人が言っています。言い方は様々で切り口も色々ですけど。ここからがこれまでいろんな「チーム」というものを見てきて僕が常に感じることです。
上記のようなスペシャリストたちによって作られたチームのマネジメントについて思うことです。
スペシャリストたちが集まるチームは、その能力が特化していればしているほど、尖っていれば尖っているほど、コントロールが一筋縄ではいかないのが常です。みんな各々の領域にプライド持ってるし。お互いの専門スキルをリスペクトし会えたらいいのですが、経験則からも、中にはそうでない人もいます。リスペクトしないだけならまだしも、他者を妨害する人もいたり。まぁ、そういう人は云々の前にチームメンバーとしてはいらないですけど。
話がそれました。
このスペシャリストによって構成されたチームをコントロールするためには、コントロールするスペシャリストが必要です。一時期、万能型に近いニュアンスとしてゼネラリストという呼び名のもと養成がされたりもしましたが、最近はあまり聞かなくなりましたね。その言葉を借りて僕はゼネラリストのスペシャリストと呼んだりもします。
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僕は映画が好きなので、映画の登場人物になぞらえると、オーシャンズシリーズのダニー・オーシャンとかデビー・オーシャンとか、です。率いるチームは、曲者揃いのスペシャリストたち。意見のぶつかり合いもあるものの、メンバーの意見を尊重して判断は委ねる。でも大事な核となる部分(つまり方針、目的)だけは譲らない(ブレない)みたいな(しかも、いちいち全部がクールでかっこいいのでみたことない人は是非みて欲しい!)。もちろん、ダニーやデビーはプランを立てることのスペシャリストなんだけども、今日はそっちの話はひとまず置いておいて、チームコントロールする際に大事な部分をまとめてみたいと思います。
この2人のあり方こそが、チームを率いる(本人たちは率いているとは思っていないかもしれないけど)人として大事なものがあると思うんです。
まず、チーム全体を俯瞰して、メンバー全員に気を配っている。各メンバーのタスクの進捗はチェックするけど、やり方には口出ししない。メンバーはその道のスペシャリストたち。だからこそ最大限のリスペクトを持って接しているのが分かります。
次に、まずは意見を聞く、という姿勢も共通しています。上記のリスペクトとも関わりますが、各々が持っている意見にちゃんと耳を傾ける。その上で受け入れられるものならYESを、方針と異なるならNOという風に返す。僕もワークショップなどのグランドルールでよく使いますが、他者の思いや意見は一旦全て受け入れてその上で自分の意見を切り返す「Yes, and」の精神がチームをまとめる人には不可欠だとわかる姿勢です。
(余談ですが、オーシャンズ12の1シーンにテリー・ベネディクトに追い詰められメンバー全員がダニーを責めるシーンがありますが、その様子が上記をよく表していると思います)
そして、これとても大事だと思うんですけどビジョンが明確です。このチームは”何のために集まったのか”、”何をどうやったらミッションがクリアとなるのか”、”その結果得られるものは何か”を最初に分かりやすく伝えています。そのビジョンに共感するからこそメンバーは、そのチームに魅力を感じ、1つにまとまります。かつ、参加するしないは個人の意志に委ねます。これは自己決定権という観点からも主体性を持たせる大事な要素です。
これまた余談ですが、あと、どんな状況下でも余裕があるよね!まーそれがかっこよさの部分なんだけど(!)、あわあわしてるリーダーだったら頼りないし心配になります。これも大切なんじゃないかと感じます。
映画をイメージするとちょっと現実離れする印象がありますが、現実世界においてもこのようなシチュエーションは増えてきています。その際たる例がフリーランサー同士で組んだチームではないでしょうか。フリーランスという人たちはそれぞれそのスキルでお金を稼いでいる人たちであり、各々のスキルに程度の差はあれ自信(プライド)を持っています(ぶっちゃけ、出なければそのスキルを売ってお金を得ようとは考えないはず)。このような職種の人たちは働き方の多様化によってこれからも増えると考えられます。そんな中で、1人では対応しきれない案件が出てきた際、同業他者と協働でそれらに対応するという状況は僕の経験則でもどんどん増えてきています。
そんな中で、クライアントの要望を達成するために協働する場合に、(かなり趣味によりましたけど)上記にまとめたチームマネジメントの観点は重要になってくると思うのです。
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なんでこんな話をしたかというと、昨今起こりつつある諸々の課題に対して、1人の能力では到底カバーできないものが多くなっているからです。一昔前は、社会の流れが右肩上がりだったこともあり、時代の変遷で起こりうる問題も過去の経験から解決できるものが多く、誰か有能な大先生のいう通りにこなしていればなんとかなった。だけど、最近は様々なバックグラウンドを持つ人たちが交流するようになり、価値観が入り混じる上、技術力も目を見張るほどのスピードで日々変化しています(これらを多元的共生社会と読んだりもします)。そんな中では、誰か1人に頼るわけには行かなく、その問題に直面する各々が自分の得意分野を生かし合い、それぞれの苦手分野を補い合い、取り組んでいかなくてはならないのです。
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リーダーシップ最小三要素について詳しく知りたい人は、こちらの日向野先生の記事をご覧になると良いと思います。
僕はワークショップデザインの文脈で「多元的共生社会」を学んだので、同じような分野の方は、こちらの苅宿先生らの書籍を読まれると勉強になると思います。
散々趣味に走ったオーシャンズシリーズに関しては、こちらの記事が概要をまとめてくれているのでよろしければご覧ください。
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ここまで趣味に走った文章を書くのって楽しいですね笑
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