Forbes JAPAN 古森会長兼CEOの記事から。【コラム】

 連日『アビガン』についてのニュースを見聞きしましたが、いよいよ承認申請が見えてきたようですね。多くの人が待ち望んでいる薬を、富士フィルムが提供されるということは、本当にありがたいことです。そして、富士フィルムに対する認識がすっかり変わってしまいました。

 フィルムカメラからデジタルカメラに急速に変化が起きたときに、化粧品が出てきたのには、本当にびっくりしました。窮地に追い込まれたので、なりふり構わず化粧品でもという感じも否めず、最初は半信半疑でしたが、使ってみれば効果が高く使用感もよく、良い商品であることがすぐにわかりました。しかし、最初の頃は、商品が置かれているお店が少なく、しかもまだ通販も今みたいに発達していなかったので入手が困難でした。大量のCMを打っても取扱店の開拓が難しかったのでしょう。競合もおいそれとシェアを奪われないように対抗してきたはずなので、きっと大変なご苦労があったと思います。

 そして、医薬品に参入のときも、びっくりでしたが、CMをよく見かけるようになり、なんとなく「医薬品もやっているのか。」と納得していきました。

 しかし、社名が『富士フィルム』なので、これらの事業は、あくまでもサブ的なイメージが付いて回っていました。ところが、今年の春ごろから『アビガン』が話題になって、企業スローガンである『世界は、ひとつずつ 変えることができる』がストンと落ちてきました。いつの間にか世界的な医薬品会社になっていたのですね。これまた驚かされました。

 そして、『Forbes JAPAN 2020年11月号」に古森会長兼CEOの表紙とともに記事がありましたので、買って読んでみました。

フォーブス ジャパン


 記事内容は、「2000年に社長に就任され、01年にはコダック社を抜いてシェア1位になったものの、その後デジカメが台頭してきて、今のような舵取りをされた」ことについてのお話ですが、詳しくは書けないので、ご興味のある方は買って読んでみてください。

 感想だけ言いますと、何か特別な魔法を使ったわけではなく、当たり前のことを常に強気でリーダーシップを発揮されているところが、本当に素晴らしいです。常に世の中は変わるものだという認識と覚悟が、迷いなく的確に判断されて行かれたように思いました。先が見えない中、何が正解かわからない中、全くの新参者で異業種参入されることに対するプレッシャーは半端ではなかったと思いますが、やってのけられたことは大尊敬です。

 私も、民事再生一歩手前の中小企業様の再生をお手伝いしたことがありますが、赤字を止めつつ方向転換するというのは、相当なプレッシャーです。
リストラと新規事業を限られた時間内に一度にするわけですから、社内は不安に陥り混乱するし、あてにしていた人材がどんどん辞めていくし、資産の洗い直しをしても、新規事業として軌道に乗せるまでには時間も相当な労力も必要です。

 富士フィルムの場合は、大企業なので、計り知れないご苦労があったと思います。古森会長兼CEOの先見力とリーダーシップは特別な神業としか言いようがありません。

 コロナ禍にあって『アビガン』といい、時代の急変を乗り越えてこられた経営手腕の見本といい、まさに一筋の光を与えて頂きました。


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