ぽっち。

思うこと、思い出したこと、ぽつぽつ描きたいと考えています。 忙しない日常からふっと離れ…

ぽっち。

思うこと、思い出したこと、ぽつぽつ描きたいと考えています。 忙しない日常からふっと離れて考えられる、立ち止まれる一時が提供できれば幸いです。 救い、あるといいな。

最近の記事

あの日、少女だった。(再掲)

あの日、少女だった。 思えば、本の虫だった。 図書館の本を年間で100冊以上読むと表彰してもらえると知った小学校低学年のある日から、わたしは本に取り憑かれて行った。 とはいえ、動機はただ賞状というものが欲しいだけのことだった。 最初はどんな本が好きか分からなかったため、『ファーブル昆虫記』や『シートン動物記』から入った。 正直、退屈だった。 フンコロガシについての衝撃しか残っていない。 おかげでシリーズを読み進める途中から、読むことはただの「ポーズ」になった。

    • 弟くんの話。

      かつて、弟分がいた。 彼と知り合ったのはひょんなことからだ。 気づいたら「弟くん」、「ねーちゃん」と呼び合うようになっていた。 当時彼は高校を出たての専門学生で、面白いデザインのジュエリーを沢山作っていた。 わたしはというと、世間では「お嬢様学校」と呼ばれる大学の3年生だった。 彼には妹ちゃんがいると聞いていたけど、まるで末っ子のようにとても甘えん坊で頼り上手だった。 わたしも実の弟がいる手前分かり合える部分が多かったし、とにかく一緒にいるのがとても楽、そんな彼が気に入

      • 「おじさん」とわたしの話。

        「ねえ、そのお金何に使うの?」 そういうおじさんが嫌いだった。 「はい、お小遣い。これで少しでも女を磨くんだよ。」 そう言われると罪悪感しかわかなかった。 シャワーを浴びている少しの間、その人はさり気なくどこかに「お小遣い」を置いておいてくれる。 その温かさとかちょっとした心遣いがオトナだと思ったし、20そこそこのガキなわたしを1人の女性としてきちんと尊重してくれているんだと思った。 素敵だと思ったしずっとその腕に居たいような気もしたし、わたしは何よりそのおじさんの穏やかな

      あの日、少女だった。(再掲)