佐々木友輔

映像作家/鳥取大学地域学部で教員をしています/揺動/風景論映画/ドキュメンタリー/鳥取…

佐々木友輔

映像作家/鳥取大学地域学部で教員をしています/揺動/風景論映画/ドキュメンタリー/鳥取の地域映画史と公共上映/🦀蟹/鴨🦆/アイコンは品岡トトリさんに描いていただきました。

マガジン

  • 地方映画史研究のための方法論

    鳥取の地方映画史に関する調査・研究に協力してくれる学生たちに向けて、押さえておくべき理論や方法論を共有しておきたいと考え、この原稿を書き始めた。杵島和泉さんと行っている研究会・読書会でレジュメをまとめ、それに加筆修正や微調整を加えて、このnoteに掲載している。

  • ミュージックビデオの身体論

    ミュージックビデオの身体論

  • 見る場所を見る──鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

  • 映画愛の現在

  • 雑記

記事一覧

地方映画史研究のための方法論(37)パラテクスト分析⑥アメリー・ヘイスティのデトリタス論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 講座「映画を見た記憶、見逃した記憶──鳥取市民のメディア体験」 2024年9月22日(日)14:00-15:00、鳥取市歴史…

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地方映画史研究のための方法論(36)パラテクスト分析④ポール・グレインジによるエフェメラル・メディア論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「W iii Z_vol.0」 於 イタリア会館Spazio 2024年9月14日(土)、原田真志さんが主催するイベントシリーズ「W iii…

佐々木友輔
12日前
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ミュージックビデオの身体論⑨ヴァルネラブルな身体──クリス・カニンガムからまふまふまで

9. ヴァルネラブルな身体──クリス・カニンガム 9-1. クリス・カニンガム前々回(「アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ」)と前回(「デジタルな身体──…

佐々木友輔
3週間前
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地方映画史研究のための方法論(35)パラテクスト分析③ジョナサン・グレイによるオフ・スクリーン・スタディーズ

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 展覧会「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画の歴史」 2024年8月22日(木)から31日(土)まで、展覧会「見る場…

佐々木友輔
1か月前
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地方映画史研究のための方法論(34)パラテクスト分析②ジェラール・ジュネット『スイユ——テクストから書物へ』

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェク…

佐々木友輔
2か月前
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ミュージックビデオの身体論⑧デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで

8. デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで 8-1. ミシェル・ゴンドリー前回(「アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ」)は、『…

佐々木友輔
2か月前
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地方映画史研究のための方法論(33)パラテクスト分析①ロラン・バルト「作品からテクストへ」

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェク…

佐々木友輔
2か月前
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地方映画史研究のための方法論(32)大衆文化としての映画⑥——佐藤忠男の任侠映画・剣戟映画論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 鳥取大学サイエンス・アカデミーVol.546「映画はどこにあるのか——鳥取の映像文化を支える人びと」 杵島和泉さん…

佐々木友輔
3か月前
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地方映画史研究のための方法論(31)大衆文化としての映画⑤——鶴見俊輔による限界芸術/大衆芸術としての映画論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか——鳥取の…

佐々木友輔
3か月前
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地方映画史研究のための方法論(30)大衆文化としての映画④——権田保之助『民衆娯楽問題』

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェク…

佐々木友輔
3か月前
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地方映画史研究のための方法論(29)大衆文化としての映画③——フレドリック・ジェイムソン「大衆文化における物象化とユートピ…

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェク…

佐々木友輔
4か月前
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地方映画史研究のための方法論(28)大衆文化としての映画②——ジークフリート・クラカウアー『カリガリからヒトラーへ』

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 『映画はどこにあるのか——鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(2024) 2024年3月は、3年間継続して…

佐々木友輔
4か月前
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地方映画史研究のための方法論(27)大衆文化としての映画①——テオドール・W・アドルノとマックス・ホルクハイマーによる「文…

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 『映画はどこにあるのか――鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(2024) 2024年3月は、3年間継続して…

佐々木友輔
4か月前
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ミュージックビデオの身体論⑦アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ

7. アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ 7-1. 『ディレクターズ・レーベル』とMVにおける作家主義研究者の下澤和義は、MVというジャンルの社会的な認知度の…

佐々木友輔
5か月前
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地方映画史研究のための方法論(26)抵抗の技法と日常的実践④——エラ・ショハット、ロバート・スタムによる多文化的な観客性の…

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト 「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェク…

佐々木友輔
6か月前
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ミュージックビデオの身体論⑥ サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス

6. サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス 6-1. サイボーグ的身体これまでに取り上げてきた「ダンス」に関連するMVは、視覚効果や撮影・編集技術を重…

佐々木友輔
6か月前
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地方映画史研究のための方法論(37)パラテクスト分析⑥アメリー・ヘイスティのデトリタス論

地方映画史研究のための方法論(37)パラテクスト分析⑥アメリー・ヘイスティのデトリタス論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
講座「映画を見た記憶、見逃した記憶──鳥取市民のメディア体験」

2024年9月22日(日)14:00-15:00、鳥取市歴史博物館(やまびこ館)が企画する「おうちだにアカデミー」の一環として、講座「映画を見た記憶、見逃した記憶──鳥取市民のメディア体験」を実施する。1980年代から1990年代にかけて、映画館からレンタルビデオ店へと「見る場所

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地方映画史研究のための方法論(36)パラテクスト分析④ポール・グレインジによるエフェメラル・メディア論

地方映画史研究のための方法論(36)パラテクスト分析④ポール・グレインジによるエフェメラル・メディア論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
「W iii Z_vol.0」 於 イタリア会館Spazio

2024年9月14日(土)、原田真志さんが主催するイベントシリーズ「W iii Z」の初回として、原田さんの監督作品『visions/おもいでキネマたまわります。』の上映会がイタリア会館 Spazio(福岡市)で行われます。私は上映後のトークにオンラインで参加予定(17:00開場、

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ミュージックビデオの身体論⑨ヴァルネラブルな身体──クリス・カニンガムからまふまふまで

ミュージックビデオの身体論⑨ヴァルネラブルな身体──クリス・カニンガムからまふまふまで

9. ヴァルネラブルな身体──クリス・カニンガム
9-1. クリス・カニンガム前々回(「アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ」)と前回(「デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで」)は、『ディレクターズ・レーベル』第1弾で紹介された3名のMV監督(スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、クリス・カニンガム)が描き出してきた身体イメージが、現在のMVが描き

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地方映画史研究のための方法論(35)パラテクスト分析③ジョナサン・グレイによるオフ・スクリーン・スタディーズ

地方映画史研究のための方法論(35)パラテクスト分析③ジョナサン・グレイによるオフ・スクリーン・スタディーズ

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
展覧会「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画の歴史」

2024年8月22日(木)から31日(土)まで、展覧会「見る場所を見る3+——親子で楽しむ映画の歴史」を鳥取市立中央図書館で開催する。かつての鳥取では、教育目的の映画が「いつでも・どこでも・誰でも」映画が見られるという鑑賞機会確保に大きな役割を果たしていた。その時代の風景を想像できるよう

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地方映画史研究のための方法論(34)パラテクスト分析②ジェラール・ジュネット『スイユ——テクストから書物へ』

地方映画史研究のための方法論(34)パラテクスト分析②ジェラール・ジュネット『スイユ——テクストから書物へ』

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を

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ミュージックビデオの身体論⑧デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで

ミュージックビデオの身体論⑧デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで

8. デジタルな身体──ミシェル・ゴンドリーからバーチャルアイドルまで
8-1. ミシェル・ゴンドリー前回(「アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ」)は、『ディレクターズ・レーベル』第1弾で紹介された3名のMV監督(スパイク・ジョーンズ、ミシェル・ゴンドリー、クリス・カニンガム)が描き出してきた身体イメージが、現在のMVが描き出す身体イメージの「原型」もしくは「類型」となっているの

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地方映画史研究のための方法論(33)パラテクスト分析①ロラン・バルト「作品からテクストへ」

地方映画史研究のための方法論(33)パラテクスト分析①ロラン・バルト「作品からテクストへ」

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を

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地方映画史研究のための方法論(32)大衆文化としての映画⑥——佐藤忠男の任侠映画・剣戟映画論

地方映画史研究のための方法論(32)大衆文化としての映画⑥——佐藤忠男の任侠映画・剣戟映画論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
鳥取大学サイエンス・アカデミーVol.546「映画はどこにあるのか——鳥取の映像文化を支える人びと」

杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか——鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』の刊行記念講座として、2024年6月8日(土)に鳥取県立図書館で、鳥取大学サイエンス・アカデミーVol.546「映画はどこにあるのか——鳥取の映像文化を

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地方映画史研究のための方法論(31)大衆文化としての映画⑤——鶴見俊輔による限界芸術/大衆芸術としての映画論

地方映画史研究のための方法論(31)大衆文化としての映画⑤——鶴見俊輔による限界芸術/大衆芸術としての映画論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか——鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』の刊行記念講座として、2024年6月8日(土)に鳥取県立図書館で、鳥取大学サイエンス・アカデミーVol.546「映画はどこにあるのか——鳥取の映像文化を支える人びと」を実施する。

講師|佐々木友輔(

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地方映画史研究のための方法論(30)大衆文化としての映画④——権田保之助『民衆娯楽問題』

地方映画史研究のための方法論(30)大衆文化としての映画④——権田保之助『民衆娯楽問題』

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を

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地方映画史研究のための方法論(29)大衆文化としての映画③——フレドリック・ジェイムソン「大衆文化における物象化とユートピア」

地方映画史研究のための方法論(29)大衆文化としての映画③——フレドリック・ジェイムソン「大衆文化における物象化とユートピア」

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を

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地方映画史研究のための方法論(28)大衆文化としての映画②——ジークフリート・クラカウアー『カリガリからヒトラーへ』

地方映画史研究のための方法論(28)大衆文化としての映画②——ジークフリート・クラカウアー『カリガリからヒトラーへ』

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
『映画はどこにあるのか——鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(2024)

2024年3月は、3年間継続してきた「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」の活動成果をいくつか世に出すことができた。一つは、杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか——鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(今井出版、2024)の刊行

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地方映画史研究のための方法論(27)大衆文化としての映画①——テオドール・W・アドルノとマックス・ホルクハイマーによる「文化産業」論

地方映画史研究のための方法論(27)大衆文化としての映画①——テオドール・W・アドルノとマックス・ホルクハイマーによる「文化産業」論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
『映画はどこにあるのか――鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(2024)

2024年3月は、3年間継続してきた「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」の活動成果をいくつか世に出すことができた。

一つは、杵島和泉さんとの共著『映画はどこにあるのか――鳥取の公共上映・自主制作・コミュニティ形成』(今井出版、2024)の

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ミュージックビデオの身体論⑦アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ

ミュージックビデオの身体論⑦アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ

7. アマチュアの身体──スパイク・ジョーンズからCGMへ
7-1. 『ディレクターズ・レーベル』とMVにおける作家主義研究者の下澤和義は、MVというジャンルの社会的な認知度の向上を段階的に示す出来事として、①1984年からグラミー賞に「年間最優秀ビデオ」部門が創設されたこと、②1992年からMTVが楽曲のアーティストだけでなくMV監督の名前も画面に表示するようになったこと、③2003年にMV監督

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地方映画史研究のための方法論(26)抵抗の技法と日常的実践④——エラ・ショハット、ロバート・スタムによる多文化的な観客性の理論

地方映画史研究のための方法論(26)抵抗の技法と日常的実践④——エラ・ショハット、ロバート・スタムによる多文化的な観客性の理論

見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト
見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト

「見る場所を見る——鳥取の映画文化リサーチプロジェクト」は2021年にスタートした。新聞記事や記録写真、当時を知る人へのインタビュー等をもとにして、鳥取市内にかつてあった映画館およびレンタル店を調査し、Claraさんによるイラストを通じた記憶の復元(イラストレーション・ドキュメンタリー)を

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ミュージックビデオの身体論⑥ サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス

ミュージックビデオの身体論⑥ サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス

6. サイボーグ的身体——「ONE TAKE STAGE」のトランス・ダンス
6-1. サイボーグ的身体これまでに取り上げてきた「ダンス」に関連するMVは、視覚効果や撮影・編集技術を重視する「映像のダンス」(③映像そのものがダンスする/④カメラレス・ダンス)と、生身の身体のパフォーマンスを重視する「ダンスの映像」(⑤ダンスそのものを映し出す)とに大別することができる。

ただし、これらはあくまで便

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