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小説集

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ホラーや短編など小説置き場です。
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記事一覧

【怪異短篇】深夜のETCゲート

場所:坐骨市無垢町 高速道路坐骨料金所 喫煙室 ーーーーーーーーー 俺の見間違いだと思い…

【ホラー短篇】地蔵(ある写真の話)

どうだい? セピア色の古ーい写真だが… 気味の悪い写真だろ。 森の中に牛がいて、牛の頭が…

【ホラー短編】ゴイシジミ

「ご飯できたぞ」 俺は娘に声を掛けた。 味には自信がある。 仕事帰りにレシピ本を買い、レシ…

【短篇ホラー】ある警官の帰還

坐骨市。 もうこの街には決して戻りたくなかった。 警官を拝命して6年、ずっと「坐骨市」で…

【ホラー短編】高窓

僕の部屋には高窓がある。 180cmの僕ですら、顔が届かない位置にある。 横向きに細長い…

【短編ホラー】下見駅

山口県坐骨市(ざこつし)北部の海沿いに、廻骨陰線(かいこついんせん)の奇妙な駅がある。 …

【ホラー短篇】黒犬

山口県坐骨市の古くからある漁港に、困った男が住んでいた。 男は黒い犬を飼っていた。 全身艶のある黒い毛並みで、筋骨隆々とした大型犬だった。 だが、犬というのも正確ではないかもしれなかった。 顔つきはさながら大型ネコ科動物「カラカル」のように見えなくもなく、犬と言うには小顔だった。 「ヒョウのようだ」という人もいた。 男は「犬だ」と言い張り、いつも連れていた。 大きな鎖と、棘の付いた首輪を付け、周囲を威嚇するように付近を練り歩いていた。 その「黒犬」は筋肉を波打

【ホラー短編】泥とツバ

山口県坐骨(ざこつ)市には、海沿いを走る廻骨陰線(かいこついんせん)という在来線の路線が…

【短篇小説】空腹の息子

私は夜中、自室で仕事をしていた。 会議の資料作りをしていたのだ。 妻と息子は寝室で寝てい…

【ホラー短編小説】インターチェンジ

もう数十年前の話だ。 僕は中国地方Y県の生まれで、大学はその隣県の大学に通った。 大学四…

【ホラー短編】妻の呼び声

僕の妻はとても愛らしい習慣を持っていた。 夜、寝る時には必ず 「寝ますよあなた。こちらへ…

【ショートショート】後回しグセと夢のコーヒー

Aは何でも先延ばしにする男だった。 小さなころからお手伝いや、勉強は全て後回し。 解決すべ…

【ショートショート】素敵な移住先

B子はスーパーのパート店員である。 元来の口下手と人見知りから、30歳を過ぎたが独身で、…

【ショートショート】火葬場の煙

僕の家からは火葬場の煙が見える。 火葬場自体は山に隠れているものの、火葬の煙…黒煙が上がるのは見えた。 その火葬場の煙も、とある噂が広がっている。 煙は宙を舞い、次第に故人の笑顔を形作るというのだ。 実際、火葬された故人の穏やかな笑顔が現れ、涙したという話を何度も聞く。 噂は本当なのかもしれない。 そんな時、長年の介護の末、僕のおばあちゃんが死んだ。 ゆっくりと病気が進み、最終的には僕のことすら分からなくなった。 徘徊して、保護に来た警官と、僕と、音信不通の叔