なにかありましたらこちらからどうぞ(web拍手です) http://clap.webclap.com/clap.php?id=satakegum ▼同人活動について サークル名「ペチカ」で東京のイベントを中心に参加しています。 ◆2021年イベント参加予定◆ 10月10日 J.GARDEN ーーーーーーー 在庫がある本 ※記載している金額はすべてイベントでの頒価になります。書店さんでは手数料の関係で割高になってしまいます、ご了承ください。 創作BLの同人誌はす
(千秋と椎) 雑草が伸びてきたので、椎が庭に出て草むしりをしている。 千秋は茶の間で麦茶を飲みながらそれを眺めていた。 本当は、椎が「庭出てくる」と言った時点で手伝おうとしたのだけれど、細い背中を丸めてせっせと働いている姿がかわいかったのでついじっと観察してしまう。 今着てるTシャツ、俺のだろ。肘まで隠れるほどオーバーサイズなのに、暑くないんだろうか。 ぶかぶかのシャツを着ていると、ただでさえ細い体がいっそう華奢に見えた。椎はどれだけ食べさせていても、夏になるとす
(千秋と椎) 「苗を買いたい」と椎が言うので、千秋が車を出して少し遠い種苗店へ行くことになった。助手席に座る椎は、こころなしかいつもより楽しそうにしている。 庭は、どんどん息をふきかえしていく。毎日の変化は微々たるもので目にはわからないのに、季節の変わり目や雨が続いてからの快晴の日など、はっとするほどあざやかに生き生きしていることに気付くのだ。葉っぱの一枚一枚にまで生命力がみなぎっているのがわかる。 玄関先に並べられたプランターも増えてきたので、今日ついでに木材を買って
(鴇沢と昴) 今日は天気のせいか客足が鈍く、二時ごろに最後の客が帰って以降、ぱったりと人が来なくなった。 もうすぐ三時、いつもより早いがそろそろ店じまいにしようかな、と考えながらスマートフォンを見る。と、昴から連絡が来ていた。 つい最近、昴もついにフィーチャーフォンからスマートフォンに機種変更して、それを機にLINEを導入した。 鴇沢は昴から届くメールの件名をいつも楽しみにしていたので、それがなくなったのは寂しいなとひっそり思っている。 けれども今はそのか
(鴇沢と昴) 昴は多趣味だと思う。 天体観測をはじめ、料理もうまいし、休日にはよく散歩に誘ってくれるし、電車に乗るのも好きだと言っていた。東京にいたときはキャンプとかもよく行った、と話しているのを聞いたこともある。 いろんなことに興味があって、いつもめまぐるしく何かを考えたり動いたりしている。 どちらかと言わずとも、昴はアウトドア派だった。 それにくらべて。 「ごしゅみは?」 「えっ?」 突然尋ねられた鴇沢は、パソコンの画面から顔を上げて首をかしげ
(鴇沢と昴) 昴の携帯電話が壊れた。日に何度も電源が落ちてしまうのだという。 最初はそれほど気にしていなかったけれど、さすがに使いたいときに使えないことに焦れたらしく、症状が現れて一週間ほど経ってようやくショップへ行った。昴は意外と、自分のことは面倒がる。 「スマホって頼りない感じ」 何年も前の二つ折りの携帯電話から、板状のスマートフォンに機種変更してきた昴は、手のひらにそれを載せてつまらなそうに言った。 「そう?」 「んー。後ろのポケットに入れといたら割れそう」
(鴇沢と昴) 家の玄関ドアに近付くと、中から温かい気配や料理の良い匂いが漂ってくる。今日は魚を焼いているようだった。 鴇沢はこれまでそんな幸福に縁遠い人生を送ってきたので、未だにいちいちどきどきしてしまう。 早く家に入りたくて急いで鍵を差し込もうとしたところでドアが開き、中から昴が顔を出した。驚いて目を瞠ると、彼はいたずらが成功した子どもみたいにあどけない顔で鴇沢を迎えてくれる。 「た、ただいま……びっくりした、今開けようと思ってたから」 「おかえり。今日すげ