見出し画像

【同棲日誌】歩きながら「帰る場所」について語る


この日、私たちは歩いて家路に向かった。


普段は、家で彼の帰宅を待つ側なだけに、一緒に同じ場所に向かえるのは、どこか浮き足だった気持ちになる。

しかも、今回帰る道は公共交通機関でないと行けない場所なのだ。

電車や車でなんとなく通りすぎてしまうところをこうして地に足つけて歩いていると様々な発見がある。

いつもデリバリーでお世話になる店の場所がわかったり、
地下から電気を流すシステムが使われている関係で、電柱がない道が存在していたり、
ローカルに展開しているチェーン店や個人で経営されている年季の入った珈琲、洋食、中華料理店があって興味を惹かれたり、、、

転勤族の我々からすると、こうしたその町にはどういったものがあるのか、
ここでしか体験できないことに触れることに何よりの喜びと転勤族の醍醐味を感じることができる。

そうして、家にあと10分で近づこうというタイミングで、
彼が「帰る場所があるっていいよね」と切り出した。

彼が思う「帰る場所」の意味は、家族がいっしょに住む空間のことを指す。
彼はひとり暮らしをしていた際、家という空間はあるけど、喜び勇んで帰りたい!って思えるかというとそうでもなかった。ただ、寝床と最低限人間として生活していくために必要な環境と捉えていた。

ただ、私と婚約をし、同棲をし始めてからは一気に家が「帰る場所」に落ち着いたらしい。
なぜなら、くだらないギャグで爆笑する時間やNetflixで見たいドラマを一緒に見る風景が目に浮かぶからだそうだ(笑)

確かに、彼は家にいるとき基本ご機嫌なのだ。
彼が私にちょっかいをかけて、私がぷんすか怒っているときもいたずらっ子のごとく笑顔。
今度どういうところに旅行に行きたいかと話しているときもいつも頭の上に音符が出ている。
よっぽど今の生活が気にいっているのだろうと私も見ていて安心する。

きっと、彼の中で家という場所が、「家族に費やせる時間を生む場所」に一歩ランクアップしたのだと思う。

そうこう話しているうちに、家が見えてきた。
今日はどんな同棲生活になるのやら楽しみだ。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?