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心の余裕3

 東京を車で走っていると、周りの車の乱暴な運転に肝を冷やすことが度々ある。我先に一台でも前に出ようとする車。路肩と車の僅かな隙間をすり抜けていく原付オートバイ。「狭い日本そんなに急いでどこへいく。」一昔前の交通安全標語が頭をよぎる。

 私は昨年の夏カナダを旅した。バンクーバーからカルガリーまでの往復、約3500㎞。ほぼ日本を縦断する距離をレンタカーで走った。カナダのドライバーのマナーはとても良かった。というよりも、広大なカナディアンロッキーが、そこに住む人々の心をも広くしているのかもしれない。走行車線を思い思いのペースで走る車。それを時折、急ぐ車が追い越していく。前部に自転車、屋根にボート、後部にキャンピングカー、さらに乗用車まで連ねた4WD車が悠然と走っている光景も、しばしば目にした。カナダの人々は、目的地に向かうため車を運転しながらも、ゆったりと自分の時間を楽しんでいる。

 日本に帰ってまず感じたのは信号機の多さである。直線で見渡せる、ほんの5、600mの距離に何台もの信号機。それぞれが気ままに青から赤へ。車は渋滞。「余裕をもって運転を。」といわれても無理な話。狭い道幅、道路にはみ出した電柱、堂々と車道を走るオバサンの自転車、すぐに渋滞する高速道路…。イライラなしに東京を走るのは、まず無理である。

 道路を確保して建物を建てるのが基本の諸外国の都市に対し、建物の間に曲がりくねった道路が走っている日本。それはカナダの数分の一の面積に、4倍もの人間が暮らしているのが原因であろう。せめて時間だけには余裕をもって、追い越されても腹を立てず、ゆっくりのんびり走りたいものである。

★最近は無謀運転が社会問題に合っている。高速道路で無謀運転をした結果、人が死亡した事例もある。「人に先んじること」に快感を覚えるのは、車のみならず人間の本能なのかもしれない。能力があり、人間性の高い人物は、周りの推しで自ずと一番になる。肩に力を入れて、策略を巡らし、人を陥れ、結果もぎ取った実力不相応な一番にどれほどの価値があるのだろうか。はなはだ疑問である。

学校教育には矛盾がいっぱい!