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個人開発するために、退職してフリーランスになりました

個人開発をするために、正社員として勤めていたヤフー株式会社を退職しました。退職に至るまでの振り返りと、今後やろうと思っていることについてまとめます。

私のプロフィールについては、こちらの記事をご参照ください。

思い出

ヤフーでは検索関係の部署で働いていました。

一番思い出に残ってる仕事は、類似画像検索システムの立ち上げです。それなりの規模のシステムを1から構築したのは初めての経験でした。

アグレッシブな開発スケジュールを立てて火傷するなど、色々大変なところもあったのですが、開発が本当に楽しくて、同僚や上長からは夜遅くまでやってるけど、いつも楽しそうに開発してるねと言ってもらえたりしました。

当時、開発していたものについては、こちらで登壇の機会もいただきました。

そんな中、ヤフーの社内ハッカソンに参加し、「ウユニ塩湖に行きたいんやが」という作品を作りました。現地まで行くのは難しいけど、近い距離で行ける場所を、類似画像検索の技術を使って教えてくれるサービスです。

こちらの作品は想像以上にいい精度で結果を表示できるサービスになり、賞をいただくことができました。

そんな中、こちらのハッカソンに一緒に参加していた村山さんと新規にサービスを作ろうという話になりました。

ソフトバンクグループでは、ソフトバンクイノベンチャーという新規事業提案制度があります。そちらに応募して、事業化に向けて出向させてもらえることなりました。ヤフーのエンジニアの同期の大石さん、吉村さんもジョインし、そこで2年弱ほど新規事業の立ち上げを行っていました。

BAKOON

新規事業では、オンラインエクササイズアプリのBAKOONを開発しました。BAKOONはアイドルが先生となって一緒にエクササイズするサービスで、リアルタイム配信しながら、カメラで運動量を計測したり、モーションキャプチャでポーズを判定してリアクションを送れる機能があります。

ちょうど、時勢的に自宅フィットネスの機運が高まってる中だったので、ひょっとしたらかなり成長する可能性があるのでは・・?と思っていたりしました。

去年の5月くらいから開発を始め、今年の1月にリリースをしました。その後は日々改善を行い、サービスの成長のために色々と試行錯誤していました。

こちらのサービスを題材として、何度か登壇させていだきました。

また、以下の書籍でも紹介していただきました。

(これだけ紹介の場をいただいたのに、サービスがクローズしてしまい申し訳ないです・・・)

BAKOONでは、エンジニアも含め全員で話し合って、ビジネス面に関する意思決定を行っていました。毎回議論が終わらないので、どうすれば時間を短くできるか話し合うほどでした。

また、自分は開発だけではなく、データ分析や広告の運用なども担当していました。このような業務を経験して、マーケティングの観点からも、ものづくりを捉えられるようになりました。

最終的にアイドルとフィットネスという根幹のアイデアが、運動のアプリとして成長させるのが難しいとチームメンバーで結論を出し、サービスのクローズを決めました。

一方で、最後まで楽しんで使っていただいた方もたくさんいらっしゃいました。配信後のコメントなどで、最後まで温かい応援の言葉をいただけました。関係者の皆様、ユーザーの皆様、本当にありがとうございました。こんな暖かい終わり方ができて良いのだろうか・・・。

個人開発への憧れ

そんなこんなで、BAKOONの開発、運用に取り組む中、ひそかに「個人開発」に憧れを抱いていたりしました。

サービスを作っていく中で、自分自身がターゲットの中心にいなかったこともあり、何をもって良いサービスなのか判断できないところに難しさを感じていました。

また、スタートアップ的に投資を受けて新規事業を立ち上げるスタイルの場合、大きな市場、急速な成長を狙う必要があります。自分は成功の野心があるタイプではなく、どちらかというとプログラミングやものづくりの過程を楽しみたいタイプで、そこもミスマッチに思えました。

そんな中、個人開発界隈の人たちは自分の作りたいものを作ってるように見えていいなーと思ったりして、当時こんな記事を書いたりしました。

もしサービスがクローズしたら会社を退職して、個人開発に注力しようと考えていました。そして今に至ります。

今後作るもの

今後は、類似画像検索などで使われる、OSSのRust製ベクトル検索エンジンを開発しようと思っています。

退職した当時は、フリーランスをしつつ、toC向けのサービスやツールなどを作ろうと思っていました。が、フリーランスエンジニアとして無事に案件も決まり、なんとかなりそうだと安心した後は、個人開発では作りたいものに全力で寄せても良いのではないか?と思うようになりました。

また、フリーランスとしてお仕事を手伝いすることも、やりがいがあって楽しそうなので、無理に個人開発一本で食べていけることに固執しなくても良いかもと思いました。

なぜ、ベクトル検索エンジンをテーマにするのかというと、検索は何だかんだ業務経験が長く、これまでの経験を通して利用者のニーズが分かるためです。たとえば、メタデータを使って絞り込み検索する機能が欲しかったので、そのようなものを目指しています。

また、Rustでプログラミングすること、OSS開発で何か作品を作ることは、ずっとやりたいけどやれていなかったことなので、技術的モチベーションも満たされます。そのため、一石二鳥のテーマだと思っています。

BAKOONのメンバーで反省会を行った際に、事業が成功するためには、メンバーのモチーベションが保てること、メンバーの持ち味に合った勝ち筋を作れるかが重要であるという結論が出ました。その意味では、自分はtoC向けのサービスを作るよりも、純粋に技術的なテーマの方が向いている気がします。

問題は、どうやってマネタイズするのかですが、ソフトウェア自体を売るというよりは、作る過程で身についた経験などを、技術アドバイスやサポートとして売るという形であれば、意外に現実的なのではないかと考えています。

プロダクトが有名でなくても、要所要所で情報発信できればいけそうな肌感があります。少なくともtoC向けのプロダクトでヒットを作るよりは、できそうな気がします。

技術書典11で類似画像検索の本を出したりしましたが、意外に興味を持ってもらえることが多く、類似画像検索の知見はニーズがあることがなんとなくわかってきました。

また、来月からフリーランスとして関わる案件は、どちらもBAKOONの活動を発信したことがきっかけでした。このことから、何か作ったものを発信していれば仕事につなげられそうな気がしています。自分のOSSであれば秘密保持も何もないので、相性が良い気がします。

うまくいった場合、OSS個人開発で生きるという一つの形を示せるかもしれないです。そういうロールモデルになれるように挑戦できたら良いなと考えています。

終わりに

ヤフーやSBイノベンチャーなどで関わった皆様、これまで本当にありがとうございました。いろいろな活動をさせていただき、とても楽しく働くことができました。最初に入った会社がヤフーで本当によかったと思っています。

今後もこちらのnoteで個人開発の活動などについて、発信しようと考えています。ベクトル検索エンジンの開発については、来月1/24 (月) のRust LT Online #6で登壇して発表しようと考えています。

また、上記の技術書典の本に加筆・修正を行った「PythonとTensorFlowでつくる類似画像検索」という書籍を技術の泉シリーズから来月1/22に出版を予定しています。こちらも興味があれば是非読んでいただけたらと思います。

今後ともよろしくお願いいたします。


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