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#11 人生を変えた曲〜Listen to What the Man Said〜

みなさんにも「人生を変えた」と言えるような本や音楽、映画作品があるのではないでしょうか?僕の場合は、一作品だけ挙げるならば、ポール・マッカートニーの1975年の楽曲、“Listen to What the Man Said” ですね(邦題『あのにおせっかい』)。今日はこの曲にまつわる30年以上にわたる物語を。


まずは曲を聴いていただくのがいいかと思います。この曲の動画はたくさんあるのですが、この曲になくてはならない3条件、

ソプラノサックス・ソロが入っている
リンダ・マッカートニー(奥様)がキーボード&コーラスを担当
ポールはベースを弾いている(できればリッケンバッカー4001)

を満たしているということで、1987年、BBC収録のこの動画にしました。画面右手で演奏される、まっすぐで金色の楽器にご注目ください。これがソプラノサックスです(ソロは 1:50〜)。

解散間際のビートルズ時代の作品とはかなり異なるポップな曲で、スタジオ録音版にはラテン・パーカッションにバリトン・サックスらしき音も入っていて、音楽的構築度の高い楽曲です。この曲のどこに魅力を感じるかは人それぞれだと思いますが、「歌はどうでもいい、ソプラノサックス・ソロが最高!」というのが僕の感想でした。ポールには申し訳ないです。借りてきたCDをテープに録音して繰り返し聴きましたが、歌の部分は早送りしてソプラノサックス・ソロばかり繰り返し聴いていました。スタジオ録音版のサックス演奏はトム・スコット、アメリカのジャズ・フュージョン界の名プレーヤーです。

この曲に出会ったのは1986年、中学1年の頃で、身近な楽器といえばソプラノサックスではなくソプラノリコーダーだったので、リコーダーでこの曲のソロをコピーし、毎日吹いていました。クラスメイトには、「それ何の曲?カッコいいね」と言ってもらったりしました。いつかこの曲と同じ、ソプラノサックスでこのソロを吹きたいと思うようになりました。今思うと、この曲でロックでもジャズでもない「フュージョン的」サウンドに目覚め、その後音楽業界へ入るきっかけを得たのだと思います。


29年の時間が流れて、2015年。仕事でドイツへ行った時、イベントで一人のレコーディング・エンジニアと話す機会がありました。彼の名前は アラン・オダフィ、なんとこの曲 “Listen to What the Man Said” のレコーディングを担当した当本人でした。「あなたが録音したこの曲の、ソプラノサックス・ソロで音楽に目覚めて、今ここにいます」と伝えると、1975年ニューオーリンズでのレコーディング当日のエピソードを話してくれました。詳細は「ビートルズ・バイブル」のサイトにある通りです。

4年後の2019年、今度は仕事で米国に行った時、信じられない出会いがありました。なんと、この曲のソプラノサックス・ソロを吹いた当本人のトム・スコットが楽屋裏にいるというのです。商談を中座して、すぐに話しに行きました。

 僕:あなたが演奏した “Listen to What the Man Said” のソロが好きで
   サックスを始め、音楽業界に入りました。素敵な演奏をありがとう。

トム:そうかい、会えてよかった(握手)

長い時間を経て、いくつかの点がつながった感覚を味わいました。帰国後、改めてトム・スコットのオリジナル・ソロを自分で譜面に起こし、33年目の正直で今度はソプラノサックスで練習を始めました。いつかトムのようなグルーブ感を出したいです。もし、この曲をバンドで演奏したい!という方がいらっしゃいましたらお知らせください。ソプラノサックス吹きにいきます ^^

今日もお読みくださって、ありがとうございました🎷
(2023年7月15日)


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