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本当の民主主義

 (1996年)4月28日、テレビ朝日「がん戦争13」を見た。今回のテーマは、最近しばしば耳にするようになった、「インフォームドコンセント」であった。日本語にすると「説明と同意」である。ゲストの永六輔氏の言葉が印象的だった。「『インフォームドコンセント』が日本語になって、おじいちゃん、おばあちゃんにも分かるようにならないと日本には定着しないでしょう。かつてボランティアがそうであったように。」

 確かに、そう言われてみると「インフォームドコンセント」や「ボランティア」を一言で言い表せる日本語はない。

 日本は、つい50年前(現在からは70年前)まで、江戸時代からの封建主義を色濃く残した国であった。一部の権力者が絶対的な力を持ち、一般市民に対し君臨していた。“お国のため”の御旗の下、“お上”の言うことには絶対服従。逆らう者たちは厳罰に処せられた。

 民主憲法が制定されて50年。表面的には欧米諸国と肩を並べる経済大国、世界の民主国家グループの一翼を担うまでに成長した日本。しかし、現実には、封建主義の亡霊が至る所を徘徊している。力ある者は威張りたがり、弱い者は力に屈して涙を飲む。あるいは、権力あるものに媚びて私腹を肥やす輩。医者と患者、老人と若者、障害者と健常者、先生と生徒…。そこに見え隠れする微妙な力関係。平等の精神、あるいは真の信頼関係が芽生えにくい日本の社会、組織。

 日本が真の民主国家になるために必要なのは、まず、行政、企業を始め大人の社会でいじめや差別を無くす努力をすること。その上で、親や教師が子どもたちに民主主義の大切さを説くことである。一人ひとりを大切にできる。そんな日本をつくっていきたい。

★あれから20年。これまた、社会は進展していない。学校では「指導」と言う名の下、教師による生徒イジメがある。大手広告会社では過重労働とパワハラにより新入社員が自死し、某国営放送局でも記者が過労死した。与党政治家の国民を上から見て小馬鹿にしたような発言。

 我々教員は年に一度は、体罰やセクハラによる服務事故を防止するための人権研修を受けている。しかし、研修を受けただけでは人権感覚は向上しない。長く、幼い頃から、あたり前に人を見下してきた方にとって、価値観を転換することは容易ではない。

 戦後70年。民主主義は大きな転換点を迎えている。

学校教育には矛盾がいっぱい!