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「独り剣客 山辺久弥 おやこ見習い帖」へのご感想をいただきました!(3)

 皆様おはようございます。速報(?)にて呟きました通り、Amazonの売れ筋ランキング(アルファポリス文庫)にて再びベストセラー1位となっておりました。
 一昨日13位くらいまで下がり、もうピークは過ぎたのだな…と思っていたので目を疑いました。お手に取ってくださる皆様に感謝申し上げます!

…案の定、一晩経ったら2位に下がってベストセラーバッジも剥がれておりましたが。
 Amazonのアルゴリズムが謎…。

 でも二度もバッジをいただいてとても嬉しいです。
 本作をお読みくださる方々が楽しんでくださいますように。

 さて、交流させていただいているエスせんさまより、たいへんあたたかく深い考察に満ちたご感想をお寄せいただきました。ぜひご紹介させてくださいませ!(ストーリー展開やキャラクターに踏み込んだ内容となっておりますので、未読の方には読了後にお読みになることをおすすめします)

 エスせんさま、冒頭の書き出しをお褒めくださりありがとうございます!
 最初の数行に何日費やしたのかというくらい頭を抱えて書いたので、とても嬉しいです(涙)
 まだこれから16万字くらい校正が控えているのに(目眩)、締切りに間に合わせるのなんて絶対無理、と半泣きで手を入れた部分でした…。
 
 受賞時の状態をご存知の方は、冒頭が上屋敷での派手な戦闘場面から始まったのを覚えておられたかと思います。改稿にあたっては青馬との出会いを冒頭に移動し、戦い場面は後ろに持ってくるという形になったため、冒頭を印象的にしようとああでもないこうでもないと試行錯誤いたしました。

…出だしって難しいですよね(いきなり)

 最近本を読み漁っておりますが、ほんとうに冒頭は難しい。派手にすればいいものでもないし、謎ばっかりで独りよがりでもいけないし、あからさまなフックはわざとらしいし。
 センスのいい冒頭に出会うと、おお〜そうくるのか〜上手い〜!と感動します。(センスのいいエンディングも同じくらい気になるタイプですが)
 より洗練された冒頭を書けるようになりたいものです…勉強です…。

 構成についてもたいへん詳細な考察をいただきました。エスせんさま、多様なジャンルの映画や本に造詣が深くておられるので、物語の構造を分析する目が鋭い…!
 ハリウッド映画的、というご指摘をいただいたのですが、非常に納得するところでして。物語を組み立てる際には、大抵三幕あるいは四幕構成で考えています(エンタメ小説を書く方は概ねそうかと思いますが)。これは、SFファンの夫に付き合わされて「スタートレック」を散々見た結果だろうと思います。
 スタートレックのテレビシリーズというのは、一話完結が基本で一時間枠。冒頭のつかみ、キャラクターの何らかの葛藤、中盤の山場と挫折、後半のクライマックスと解決、という見事な3ー4幕構成で話が展開します。
 カメラワークもパターン化されていて、こういう感情の時はアップでこう…はい効果音!からの決め文句、みたいな流れがある。わかりやすいですね。しかし問題はこれはご長寿番組だということ。

 ネタ…何かネタはないか…!!
 
 と、監督や脚本家がものすごく苦心しているのがひしひしと伝わってくるのです。宇宙広しとはいえど、これだけのシリーズがあるとやはりネタが尽きてくる。そのため、制作陣が果敢に実験的な題材や筋運びに挑戦する回があったりする。時にはシリーズ最高の名作が生まれたり、黒歴史な迷作が生まれてみたりもする。それがとても面白いのです。おっ、今回の導入は新鮮だな…からの、まさかの展開!今回はあの回の焼き回しかなぁ、ネタがないんだな。なんだこの結末!キャラを馬鹿にしている!…という感じで。
 結果、小説の構成を考えている時も、なんとなくスタートレック的な映像が頭に浮かんでいる気がします。
 そうそう、スタートレック以外にも、「ドクター・フー」やBBCの「シャーロック・ホームズ」シリーズも散々見ているので、その辺りからの影響もあると思います。「ドクター・フー」も名作と迷作が多いんですよね、ご長寿番組だけに…。とても勉強になります。

 最後に、キャラクターの心の動きをお褒めいただきました。嬉しい。三味線と長唄は、キャラクター同士を結びつけたり、内面を描き出す補完的な役割を担っています。三味線や長唄の知識がゼロに等しい状態から勉強をはじめたので、キャラクターのつながりと三味線の関係を感じ取っていただければ四苦八苦した甲斐があります。
 三味線の世界はたいへん奥が深く、学ぶうちにすっかり魅了されました。
 長唄、いいですね。
 作中に登場するめりやすや「越後獅子」、「三曲糸の調」といったものはお勧めなのでぜひ聴いてみていただきたいです。
「越後獅子」は出だしからもうノリノリで、からりとした雰囲気もかっこいいですし、「三曲糸の調」は胸に突き刺さるような研ぎ澄まされた旋律が美しい曲です。(できれば合奏ではなく二挺一枚(三味線方2名、唄方1名)で、熟練の名手によるものを聴いていただきたいです。大人数だと曲の切れ味が鈍りがちなので、魅力が半減するかと)

 私はキャラクターの感情曲線がなってないと気持ちが悪いと感じるタイプなので、キャラの内面がしっかり描けているか、読み手の方に伝わっているかどうかがとても気になります。
 裏話的なことですが(書いていいのかな、たぶん大丈夫だと思いますが)、改稿段階では「変化していく久弥の内面の描写をもっと増やす」ということがひとつの課題でした。

…えっ?こんなに描いてあるのに、もっと?

 と思ったのですが、担当編集者さまによれば足りないのです。特に前半。
 自分では描いているつもりなんだけどな…と思いつつ、えいや、と色々足しましたところ、

…足りなかった!

 と実感しました。プロの編集者さんの目はすごい。
 書き足した状態の方がずっといい。もう一目瞭然。
 書き手は充分だと思っても、実は足りていないらしい、という教訓を得ました。
 もちろんミステリーや本格歴史小説のような心理描写がメインではないジャンルもあるわけですが、エンタメ小説であればここは注意した方がいいかもしれません。
 そういうわけで、ここはじっくり手を加えた部分なので、お褒めいただきとても嬉しく光栄です。

 長くなりました。最後に、感動して涙してくださったとおっしゃっていただきありがたかったです(私も泣きながら書いていた箇所がいくつもありまして)。
 キャラクターにあたたかく寄り添っていただき、作者の冥利につきます。
 ご多忙のところ、お読みくださったうえ深い考察を加えた丁寧なご感想をお寄せくださり、ほんとうにありがとうございます。
 改めまして、心より感謝申し上げます。

 

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