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米国・コロナでヘイトクライムが激増アメリカで拡大する「アジア系差別」の歴史と背景➠根深く複雑な問題 多民族国家の宿命なのか

【米国・コロナでヘイトクライムが激増アメリカで拡大する「アジア系差別」の歴史と背景➠根深く複雑な問題 多民族国家の宿命なのか】
 アジア系住民に対する暴行などのヘイトクライム(憎悪犯罪)がアメリカで急増しています。犯人は白人の場合もあれば、アフリカ系やヒスパニック系の場合もあるようですが、この背景には長年積み重なった複雑な「差別と格差の構造」があるようです。
 なぜ、今またアジア系の住民が憎悪され暴力問題が増加しているのでしょうか?

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【ここ、2年でアジア系ヘイトクライムが2.8倍にまで激増】
 2020年はアメリカにブラック・ライブズ・マター(BLM)の風が吹き荒れたのは印象に強く残っています。しかし、その陰で深刻化する「もうひとつの差別問題」があったのです。
 全米のいずれもアジア系コミュニティがある主要16都市で、昨年、アジア系住民に対するヘイトクライムが前年の2.8倍に激増しています。この傾向は今年も続いており、例えばカリフォルニア州オークランドのチャイナタウン周辺では今年4月、記録されているだけでも24件のアジア系住民に対する犯罪が発生してるようです。
 特に目立つのは高齢者を狙った暴力ですが、2月25日にはロサンゼルスにある「東本願寺別院の建築物が破壊・放火される事件」も起きており、内容も凶暴化していて、さらなるヘイトの広がりが懸念されています。

【引き金となったのは、中国発のコロナ禍、そしてウイルスを「チャイナウイルス」と呼んだトランプ前大統領】
 「トランプ前大統領」は、コロナウイルスを「チャイナウイルス」としたのは、中国武漢から発生したコロナもあります。ところが、中国政府は例によって、当初から情報公開に消極的姿勢であることもあって、「コロナは中国の人工ウイルス兵器だ」といった陰謀論も含め、アジア人への憎悪感情がより拡大していったと分析されています。
 ただしその背景には、「黄禍論」=「黄色人種脅威論」が生まれた19世紀末以降、米社会に長年かけて根づいたアジア系へのステレオタイプな差別心があります。
 また差別されてきた側のアジア系住民たちも、「多様性」など見向きもされていなかった白人優位社会のなかで、自分たちの価値観を発信したり強く反発したりするよりもじっと耐え、長い時間をかけてなんとか順応しようとしてきた時代が長く続いていたようです。
これは、国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏が、先日テレビで話していました。

この問題をイギリスのBBCが以下の報道しています。
かなり、衝撃的な映像もでてきます。
(You Tubeではこれを3分16秒に編集されています)
【いきなり顔を横一直線に切られ…。急増するアジア系アメリカ人への暴力 BBC】

新型コロナウイルスのパンデミックがアメリカで深刻化すると、アジア系アメリカ人への暴力事件も急増した。BBCのラリー・マドウォ記者が、アジア系住民の多いニューヨークとサンフランシスコで、被害者や活動家に話を聞いた。 プロデューサー:シュライ・ポパット
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【「差別を受けてきた同士」のはずのアジア系とアフリカ系・ヒスパニック系黒人との対立構図も根深く複雑】
 ネットで調べてみると、例えば1992年のロス暴動では、怒りが頂点に達したアフリカ系市民が、韓国系の店舗を集中的に襲撃しました。その理由は、アジア系に対する被害者意識と憎悪です。この前年には、韓国系アメリカ人の店のオーナーが15歳の黒人少女を射殺する事件も起きています。
 黒人層は今も昔も不遇をかこっているのにあいつらはわれわれのコミュニティの周辺に住み着き、富を抜き取ることで成り上がるずるい連中だとの思いがあるからです。
 一方では、構造的に経済機会を奪われたアフリカ系・ヒスパニック系が密集して暮らす貧困街に移り住んだり、あるいは地続きの場所にチャイナタウンをつくったりしてきたアジア系には、実際の因果関係がどこまであるか不詳ですが、「黒人やヒスパニックの標的にされてきた」という「確固たる認識」がり、このためBLM運動に対して内心は懐疑的なアジア系市民も少なからずいるようです。(ウィキから)

【「アジア系差別」のヘイトクライムの背景は複雑です】
 アジア系は勤勉なビジネスの成功者も多く、子供にガンガン勉強させる文化を継承してきている。しかし、アフリカ系などのコミュニティでは貧困が世代を超えて固定化し、生涯まともな教育を受ける機会すら与えられないケースが殆どなようです。 そのため、「筆記テストという物差しだけでの競争は本当にフェアなのか?」という論争から生まれたのが「アファーマティブアクション」(社会的に差別されている人たちを優遇する措置)です。
 警察の強化賛成、アファーマティブアクション反対。こうした事情から、実はアジア系コミュニティでは、あれだけ自分たちに対して差別的な発言をしたトランプを支持する人もかなりの数に上っているのです。
 日本でいえば、森喜朗氏の「女性軽視」発言でも、結局は「しょうがない人だ」と言いつつ許してしまう保守層の女性みたいなものなのでしょう。

【最近のアジア系の憎悪の増加は、政治責任から逃れたいトランプがアメリカ・ファーストといいつつ「中国」に責任転嫁をした副作用】

 バイデン大統領は国民の一体感を回復することで傷口を塞ごうとしています。しかし、背景には歴史的も複雑で根深い「憎悪」がはびこっています。 下手をすれば、またも「トランプ的なるもの」が息を吹き返す可能性もあるようです。
 バイデン氏にとっては、以前からの根が非常に深く、複雑ですから、かなり難しい問題でしょう。
 これって、やはり「多民族国家の宿命」なんでしょうか。
 唯一の救いは、アジア系の俳優、スポーツ選手など著名人が声を上げて、米国白人市民も一緒に「ヘイトクライム」をなくそうとしてる運動かもしれません。

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