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「独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖」へのご感想をいただきました!(4)

 皆様こんにちは。当地は現在夜ですが、日中はよく晴れ、照りつける陽光も厳しく夏日のようでした。
 午後に日系スーパーへ買い出しに行ったところ、冷やし中華(レトルト)を発見しました♪レトルトだけど結構美味しいんですよ。

品揃え豊富で頼れるスーパー
冷やし中華はじめました♪ 

 そうそう、はるばる日本から届いた新茶も出ておりました。購入はしませんでしたが、夏だなぁとしみじみ…。

 さて、交流させていただいている潮田クロさまが「おやこ見習い帖」のご感想を寄せてくださいました。
 潮田さまの近現代文学への該博な知識と洞察に満ちた視点には学ばせていただくことばかりなのですが、今回は「おやこ見習い帖」の構成を深く分析してくださっています。取り上げていただきたいへん光栄です!
 非常に興味深く発見の多い内容ですので、小説をお書きになる方にもお勧めします。(物語の構造がすべて開示されていますので、未読の方には読了後の閲覧をお勧めいたします)

 潮田さまは、「三匹の子豚」などの例を挙げて、物語の典型的な構造に「繰り返し」があることを指摘しておられます。同じ展開を「繰り返す」ことで、物語そして感動の強度が増す…。
 本作では、前半と後半にこの「繰り返し」が用いられていて、主人公が置かれた環境、愛情を向ける対象の存在、それを補強する曲、障害となる存在、主人公を待つ存在、といった要素がスケールアップして「繰り返され」ているとおっしゃっています。(どの要素が共通しているのかは潮田さまの記事をご参照のほど)

…言われてみればその通りだ!!

 と驚きつつ納得しました。
 これらの繰り返しが何を描いているのかといえば、「父の子殺しを主人公が阻む」というストーリーなのだと。
 
…本当だ…!!(←作者)

 目から鱗の分析に感じ入るばかりです。勉強になります…!!

 本作が父子関係をひとつの軸にした物語であることは読み手の方にも明瞭に伝わるのではないかと思うのですが(…ですよね?)、久弥と青馬の親子のあり方と、久弥と彰久のあり方は水と油のように相反するものがあります。愛情のあり方はもちろん、浪人である久弥と藩主である父とは立場も異なる。個人的な幸せを求める久弥と、社会的な地位や権力を追求する父親という、人生観の乖離も存在する。両者の間には、いずれ決定的な対立が生じるのは避けられないだろうと予想がつきます。
 ではどう解決するのか。そう考えた結果、前半と後半とで舞台と人間関係、そして久弥の目的をガラッと変える構成にしました。
 青馬と出会い、強い絆で結ばれ、それを生きる目的とするまでが前半。その目的を阻む父親と対峙し、青馬と真澄の元へ帰還するために奮闘するのが後半。政治闘争に場を移して父親と対決するには、どうしても一旦若君の立場に戻ってもらわねばならない。そのため、「浪人(三味線弾き)期間」と「若君期間」とで物語を分ける二部構成の形になったのでした。
 それが気づかぬうちに「繰り返し」の構造になっていたのはラッキーだったなぁとしみじみ思います。
 あざとく繰り返すのは少々興ざめですが、うまく構成に取り入れられたら物語の強度が増す。今後の作品にもぜひ生かしたいものです。
  
 それにしても、自分が書いた物語なのによくわかっていない部分があるものだと痛感しました。実は、本作のキャッチコピーである「絆の物語」を見て(帯にありますね)、

…確かにそうだ!なんてぴったりなコピー!

 と膝を打った作者です。しっかりしろ作者。
 自分の作品をもっと深く理解するよう精進します…。

 潮田さまには情景描写や人物造形、剣戟シーンや感情表現までお褒めいただき、たいへんありがたく光栄です。貴重なお時間とお手間を頂戴し、まことにありがとうございます。学びの多い記事を拝見し幸せです。
 改めて御礼申し上げます。
 潮田さまがおっしゃってくださるように、長く読みつづけていただける一冊となったら無上の喜びです。ありがとうございました!
 


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