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スタートアップのマーケは「やらないことを選ぶ仕事」という話(前編)

初めまして。予実管理クラウド「DIGGLE」というSaaSを提供しているシリーズA / 50名ほどのスタートアップでマーケティングを担当している増田です。

新卒で入社したプライム上場のメーカーから SaaS スタートアップへ Join して約1年半。ようやくスタートアップマーケとはどういうものか言語化できるようになってきたので、筆を執りました。

前提の整理 : 成熟した大企業のマーケとスタートアップのマーケの違い

※事業の形態により、この通りではない場合も多々あります。
 各 N=1 での経験によるバイアスがかかっていることをご承知のうえでお読みください。

ブランド資産

大企業には大きく成長する過程があります。その中で築いたブランドは毀損できない資産です。
こと日本では安心を重視する文化があり、「昔からやってる大企業だから安心」として購買にも、値付けにも、企業を持続させるうえで必要な採用にも広く効いています。
ブランド資産を保護するため、細かな CI (Corporate Identity) 規定をはじめ、外部コミュニケーションにおける各種ガイドラインが整備・メンテされており、マーケティング活動における選択の上では主として制約条件として作用します。

一方のスタートアップでは、ブランド資産を育てていく過程にあります。市場とのコミュニケーションを通じて、どのような認知を作っていくか。こちらはマーケティング活動の成果となります。

人的資源

大企業では、必要な施策に人手が足りない場合、社内の配置転換も選択肢です。「マーケティング」という業務は花形のイメージも強く、営業部門中心に社内買手市場です。事業ドメインに深い知見をもつ優秀な人材を得やすい状況というのは、企業規模が大きいならではのアドバンテージです。
また、マーケティングメッセージの伝達経路として大勢の社内関与者の言葉の存在は大きく、社内浸透に労力もかかりますが価値提供先へ深いレベルで情報を届けることができます。
前職では、大量の機材とともに各地の事業所に出向いて社内向けの勉強会も開催していました。

スタートアップの場合、足りない人手を補うには基本的に外注・アウトソーシングするか、それとも新しく社員を採るか、です。
前者には外注コストの他、コミュニケーションコストが必要です。後者は必要な時に二、三か月で、というわけにはいきません。
今ある限られた人的資源をどのように活かすか、は常に重要な点です。
情報伝達経路として、大企業に比べて社員のSNS利用が推進されることも分かりやすいです。(一方で、ブランド資産観点では意図しない形での情報拡散など、リスクを取っていることになります。)

広告宣伝費と成長曲線

一般に、売上の規模に応じて、かけられる広告宣伝費の総額は変化します。
大企業では、スタートアップには手が出せない範囲の大規模な施策を打つことも可能です。
ただし、成長はゆるやかなため、その規模が突然変化することは稀です。

対してスタートアップでは、急角度の成長曲線を目指しています。
そのため、売上規模に比して広告宣伝費は高めな傾向にあり、また成長曲線に乗って非線形に増える売り上げから、時間経過に従って新しい施策に投下できる費用も増えていきます。

DIGGLEも、月次で使用する広告宣伝費は大きく変化していっています。
例えば、私が入った2022年には出展したオフライン展示会は1展のみでしたが、2023年は3展に、2024年にはさらにその倍を目指しています。
COO荻原が注力してきたセミナーについても、開催本数・コンテンツの質の向上とともに広告費が健全に拡大しています。

担当者の裁量と時間軸

大企業では、過去の経験の蓄積からその企業におけるメソッドが(不文律の場合も含めて)存在しています。
予算は前年度をベースに立てられることが多く、基本はすでにある施策の中で、主にアウトプットのブラッシュアップに対する戦術部分で裁量を持つこととなります。
新しい施策を打つにあたっては、稟議決裁者までのコミュニケーションが数レイヤー重なっていることから、数か月、あるいは来期予算執行時期まで保留となることも多々あります。

一方で、スタートアップは経営陣と担当者の距離が近い点が特徴です。
事業計画を自分事化しやすく、必要な新規施策を直接経営者・役員と相談してブラッシュアップしながら企画・実行・効果測定まで一気通貫に実施できます。

DIGGLEでは、施策をやるか、やらないか、その判断に一月以上かかるようなことはほとんどありません。
人生を3倍速にしたかのように密度の濃い時間を過ごせている、と私は感じています。

スタートアップのマーケ担当者がやりたくなること

手を動かせば何かしら成果が出る、という状態にかなり近い環境で、かつ動くために必要な決裁、費用は得やすい環境にあります。
例えば 、リード獲得のための施策として下記のようなものがあげられますが、いずれも何等かの成果が見込めるため、未着手であれば手を伸ばしたい魅力があります。やりさえすれば結果が見える仕事、なのです。
マーケティング手法自体も日々進歩しており、ちょっと情報に手を伸ばせばやりたいこと、は無数にわいてきます。

  • Webトラフィックをつくる

    • 運用広告

    • メディア掲載

    • SEO (Search Engine Optimization)

    • SNS

  • 顧客の連絡先情報提供を促進する

    • ホワイトペーパー / セミナーなどのプレミアムコンテンツ制作

    • サイト内導線設計

    • EFO (Entry Form Optimization)

  • オフラインのつながりをつくる

    • 展示会

    • カンファレンス

「やらないこと」を選ぶ仕事

一番重いもの : 人的リソースの制約条件

金銭的リソースはもちろん有限なのですが、(事業がきちんと回るという前提の上に立つと) 人的リソースが最も重い制約です。採用の積極化してリソースの増加は図りますが、直近の施策の実行計画を組む際に、上記のやりたいことを並べてみると、実施できる行動量の制約が如実に表れてくるわけです。

その中から「やること」を決める際には、P/L 責任者の視点も加わります。
その前段で無数にある「やった方がいいこと」から、「やらないこと」を選んで剪定していく判断こそ、このフェーズのマーケ担当者が責任を持つ仕事だと考えています。

後編では、その選び方について書きたいと思います。

やりたいことがある方大募集

スタートアップ「DIGGLE」では、やりたいことが山積みです!!
新しいメンバーを熱く募集しています!!

  • 企業の成長フェーズにあわせていろいろなマーケティングチャネルを経験したい方

  • 事業計画に沿って施策企画→実行→効果測定を一気通貫で担いたい方

是非カジュアル面談でお話ししましょう!

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