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「想像力」を育む教育

 「人が生きていく上で最も大切なことを一つ挙げなさい。」と質問されたら何と答えるだろうか。私は迷わず「想像力」を挙げる。今日の日本、いや世界を見渡してみると、想像力の欠如による悲劇があちこちで起こっている。戦争、テロ、殺人、暴力、いじめ。相手の気持ちを想像できたらとてもできることではない。国会のセンセイたちや霞ヶ関の官僚の方々。国民の気持ちを想像できたら、とてもあんなことを言ったりやったりできるはずがない。

 人が生きていく上で最も大切な「想像力」。残念ながら、生まれながらに持っている本能ではない。学習することによってはじめて身に付く能力である。果たして最近の家庭や学校は、「想像力」を学ぶ場としてふさわしいだろうか?

 先日NHKテレビを見ていたら、「アメリカのボランティア事情」を取り上げていた。メリーランド州では、小学校のカリキュラムの中に、ボランティアが取り入れられている。授業で老人ホームに慰問に行った後、子どもたちは、それぞれが感じたことを先生と話し合う。ごく自然なこととしてボランティアを学習できる環境が整えられている。また、アメリカのボランティアによる労働力は、フルタイムの労働者880万人分にも上るという。

 欧米に追い付き追い越せ。他人よりも一歩も二歩も前に出ろ。決して負けるな。頑張れ頑張れ。そんな先人たちの努力によって日本はとても豊かになった。しかし、21世紀の日本に必要なのは「他人に負けない強さ」ではない。「みんなで幸せになるための知恵」である。そのためには「人の気持ちを思いやる心」が必要不可欠である。想像力を育める家庭、学校、ひいては社会を一刻も早く作る必要がある。

★想像力の欠如により引き起こされた悲劇は、残念ながら今も枚挙にいとまがないほど起きている。中でも、東日本大震災の原発事故は一番重大な事案である。原子力は人間の想像力を大きく超えた物質である。なのに、想像力の範疇であるかのふりをして使い続けていたツケである。残念ながら子どもや保護者の気持ちを想像できない「センセイ」、部下の気持ちを想像できない管理職も増加の一途をたどっている。

学校教育には矛盾がいっぱい!