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戦国時代の自動操縦 #毎週ショートショートnote

「おーとまた、じゃと?」
「ええ、自動操縦のからくり人形のようなものにございます。どんな雑事も人より素早く、細やかにこなす技巧を持つ代物となっております」
 南蛮より渡来したという怪しげな商人が人一人は入れるであろう大きな木箱を持ち、儂の前に訪れた。普段なら門前払いしているところだが、尾張の大うつけは舶来品で多大な戦果を挙げたと聞く。機を逃してはならぬと、話を聞くことにしたのだが――。
「とても信じられぬ話だな。それに、それほどの品、一体いくらの値がついておるのじゃ」
「お代は不要です」
「何? 余を謀るか?」
「殿に求めるは、真なる愛にございます。この自動人形オートマタは彼の地にて圧倒的な勝利をもたらした品なれど、その心に傷を抱えておるのです。そして、それを癒やすことができるのは、殿、ただ一人なのです」
「貴様、一体どういう」
 余が言葉を吐ききる前に、商人は木箱の蓋を開けた。そこにあった人形、いや、女の顔を見て儂は言葉を失った。

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「おい、聞いたか? 隣の国は殿様が急にいなくなったってよぉ」
「聞いた聞いた。女と出ていったとかいう話だぜ?」
「かー、色狂いってやつかねぇ」

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 たらはかにさんの以下の企画に参加しております。

 いやはや全く難しいお題でしたw 途中まで書いて放置してしまってたのに気づいたので、なんとか締めてひっそりロスタイム投稿。ご容赦を!

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