未来への中高年向けエコ・シェアハウス

私は40代のおひとりさま。長いこと同じアパートで一人暮らしを続けてきたが、夏の終りにシェアハウスへ引っ越した。きっかけは契約更新時に生じたひょんなことだった。はじめは「理不尽だ」と憤りを感じたが、今住んでいるシェアハウスに出会ったとき「これは塞翁が馬」と直感。誕生日目前にシェアハウスへの転居を決断した。

このシェアハウスは昭和後期に建てられた邸宅をリノベーションしたものである。残すべきもの、価値あるものはきちんと温存し、時代に合わせて変化すべきところは気持ちよいほど大胆に手が入れられている。アンティークな家具や床から歴史を感じる一方、掃除が行き届いているため清潔感が漂う贅沢な空間だ。大家さんは多くを語らないが、「僕の邸宅に対する想いを理解してくれる人に部屋を使ってもらいながら屋敷と庭園を守っていく」というお考えだ。

シェアハウスである以上、一人暮らしのような気儘な生活はできない。数人と共同生活するわけだから、それなりに気を遣うし、辛抱と思いやりが必要である。例えば昨日、洗濯機を使おうと思ったらフィルターにゴミが残ったままだった。「あらやだ」朝から残念な気持ちになったが、ひと呼吸おいて「いやいや、私も掃除し忘れちゃってたことあったよね」と自分を省みたりする。

一方、一人暮らしの時よりも確実にエコ・ライフを実現できている。個人では購入できなかった太陽光発電システムを利用できるし、大型家電製品を個人で揃える必要もなくなった。結果的にシェアハウスへの移住はSDGs達成へ貢献していることになる。家賃や水道光熱費や通信費をみても一人暮らしの時より経済的だ。

このことに気づいた私は今、シェアハウス滞在経験を生かして中高年向けエコ・シェアハウスの大家さんになることを夢みている。これはSDGsプロジェクトだ。国内のシェアハウス情報をみると20~40代前半が対象となっていることが多いため、中高年がシェアハウスに住みたいと思っても実現が難しい。中高年のおひとりさまが増加する今、安心してイキイキとコミュニティーに住み続けられる中高年向けシェアハウスの需要と存在意義は高まると思う。

自分が還暦を迎えるころ、自前のエコ・シェアハウスで仲間と生活している様子を想像するとなんだか愉しくなる。その実現に向け、現在進行中のシェアハウス生活から共同生活の醍醐味とコツを学んでいるところだ。

#未来のためにできること

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