失礼な男とつよし

つよしの友人の中に、失礼極まりない男がいる。
友人と呼ぶのも癪なので、顔見知りということにしておこう。

ここではNとする。

とあるゲストハウスと併設のバーを経営していて、一人でお酒や料理を作っている。料理がとても上手くて、店はまあまあそこそこそれなりに繁盛しているみたいだ。腹立つな。

正確に言うと「失礼だった」。
今はつよしのことを尊敬しているとかなんとか言ってるけど、眉唾ものだね。

なぜ「眉唾もの」か。

この男、接客は下手くそなのだが、人前でのパフォーマンスがちょっとだけ上手い。雰囲気を出すのとかそれっぽくするのとかがちょっとだけ上手い。

ちょっとだけな。

つよしは街頭演説と呼んでいる。

きっと「尊敬」もパフォーマンスでできると思う。


まあ、その真偽はどうだっていい。興味もない。

この男の失礼な話を聞いてほしい。
いつまでも引き摺りたくない。
ここで供養させてほしい。




去年の夏、つよしは出会って日の浅いNに
とあるイベントに出店しないか、
という話を持ちかけられた。

キッチンカーとかが来るようなイベント。お酒を出すお店が少ないからということで頼まれた。
間借りバーをがんばっているところに、大きなイベントの話をいただけて本当に嬉しかった。

間借りバーをやっているとはいえ、仕入れ?原価率?そもそも屋外イベントとかやったことないんだけど‥‥状態で、さすがのつよしもイエスというか迷った。
でも「仕入れとか計算とか俺がやる。準備とかもやるから。つよしさんは当日お酒を作って」って言ってくれたから、ありがたくやらせてもらうことにした。何より今後の勉強になると思ったし。


しかし、コイツ、つよしのことをめちゃくちゃ疑っている。
『顔に出るほど信用してない人間に、こんな立派なイベントの依頼なんかするんじゃねえよ』
と思っていた。本当に。

打ち合わせ中もなかなかだった。
本当にわかってる!?みたいなことをめちゃくちゃ言ってくる。
勉強不足のつよしも悪かったんかな…

それはごめんな。やったことなかったから。


まあなんやかんやで準備はほとんどやってくれて当日も車出してくれて、最終的にはお酒作るのも手伝ってくれてイベント自体は大成功だった。
そのときの接客云々の様子で、どうやらNはつよしのことを見直したらしい。よくわからんけど。

つよし酒作ってただけだし。ほとんどやったのNだし。


よくわからん。

よくわからん人に大仕事任せようとして
よくわからんからクソ疑ってたんだぜ。

本当によくわからんよな。

こんな失礼な人間からの誘いを断らなかった理由。
そして先程の『』を言葉にせず、飲み込んで我慢した理由。
が、一応ある。


受験・就活などと疎遠になり、かなり時間が経ってから気がついた自分の長所でもある。
履歴書に書きたかった。


つよし、人の仕事に対するリスペクトがすごい。

Nの言う「尊敬」と一緒にしないでな。
おんなじ意味だけど。英訳しただけだけど。


どんなにイラッとすることがあっても、一旦
この人はこういう風にがんばってこんな感じの人間になったんだなあ、と思う。

あとシンプルにNがまだ若いってのもあった。だから無礼もしゃーなしって感じで。

そして、つよしは特に自分がやったことのないものごとに対して、「一から教えてください!お願いします!」のスタイルが常にある。
これ、ない人けっこういるよね。

だからこのクソ失礼な男にも動じることなくいられたんだろうなあ。
つよしよりも圧倒的に仕事できるマンだということはわかってたしね。はいこれもリスペクトリスペクト。


今ではつよしもNのことまあまあそこそこそれなりに好きだし、それより何よりNがつよしのことを愛して止まない。


っていうね。

みんなこの失礼テキーラ男の店に行ったら粗相テキーラじゃんじゃん飲ませて潰してやってな。





まだまだ言いたいことはあるけど、営業妨害で怒られるかもしれん。このへんでやめておく。

おこだったらまじごめそ。




でも、文章に起こして読み直して書き直して読み返したらなんかまたイライラしてきたな。

今度Nに会ったら粗相シャンパンでもしよか。


ぐばーい👋


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