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パレスチナ・ガザ地区 イスラエル軍侵攻ライン 南部ラファ

パレスチナ・ガザ地区

 3月25日、国連安保理はラマダン期間中の即時停戦を決議した。アメリカが棄権したため初めての停戦決議となった。イスラエルはアメリカの棄権に反発している。アメリカは、拒否権を行使するというこれまでの態度から一歩踏み込んだ形だ。すでに始まっているラマダンは4月9日まで続く。

  衛星画像は、2024年3月20日。ズームイン。

ガザ地区南部

 当初イスラエル軍はガザ地区を南北に分断する作戦を行い、2023年11月までにそのための侵攻ラインを築いた。その後、北部をほぼ制圧しハマス勢力を掃討しながら中部、南部への侵攻を本格的に開始する。現在までの経過を振り返ってみると、人質解放よりもハマスの幹部捜索・ハマスの壊滅という軍事目標を優先していたのは明らかだ。

 上の衛星画像のコントラストを強めに調整するデータ処理を行った。海や池などの水系は水色に変わっている。代わりに建物群と地面の色の違い、さらに地表面の状態による色の差異がはっきりしている。未舗装の道路では、最近に利用されたか、それとも放置されたままかの違いが確認できるのではないか、と思う。以下、このデータ処理を施した衛星画像を使って見ていこう。

 今回は、3本の侵攻ラインを時系列で調べよう。画像に1,2,3と青色の番号を振ってラインの入口箇所を表示している。
 まず、1番目の侵攻ライン。ガザ地区中部。このラインは南北分断ラインのすぐ南に設定された。右上に南北分断ラインの入口がある。

 次に、侵攻ライン1の南のライン2,3。ガザ地区南部。左下にハンユニス ( Khan Yunis ) の街が見える。

侵攻ライン1

 衛星画像は、2023年10月7日。ハマスによる急襲があった日。ガザ地区に変化はないが、右下、イスラエル領内には襲撃による黒煙が見える。

 衛星画像は、2023年11月16日。壁を破って道がつくられ、侵攻が始まっている。

 衛星画像は、2023年12月26日。侵攻エリアが広がっている。

 衛星画像は、2024年1月15日。エリアが急速に拡大、激しい空爆も。

 衛星画像は、2024年2月29日。ガザ地区を南北に貫く大通り、サラアルディン通りまで拡大。イスラエル領内の作戦用の道路網も広がる。

 衛星画像は、2024年3月20日。このラインによる侵攻は大通りで止まったようだ。海岸にまでは到達していない。

侵攻ライン2

 衛星画像は、2023年12月1日。侵攻が始まったか。

 衛星画像は、2023年12月6日。すでにサラアルディン通りを越えている。ライン1よりも侵攻スピードが速い。

 衛星画像は、2023年12月16日。

 衛星画像は、2023年12月26日。

 衛星画像は、2023年12月31日。南に広がり始めた。

 衛星画像は、2024年1月20日。年が明けると、イスラエル軍は北部での作戦を縮小し、南部への攻撃を強化すると表明。

 衛星画像は、2024年2月29日。

 衛星画像は、2024年3月20日。

侵攻ライン3

 衛星画像は、2023年12月1日。ライン2と同時に始まったか。

 衛星画像は、2023年12月6日。

 衛星画像は、2023年12月11日。

 衛星画像は、2023年12月26日。ハンユニスを包囲するように展開している。

 衛星画像は、2023年12月31日。

 衛星画像は、2024年1月10日。

 衛星画像は、2024年1月30日。

 衛星画像は、2024年2月29日。ハンユニスの街は全滅状態だ。

 衛星画像は、2024年3月20日。

2023年、2024年の比較

 去年の同じ時期とくらべると、どれほど街が破壊されたのかがわかる。以下では中部、南部、ラファ近郊の3地点の変化をくらべてみよう。侵攻前の衛星画像は、2023年3月16日。現在の衛星画像は、2024年3月20日。

 中部・侵攻前

 現在

 南部・侵攻前

 現在

 ラファ近郊・侵攻前

 現在

ラファ地域

 衛星画像は、2024年3月20日。イスラエル軍が地上攻撃の計画を諦めていないとされるラファ地域。120万人近い市民が悲惨な状況で押し込められているが、イスラエル軍はお構いなしに空爆を続けている。ズームイン。

 空爆の煙が見えると思う。

 左下はラファ検問所。

 ネタニヤフ政権、イスラエル軍はどこまでパレスチナ人を殺し続ける気なのか。ガザ地区はもう瓦礫の山だ。

注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する COPERNICUS ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。




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