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分離壁のバンクシーアートで有名なパレスチナ自治区のベツレヘムに行きました

ベツレヘムはイスラエルのエスサレムのすぐ近くにあり、パレスチナ自治区の「A区域」にある街です。イスラエルはテロ対策としてパレスチナ自治区との境に壁を築いてパレスチナ人が自由に外に出られないようにしており、それを皮肉ったバンクシーのアートが複数あることで有名です。
また、キリストが生まれた場所とされる教会もこの街にあり、それ目的で来る人も多いみたいです。

A区域というのはパレスチナ地域の区分の一つで、パレスチナ自治政府が行政権と警察権を両方持っている地域です。つまりイスラエル政府の統治が及んでいない地域のことです。ベツレヘムはそんなA区域の中でも比較的情勢が安定していて、エルサレムからすぐ近くにあります。

エルサレムからベツレヘムへの行き方

エルサレム旧市街のダマスカス門の近くにあるバスターミナルから231系統のバスに乗って終点まで行けばベツレヘムに到着します。

231系統のバス

ベツレヘムの基本情報

  • 情勢は安定しているそうで、外務省の安全情報でもベツレヘム周辺はレベル1となっていました。しかし窓に鉄格子がはまっているところも多く、エルサレムより治安は悪いように見えました。

  • 通貨はイスラエルと同じく新イスラエルシュケル(NIS)が流通しています。イスラエル領内と同様、クレジットカードが使えるところも多いです。

  • 行きは特に何のチェックもないですが帰り(パレスチナから出る時)は検問と荷物検査があります。必ずパスポートを持っていきましょう。

231系統バスの道のり

行きは驚くほどスムーズで、30分ほどでベツレヘムに到着しました。
エルサレム市街を出るとすぐに道路脇には大きな壁があり、物々しさを感じます。

防音壁なのかもしれない

途中で道路脇に大きな警告看板が立っていたのが印象的でした。

大きな警告看板
  • この道路は「A区域」に続いている

  • イスラエル市民が立ち入ることは違法である

  • 生命に危険がおよぶ可能性がある

ちょっと怖い看板です。もちろん外国人は合法的に入れるのですが、イスラエル人がうっかり入ってしまうと大変なことになるんでしょう。

ベツレヘムに到着

特に検問もなかったのでいつの間にパレスチナに入ったのか分からないままベツレヘムに到着しました。
バス停を降りた場所はこんな感じです。
イスラエルより所得水準が低いので当然ですが街は少し汚く、東南アジアの途上国のような感じです。所々ゴミ箱からゴミがあふれて散乱していたりしてました。

エルサレムとは落差がある

あと、客引きがかなりうざかったです。
エルサレムはしつこい客引きがほとんどいないのでちょっと油断してたんですが、バスを降りた途端に客引きが寄ってきます。強めに断っても手で押してもついてきて、レストランに入っても入り口までついてきてうんざりしました。

The walled off hotelへ

まずは歩いてThe walled off hotelに行きました。
このホテルは世界一眺めの悪いホテルを売りにしていて、窓からは分離壁しか見えないような皮肉なつくりになってます。ホテルにはアートのギャラリーが併設されていて、入場料を払えば宿泊客でなくても入れます。

バス停からホテルは歩いて行ける距離でした。途中にバンクシーの有名なこの絵があります。Palestine Heritage Centerという建物の外壁にあります。

防弾チョッキを着たハト

胸に照準が合わせられていますが、ちょうど振り返ると分離壁の監視塔があり、そこから狙われてる感じの構図になってます。

バス停から5分ほど歩くとすぐに壁が見えてきます。8mもある壁なのでけっこう遠くからでも見えます。事前に知ってたとはいえ、明るくて綺麗なエルサレムからたった30分ほどでこんな光景が広がってるのは少しショックでした。

思ってたよりも巨大な壁

壁には大量のアートがあります。この壁はイスラエルが立てた壁ですが、壁のこちら側はイスラエルが警察権を持っていない地域のため、こんなふうに好き放題に落書きされてます。

ホテルの向かいにある絵

この壁のすぐ近くにThe walled off hotelがあります。
写真を撮り忘れましたが入り口にはスーツケースを持った猿の像があります。壁に閉じ込められているパレスチナ人を横目に呑気に観光してる自分たちが皮肉られてるみたいでちょっとドキッとします。
このホテルのギャラリーには入場料20NISを払うと中に入れます。

ホテルの窓から見えるのは壁だけ

キリストの生誕教会

ベツレヘムは他にキリストの生誕教会というので有名です。分離壁から歩くと20〜30分かかります。この教会は特に入場料とかなかったです。
日本人はいなかったですが欧米人や韓国人の観光客がちらほらいて、観光客向けの土産物店などもありました。教会に近づくとガイドの人がたくさん寄ってきます。

Church of Nativity

教会を観光してる人の半分ぐらいがヒジャブをかぶったイスラム教徒でちょっと意外でした。
キリスト教徒でなくても気軽に入れるような雰囲気だったので行ってみるといいかもしれません。

キリストが生まれたとされる場所はこの下にあります

エルサレムへの帰り方

エルサレムへの帰り方で1番スムーズなのは検問所を徒歩で越えて234系統のバスに乗る方法みたいです。
231系統のバスもありますがそれは1時間ぐらいかかるそうで、終バスも早いです。(客引きのおっさんの寝言かもしれませんので真偽は不明)

まずタクシーでThe walled off hotelのすぐ近くにある検問所まで行きました。検問所の名前は「Rachel's tomb crossing」です。

検問所の入口

検問所の入口はこんな感じでタクシーなどが待機して賑わってます。
入口に入ろうとしたら近くの人に呼び止められたのでわざわざ戻って話を聞くと「エルサレムに行きたいならこの入口を通ってから234系統のバスに乗るんだ。教えてあげたから10NISよこせ。」と。
はいはい教えてもらわなくても知ってますよ。どこに言っても客引きだらけです。

建物の入り口はこんな感じのゲートがあって、逆走はできないようになってます。写真を撮っていいかわからなかったので周りを確認しながらチラチラ撮ってました。(特に写真を禁止する文言はなかったので大丈夫かと思います)

入り口には物々しいゲートがあります

建物に入るとすぐにX線の荷物検査があり、長い廊下を通ると入国審査みたいなゲートがありました。ある程度自動化されているみたいで、現地の人はカードをかざして通っていました。

空港の入国審査のようなゲート

自分は何の事前情報も得ずに来てしまったのでちょっと戸惑いつつ、とりあえずパスポートを渡してみるとそれで大丈夫みたいでした。
係員(軍人)はパスポートをペラペラめくっていろんな国のスタンプとかビザをまじまじ見てから通してくれました。どの国のスタンプがあるとどうなるのかは知りません。

ちなみにここを通れるのは外国人か東エルサレムの住民か、許可を得たパレスチナ人だけだそうです。 
パレスチナ内ではイスラエルのナンバープレートの車がたくさん走ってましたが、イスラエル内ではパレスチナナンバーの車は1台も見ませんでした。

まとめ

パレスチナの塀の中は「天井のない牢獄」とも言われます。実際見てみると納得するぐらい高い塀に囲まれて閉塞感のあるところでした。
街は至って平和ですし道を行く人も談笑したりしていましたが、内心どんな気持ちなんだろうと思ってしまいます。
発展したエルサレムの街のすぐ近くにあるからこそ、それを感じてしまう場所でした。

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