【実話怪談】体育倉庫【怖い話】

情報提供者

30代男性 公務員



中学生の頃、部活仲間に病的なまでに暗所恐怖症の男子がいた。


その子は、真っ暗な空間に閉じ込められると、数十秒は耐えるものの次第に泣き喚きはじめる。


その様子を見て部員達は大笑いしていた。


今思えばイジメのような度が過ぎた冗談だが、90年代当時の男子達はそこまで考えてもいなかった。


ある時、体育館が建替わった。


新しい体育倉庫は広く、窓のない暗黒の空間だった。


部員達はすかさず、暗所恐怖症の彼を閉じ込めようとした。


だが、決死の抵抗を受け閉じ込められない。


首謀者のガキ大将がいった。

「じゃあ、オレも一緒に入ってやるから」


ガキ大将としては、真横で怯える姿をからかえると思ってたらしい。


暗所恐怖症の彼は、ガキ大将が一緒ならと渋々入った。


ドアを締め、部員達は聞き耳を立てた。

しばらくして、叫び声が聞こえた。


それは暗所恐怖症の彼ではなく、ガキ大将の方だった。


ガキ大将は血相変えて飛び出して


「『ここから出して』って人の声が聞こえた」


と言った。


その後、明かりをつけて倉庫を散々探したが誰もいなかった。

暗所恐怖症の彼は、そんな声は聞こえなかったと言った。


怯えるガキ大将によれば、大人の男の声だったという。


声が聞こえたあと、ひたひたと歩いてくる足音が聞こえたそうだ。


後に、新体育館建設の時に作業員が事故で亡くなっていたらしいと噂がたった。


中学生らの噂なので真偽はわからないし今更確かめようもない。


気の毒なことに、ガキ大将はそれ以来暗所恐怖症になり、40歳目前になった現在でも部屋を暗くして寝ることができないらしい。




【おわり】




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