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#2 群青 時代は、音楽×○○へ

 読んでくださりありがとうございます。リオと申します。2回目の歌詞解釈は、YOASOBIさんの『群青』です。ボーカルのIkura(幾田りら)さんとコンポーザーのAyaseさんの2人ユニットであるYOASOBIは、音楽×小説をテーマに活動されており、話題となった『夜に駆ける』はAyase/YOASOBI official music videoで1.8億回再生されており(2021年3月19日現在)、若者を中心にヒットし、J-POPアーティストで最も勢いのあるアーティストの1つだと思います。

 そんな中、今回考察する曲である『群青』は、「マンガ大賞2020」で大賞を受賞した『ブルーピリオド』(作・山口つばさ)からインスパイアされた曲であり、ブルボンでは『群青』と『ブルーピリオド』がコラボレーションしたCMが公開されています。(*私は、『群青』という曲をこのCMで知りました)

 では、『群青』がどのような曲なのかを考察・解釈していくとともに、Ayaseさんがインスパイアしたとする『ブルーピリオド』にも触れながら、紹介したいと思います。

ブルーピリオド

・『群青』とは

 群青(群青色)とは、日本画材の岩絵具の「群青」に由来する色で、紫色に近い深い青色のことを指します。素材となるのは、鉱物の瑠璃からつくられたものです。(*瑠璃は宝石としても非常に高価ですので、藍銅鉱が原材料になっています)そのため、群青は日本画では菩薩像や地雷増など非常に尊い存在を描くときに使われていたそうです。

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・さんざめく渋谷の夜

 あくびが出てしまうような退屈な日々を過ごしていると表現から一変、「さんざめく渋谷の夜」という描写によって、主人公の内面と騒がしい渋谷の街という対比が出ていますよね。更に、さんざめく夜の街という言葉だけではどのような場所なのか想像はつくきにくいですが、サッカーW杯で盛り上がるサポーターやハロウィン、新年のカウントダウンなど良くも悪くも渋谷の夜は騒がしいというイメージはあります。

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・でもそれでいい そんなもんさ これでいい

 何処かむなしい気持ちを抱えながらも、主人公は現状に折り合いをつけて、満足しています。

・合唱パートの意味

 サビの部分まで一気に合唱パートとなり、何処かどんよりとした空気から一変し、躍動感のある歌に変わります。この部分は、人によって解釈は異なると思いますが、私は”好きなことに向き合う勇気をくれた人たちの声”だと思います。人が好きなことを始め、続けることはとても難しいです。失敗することを恐れたり、不可能とも入れる大きな壁にぶつかってしまったときに、一人で抱え込んで、全てを解決するのは出来ないです。でも、背中を押してくれたり、励ましてくれたりする声や言葉があれば、人は挑戦する一歩を踏み出せる。そんな思いがこの歌詞にはこもっていると思います。

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・「好きなものを好きだという」こと

 皆さんも自分の夢を語る上で、少し億劫になったことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?一握りの成功者しか存在しないことに挑戦するときに言われる「お前には難しい」、「もっと安定した職があるだろう」などといった夢に対して何処かネガティブな発言。もちろん、それを告白された側も嫌いだから言っているのではなく、夢に挑戦したものの、挫折し志半ばで諦めてしまった人を見たり、自分が経験したりしているからこそ出てしまう「心配」がほとんどです。

・好きなことを続けるのは「楽しい」だけじゃない

 1番の歌詞とは対照的に、2番では「夢を目指している」最中に起きる葛藤や苦悩のなかでもがき苦しむ主人公の姿を表現しています。「好きなこと」という言葉を理由に続けているものの、「好きなものを好きだという」ことが出来ない場面も現れます。周りと埋められない実力の差、夢を続けることが諸事情によって不可能となってしまうこと。好きな夢は、ときに好きだと言えないものに変わることがあります。そして、その苦しみは誰もが共有できるわけではなく、自分自身の問題です。

 そこで、向き合い続けるのも諦めて違う道を選ぶことも、その人の人生であり、誰かに干渉される筋合いはないと思います。ただ、どんな道に進むとしても、「好きなこと」に真摯に向き合った時間は、いつか大きな武器になるとも思います。

・透明な僕は、かけがえのない僕へ

 この主人公は、最終的に好きなことを通して、「ありのままの僕」という存在を受け入れています。何かに熱中し、向き合うことの出来ず、軸となる色を描けなかった僕は、誰と比べたって出来ることのない鮮やかな「群青色」という夢を描くことが出来た。

自分にしか選択することの出来ない確かな夢を持ち、誰にだって出来ることのない”色”をこれからも描き続けていく。そんな強いメッセージがこの曲には込められているのではないでしょうか。

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・まとめ

 最後まで読んでいただきありがとうございます。この曲は、インスパイアされたブルーピリオドを見ると更に曲の奥深さを楽しめるのではないかと思います。

こちらがYOASOBIさんの『群青』のMVです。是非聴いて欲しいです。

それでは。


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