見出し画像

【詩作】金魚鉢


金魚のようなスカート
スーパーマーケットを泳ぐ
息継ぎもせずに 僕をわらう
たくさんの光が町に溢れる

スマホの中で手を繋いで
あの子の放ったパントマイムをよく見た
残像に目を凝らせば
気持ち良くなれそうな
眩暈の香りがした

ていねいなくらしの中で
雑な自慰をしている
それはいわゆる二律背反的なものではなく
正しい音色だと彼女はいう
その爆音に気がつく頃には
あの子の髪は少し伸びているだろう
裸眼の僕だけが知っている

金魚のようなスカート
スーパーマーケットを泳ぐ
向こうのレジの上で
あの子が檸檬をふたつ転がしてる間
僕は息苦しくて 
じきに
町の中へ浮かび上がるだろう


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?