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水分よりもナトリウム!

今回は、フルマラソン以上の距離(または時間)を走るレースでの、ナトリウム補給について。
結論から言うと、「水分は多少ガマンしてもいいが、ナトリウムは気づいたら手遅れ」。ちょっとググってもらえばわかるが、「低ナトリウム血症は命に関わる」のである。そこまでいかなくても、僕の場合だと、あちこちで筋肉の痙攣が始まり、レースどころではなくなる。

発汗量、気にしてますか?

生物学的ではないが、長距離レースでは、ナトリウム≒汗と考えても、さほど問題ないと思う。発汗量が多いほど、多量のナトリウムを流出しているということになる。で、発汗量というのは、個人差の幅もすごいし、レースの気温、湿度、その日の体調(特に自律神経)などでも全然変わってくる。アスリートなら、その日のコンディションに対して、想定よりも発汗量が多ければ、気づくのでは無いかと思う。気づかなかったり、無視したりすると、高確率でひどい目に合うと思う。ナトリウムは、神経の伝達と筋肉の収縮に大きく関わっているので、身体の調整可能範囲(ホメオスタシス)を超えて減少すれば、すぐに不調をきたすし、最悪命に関わるからだ。

脱水では案外死なないらしい

いつからか、「こまめな水分補給を!」「のどが乾いてからでは手遅れ!!」というキャッチコピーが氾濫しているが、ホントにそうだろうか。昭和時代の悪質なスポーツ指導として名高いものの一つに、「運動中に水を飲むとバテる」というのがあり、今の中高年世代はそんなコーチのもとに部活をやっていた人も多いと思う。だが、「チームメイトが死んだ」という話は、滅多に聞かない。案外、人間は脱水に強くできているらしい。逆に、長距離系レースで、「水分を取りすぎて死んだ」という話は、よくデータの引き合いに出される。低ナトリウム血症、いわゆる水中毒というやつ。極端に単純に言えば、ナトリウムが流出して減っているのに、水ばかり摂取した結果、限界を超えて、血が薄くなってしまった、ということだろう。

熱中症予防にスポーツドリンク?

脱水と低ナトリウム血症を同時に防ぐためには、まず筆頭に、アクエリアスやポカリスエットなどのスポーツドリンクを摂取することが頭に浮かぶ。が、成分表示から分析すると、あれは薄すぎる!全く運動しないおじいちゃんとかが、水代わりに飲んだとしても、塩分過剰にならないように設定されているのだと思われる(同じことが、塩飴や塩タブレットなどのサプリでも言える)。長距離レース(特に夏場)には、焼け石に水。

エイドで塩をなめる?

そう、多くのマラソン大会では、エイドに大量の塩を置いている。ボランティアさんも、「塩分も補給してね!!」と訴えている。実際、マラソン中に舐める塩は甘く感じるほど、身体が欲していたりするのだと思う。が、やや疑問なのが、「濃すぎるのではないか」ということ。
参考:塩:岩本コーチのブログより
濃すぎる塩は、胃の粘膜を破壊する可能性があるということ。

ナトリウムローディング

ナトリウムローディングは、僕が実践している手法の中では、ローリスクハイリターンで、かなりおすすめできる。が、案外知られていないらしい。
拙著:ナトリウムローディング覚書
上記は、僕が5年くらい前に書いたブログだが、なぜかグーグル検索上位に表示される。別に僕が考案したでもなんでもなく、トライアスロンの教科書から引用して紹介しただけ。体重が60キロちょいの僕の場合、レース前に6g程度の塩を溶かした水を飲む(600ccに溶かす、つまり10%食塩水、体重費は計算してね)。6gって、ちょっと引くくらいの塩だが、フルマラソン以上ならおおよそ使い切れる上に、万が一体内に残ったとしても(案外寒かったとか)、健康な成人なら、2~3日で排出されるらしい。排出されるまで、むくみで体重がえらく増えたりすることは、経験上あるが。劇薬っぽいが、勝負レースのときだけ使うのであれば、健康面のリスクは低いと思われる。レース中の効果は覿面。発汗量が少なく抑えられ、体温上昇がゆるやか、なにより、痙攣に悩まされるリスクが激減する。先日の100kmマラソンでは、6gの塩分を使い切って、さらに大赤字になるシチュエーションを想定して、濃い塩水(醤油くらい)を小型ボトル(フラスク)に入れて、中間エイドに預けていた。必要に応じて、エイドのスポーツドリンクに混ぜて飲む作戦だった。が、幸い走りやすい気温に終始し、発汗量が想定以下だったので使わずに終わった。
ちなみに最近、「塩水を飲む気持ち悪さ」を軽減するため、スポーツドリンクに同量の塩を加えてみたところ、劇的に飲みやすくなった。レース前に胃もたれするというのは馬鹿にならないリスクなので、これは大きい。

もうひとつ、あくまでも僕の経験であるが、メリットだと思う点。
「ちゃんと喉が渇く」
つまり、のどがかわいたな、と思ってから、水分補給していけば間に合う、というわけである。「のどはかわいてないけど、水分足りてるだろうか??」という心配から開放されるのは大きい。

自己責任で。

お決まりのラストで恐縮ではあるが、ナトリウムローディングなど実践して、健康トラブルなど起こしても責任は持てないのであしからず。
(公式メディアの見解とか、学術論文とかじゃないからね。ネット情報は疑ってかかるべし)
ホントは、引用文献とかデータソースとかエビデンスとか、可能な限り載せたかったけど、同じ理由で省略する。片手間に文章化するには大変すぎる。いろんなデータやエビデンスを参考に自己人体実験したオッサンの記録、として解釈してね。

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